2018年09月19日

静岡工区の準備着工を伝える報道のあれこれ

リニア準備工事開始 JR東海が反論「事前連絡した」(静岡新聞 2018/9/18 22:59 Yahoo!ニュース配信)

 JR東海は18日、リニア中央新幹線南アルプストンネル工事静岡工区の準備工事について、川勝平太知事が同日、JR側から工事着手の事前連絡がなかったと発言したことに、事実とは異なると指摘した。
 同社は「13日に静岡県の窓口の環境局と交通基盤部に『18日に宿舎工事に着手する』と報告した。事前に県側に準備工事を伝えている」とした。同社は14日に準備工事着手を正式発表した。

下の記事が配信された8時間後、Yahoo!ニュース配信記事が上の記事です。
 同社は「13日に静岡県の窓口の環境局と交通基盤部に『18日に宿舎工事に着手する』と報告した。事前に県側に準備工事を伝えている」とした。 ・・・全く曖昧な内容でジャーナリズムの記事とは思えない。
報告したのは文書なのか電話なのか、文書なら宛先は静岡県知事になっていたか、それは正本か複写か。
正本が届いたなら、知事が知らなかったのは正本を知事に届けなかった部署の責任であり、両部署とも複写を受けとったなら、正本は何処に届けたかという問題になる。
もし両部署に電話連絡しただけなら、県条例に基づいて処理されている事案の実行連絡を電話でしかしなかった企業の姿勢は糾弾されるのが当然である。
「緊急なのでご担当部署にご連絡します、知事にお伝えください」の一言があったかどうかもポイントなのだ。こんな事は公務員でも普通の会社員でも仕事していれば分かること。
静岡県環境局と交通基盤部は、どのような連絡だったのかをそれぞれ県民に説明すべきであり、それも報道されるべきである。
リニア中央新幹線事業でこれまでも民間企業の説明不足を指弾する意見は地域住民から出ていたが、今回の事案は民間企業が自治体行政に叩きつけた挑戦状に等しいものだ。

リニア準備工事着手 JR東海、静岡市に作業員宿舎(静岡新聞 2018/9/18 14:06)

 JR東海は18日、リニア中央新幹線南アルプストンネル工事静岡工区(静岡市葵区)の準備工事に着手した。同工区の建設予定地近くに設ける作業員の宿舎建設を同日午後、開始。トンネル工事に伴う大井川の流量減少問題を巡り、県や流域市町、利水団体との対立が続く中で、本体工事の準備を一歩前に進めた格好だ。
(中略)
 宿舎は同区の椹島(さわらじま)、西俣、千石の3カ所に建設する。18日は椹島宿舎を建設する椹島ロッジ敷地内に、工事事務所として使うプレハブ小屋や看板の資材をトラックで搬入。作業員数人が設置作業を行う。3カ所はそれぞれ2019年春から20年半ばまでの完成を目指し、椹島はリニア工事終了後、地権者が観光施設として活用することを検討している。
 静岡工区は大井川の流量減少問題を巡るJR東海と地元との対立が影響し、沿線7都県で唯一の未着工区間となっている。同社は毎秒2トンと推定した減少量のうち、トンネル工事で発生した湧水1・3トンを導水路管で大井川に回復させ、残りは必要に応じて戻す対策を提案しているが、県や利水者はトンネル湧水全量を常時大井川に戻すよう求めて膠着(こうちゃく)状態が続いている。法的には本体工事に県や利水者の同意は必要ないため、JR東海は同意なしでの着工にも含みを持たせている。
 川勝平太知事は同日、報道陣に、JR東海側から事前に準備工事に関する話はなかったとし「その辺は良くない。地元の理解を大事にしてもらうことが必要だ。誠意のある形でないと世間の非難を浴びるのではと心配している」と述べた。
9月14日の記事に書いた事ですが、静岡県政サイトではJR東海の 「工事の安全・環境の保全・地域との連携 静岡県」 の「場所ごとの環境保全の計画」欄で同時に掲載された文書、静岡県内中央新幹線建設工事に伴う宿舎等工事における環境保全について〔・中央新幹線南アルプス新設(静岡工区)工事・静岡県導水路トンネル新設工事〕(PDFファイル) が公開されている事を県民に告知していないように思えます。
後述しましたが、日本経済新聞 南関東・静岡版 2018/9/14 は、「静岡県と静岡市に宿舎工事に関する環境影響評価の事後調査報告書と環境保全措置計画も提出した。」と書いていましたが、静岡新聞 2018/9/15 では 「県環境影響評価条例に基づき、準備工事に関する事後調査報告書を県と静岡市に提出。」としか書かれていないと思えます。
地元紙を読んだだけの県民の方々には的確な情報が伝わっていないことになります。内容としては事後調査報告よりも環境保全文書が意見提出には役に立つと思います。
続きがあります・・・
posted by ictkofu at 13:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 静岡県

2018年09月18日

静岡工区・知事に宿舎建設工事の中止要請を求める申し入れ、市民団体から

川勝平太静岡県知事様                2018年9月18日

JR東海に対し環境影響評価条例に基づき
 リニア新幹線・宿舎建設工事の中止要請を求める申し入れ書
  
         南アルプスとリニアを考える市民ネットワーク静岡
共同代表 有元利通 八木 功 服部 隆 増田和明 松谷 清               連絡先 静岡市葵区鷹匠3−3−1地球ハウス 054−209−5676 Fax054−209−5675
 JR東海は(2018年)9月14日に県政記者クラブで会見を開き9月18日からリニア中央新幹線南アルプストンネル工事に向けて準備工事としての作業宿舎の建設に取り掛かることを公表しました。
多くのマスコミからは水資源をめぐる関係自治体、及び窓口としての静岡県との協定を結ぶことなく「見切り発車」とも言える工事着工に批判的報道がなされています。

このような宿舎建設工事の着工が許されるのは、静岡県自体が有識者会議設置(水資源、自然環境)により厳しい姿勢も見せながら一方で「準備工事(宿舎建設や林道整備など)が大井川の水資源や自然環境に与える影響は小さい。宿舎建設の環境への影響は小さい。水資源への誠意ある対応を求めたい」(難波副知事コメント)との認識を示していること、及び静岡市も同様の認識を持っていることが背景にあります。

 果たしてそのような認識でいいのでしょうか。

 JR東海は着工記者会見と同時に静岡県環境影響評価条例に基づき宿舎建設工事着手前の事後調査報告書を県に提出しました。静岡県は1ヶ月に渡り県民意見を募集するとのことです。
この準備工事を巡る最大の問題は「地元住民への丁寧な説明と詳細な情報提供により着工の是非を判断すべき」としたリニア新幹線工事を認定した国土交通大臣の環境影響評価への大臣意見が尊重されているか否か、です。

つまり、宿舎建設工事に対する公開の場での事後調査報告書の議論はおこなわれたのでしょうか。一度もなされないままに工事が着工されていることに最大の問題があります。

宿舎建設工事の後には林道整備そして本体工事が待っています。最初の工事となる宿舎建設において環境影響評価条例に基づく厳密な姿勢を示すことが重要であるという観点から以下の申し入れを行います。9月25日までに文書による回答を求めます。

 1、JR東海は9月14日付「(宿舎建設工事着手前)事後調査報告書」を工事着工の記者会見で明らかにし、静岡市の南アルプスエコパーク林道条例により「宿舎資材輸送」の通行許可が出されたとして18日から着工するとのことです。一方で静岡県が1ヶ月間にわたり県民意見を求めるとのことです。「県民等の意見および県知事意見に配意・勘案せず着工すること」の制度的妥当性をどのように考えているのか、明らかにすること。

 2、県民等の意見をもとに県知事意見を述べる際には環境影響評価審査会、及び自然環境有識者会議に意見聴取を行うこと。

 3、静岡市の南アルプスエコパーク林道条例に基づく林道の通行許可の際に静岡市長からJR東海の環境影響評価書はもとに「適正な審査」を行ったとコメントが出されています。実情を確認するのは静岡県の制度的責務です。

  ①「適正な審査」とは環境影響評価書との関係においてどのような審査をおこなったことをさしているのか市長の意見聴取を行うこと。

  ②特に宿舎建設工事エリアには動物・植物など数十種に亘る希少種があり椹島地区では6ヵ所において希少種が存在しており、アオキランなど絶滅危惧種は昨年、移植したとのことです。アオキランは9月が開花時期で移植が成功したかどうかはこの9月に確認する必要があります。専門家による現地調査が行われたのか、移植が成功したのか、どうか、静岡市長に意見聴取を行うこと。

  ③JR東海は環境影響評価書では林道東俣線にてロードキル(車による両生類や動物の轢死)発生のおそれがあると認めましたがその対策が適切に実行されていると判断した根拠について、静岡市長から意見聴取をおこなうこと。

  ④環境影響評価手続きでは林道東俣線沿いでの鳥類相調査がなされていないが希少な鳥類(猛禽類を除く)が営巣する可能性についての静岡市長の見解を聴取すること。

 6、静岡市が南アルプスエコパーク林道に基づいて「宿舎建設資材輸送のための林道の通行許可申請」が行われ静岡市の通行許可を出すときには、静岡県中央新幹線工事調整連絡会での情報共有が行われることになっていますがどの段階で静岡市からの連絡はおこなわれたのか、明らかにすること。

 7、これらのことが県民に明らかにされるまで、宿舎建設工事、それに関わる全て工事の中止もしくは延期をJR東海に要請すること。

この件は 2018年09月14日記事 「静岡県でJR東海工事の付帯施設着工が許可された」 の関連です。
静岡県環境影響評価条例 第45条第2項 は国策公共事業に対してどの程度の有効性があるのかという問題でもあると私は理解しています。
従って、事は静岡県だけの問題では無く、同様な自治体例規の下で行政が行なわれる全ての自治体と国民の地方主権にも関わる事案だとすら考えています。
リニア中央新幹線事業において大井川減水問題に発した今回の事案について、私は情報・資料整理が不十分なので、いずれWebサイトで整理しておく予定です。

posted by ictkofu at 19:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 静岡県

2018年09月14日

静岡県でJR東海工事の付帯施設着工が許可された

タイトルは着工許可と書きましたが、トンネル工事では無く宿舎建設などの工事です。トンネル着工については大井川減水問題の解消について未解決なので静岡県政は着工を未だ認めていません。
・中央新幹線南アルプス新設(静岡工区)工事
・静岡県導水路トンネル新設工事
すなわち中央新幹線南アルプス新設(トンネル工事)とそれにより発生が予測され環境影響評価書に記載された大井川減水問題を解決するための導水路トンネル新設工事には着工できない状況です。

尚、導水路トンネル新設案は認可された後で大井川減水対策として提案されたもので環境影響評価書に記述はありません。静岡県とJR東海で構成された審議会で検討を重ねてきたものですが静岡県が承認しJR東海も認めた最終解決策は確定していません。

JR東海による導水路トンネル計画はそのトンネル出口から下流の対策であり、上流自然環境への対策になっていないことや、公式発表資料を私は未見ですが、上流で取水している中部電力、東京電力の水力発電事業との関係なども考慮されているからと思えます。

本線トンネル及び導水路工事の準備として作業員宿舎などの工事をするために、静岡市に林道の通行許可を求め許可されたのが今回の事案です。これに関係して下記2点がJR東海サイトで公開されました。

JR東海が 静岡県内中央新幹線建設工事に伴う宿舎等工事における環境保全について〔・中央新幹線南アルプス新設(静岡工区)工事・静岡県導水路トンネル新設工事〕 これを「工事の安全・環境の保全・地域との連携 静岡県」で広報しました。そのページからリンクされている記事本文はPDFファイルで 96ページ(2018.09.12 作成) 15,554 KBです。

事後調査・モニタリング ページの 「事後調査報告書」に 事後調査報告書(平成30年9月)宿舎工事着手前 が広報されています。 この報告書はPDFファイルへの直接リンクです。30ページ(2018年8月21日作成、9月5日更新) 5,922 KBです。

この事後調査報告書はページに記載されているようにJR東海が 静岡県環境影響評価条例 第45条第2項 に基づき提出したものです。
第45条 法対象事業者は、前条第1項の意見を勘案し、法対象事業事後調査計画書の記載事項に検討を加え、その結果に基づき調査を行わなければならない。
 2 法対象事業者は、前項の調査を行ったときは、その結果を記載した報告書(以下「法対象事業事後調査報告書」という。)を作成し、知事及び法対象事業関係市町村長に送付しなければならない。
 3 知事は、法対象事業事後調査報告書の送付を受けたときは、これを公表するものとする。

【例規集 ⇒ 第9編 生活・文化 ⇒ 第5章 環境 を開き「次の20件」で次頁を開けば当該例規があります。「ログイン」は単にクリックするだけです。】

私の想定に過ぎませんが、工事に着手もしていない段階で「事後調査報告書」が静岡県条例に基づいて提出された事に大井川問題が解決困難なこと、ひいては全幹法によって中央新幹線事業を認可した国土交通大臣の誤りを考えています。

【参考】
大井川導水路トンネル工事契約
 請負業者は、静岡県内導水路トンネル新設工事共同企業体(大成建設株式会社・佐藤工業株式会社・大豊建設株式会社)契約締結日は 2017年10月17日、工期は 契約締結の翌日から2024年4月30日
南アルプストンネル新設(静岡工区)工事契約
 請負業者は、中央新幹線南アルプストンネル新設(静岡工区)工事共同企業体(大成建設株式会社・佐藤工業株式会社)契約締結日は 2017年11月15日、工期は 契約締結の翌日から2026年11月30日まで

続きがあります・・・
posted by ictkofu at 23:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 静岡県

2018年09月09日

ボーリング調査孔の跡がもたらす環境影響の実例と対策

東京外環道大深度地下工事で発生した事案に関する事業者からの広報記事の一部を引用した図です。
2015年02月01日、大深度法と東京外環道・リニア中央新幹線に関する院内集会 2月3日、この案内記事を書いた時に関係サイトを確認してリンク集を残してありますので、ここでは3点のみ記載します。
東京外かく環状国道事務所(国土交通省)
東京外環プロジェクト(事業者の公式サイト)
外環ネット最新ニュース(市民サイドのネット発信)

問題の状況は「外環ネット最新ニュース」をご参照ください。「外環道 野川」で検索すれば記事は多数ヒットします。衆議院 2018年7月30日提出・東京外かく環状道路に関する質問主意書 に答弁もあります。
下図は「東京外環プロジェクト」の 2018/08/29 【お知らせ】東名JCT周辺の野川の気泡等について から「調査結果(気泡漏出及び地下水流出推定メカニズム)」PDFファイルを画像として引用したものです。

続きがあります・・・
posted by ictkofu at 06:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 工事