2016年10月31日

国土交通省にリニア事業の事実を認識させ記録させる必要がある

国土交通省・2016年10月28日(金)石井啓一大臣会見要旨(強調、下線は引用者による)

(答)26日の衆議院の国土交通委員会におきまして、松原議員から成田空港周辺における落下物に関する質問がございました。
国土交通省としては、事実の裏付けが確認できた範囲内で、「過去10年間においては、落下物として最大で1.8sの航空機部品が報告されている」と、航空局長から答弁したところでございます。
御指摘の2008年の香取市の落下物事案に係る日本航空からの報告については、現在、事実関係を調査しているところであります。

(問)次の質問です。
日本航空へ照会すれば、当時どのような事故があったか、重さがどれくらいであったか、こういったことは即日回答が得られる種類のものだと思いますけれども、答弁を作成するに当たって、日本航空への照会を怠ったのはなぜでしょうか。

(答)26日の衆議院の国土交通委員会においては、国として事実の裏付けが確認できた範囲内で答弁をさせていただいたところであります。
26日に答弁をいたしました14件の航空機部品ですね、過去10年間で航空機部品14件の落下物が報告されているというふうに答弁しましたが、この14件の航空機部品について改めて十分な調査をするよう事務方に指示をしたところでございます。

(問)指示されたのはいつでしょうか。
(答)指示をしたのは昨日でございます。
(問)いつ頃までに詳細が分かる予定でしょうか。
(答)期限は切っておりませんけれど、なるべく速やかにと思っております。
(問)重さ10sの部品が落下したという事実を意図的に除いた佐藤航空局長の答弁が、住民を代表する国会議員の質問に対する回答として極めて不誠実だと考えます。
これは、羽田の新飛行ルートに関して、丁寧な情報提供に努めると一貫して仰っている国土交通省の姿勢にももとるものです。
局長の答弁を修正する予定はありますか。

(答)重ねてでありますが、26日の委員会においては、国として事実が確認できた範囲内で答弁をさせていただいたところでありますが、現在指示をしました調査結果を踏まえ適切に対応してまいりたいと考えております。

(問)航空局に対して、記者が成田空港周辺の落下物について詳細な情報を尋ねたところ、氷塊を除く過去10年、14件のうち6件について落下物の重量や形状が不明であるという回答でした。
この点について、過去の落下物を把握していない国土交通省航空局の対応というか、現状に問題がないのか大臣の認識を伺います。
併せて、今後、成田空港周辺の落下物の詳細な情報を調査して、これを国民に開示した上で、羽田空港新飛行ルートの理解を国民に求めていく、そういった姿勢を取るつもりはありますか。

(答)先ほど答弁しましたとおり、過去10年間で成田空港周辺で落下した14件の航空機部品については、改めて十分な調査をするよう指示をしたところでございます。
その上で落下物の実態や航空機落下物の対策を含め、羽田空港の機能強化に関する取組について引き続き丁寧に情報提供をしていきまして、住民の皆様の御理解を得られるよう努力をしてまいりたいと考えております。

2016年10月26日の記事で書いた 国土交通大臣の定例記者会見(2016年10月25日)に注目、リニア事業関連の新プロジェクト発進 について新プロジェクトの内容を続報したいと思っていたのですが、10月25日(火)石井大臣会見要旨 には無く、28日(金)の要旨にもありませんでした。この件は引き続きフォローします。

上記引用は別件ですが、この国土交通省のスタンスは10年、20年にも及ぶリニア中央新幹線建設事業にも関係する事だと思いました。
今次リニア中央新幹線事業認可に際しては、山梨リニア実験線を含めて国土交通省が把握し記録していた「事実」により国土交通大臣の意見書があり、それにより補正された環境影響評価書に基づき事業認可もされたものと思います。
沿線地域自治体には事業者JR東海の行う事について許認可の権限は無いか、あっても範囲は限られていると思います。しかし地域で発生した問題については容易に確認できる立場にあり、実験線を含めて全ての情報は報告され記録される体制は出来ているはずです。
しかし、それを逐次国土交通省に公文書として報告し記録されたことを確認する体制になっているのでしょうか。
引用した記者会見質疑応答を読んでいて不安を感じましたので、ここに記録しておきます。

私が不安に思うのは、地域の人々が感じている問題について行政サイトにも明確に記録されている事例は少ないと思えるからです。(静岡県の大井川問題の扱いは行政と県民で情報共有されている良い例と考えています。)
行政サイトの発信は市民に対してはいわば公文書のようなものだと私は理解しています。マスメディアが何を報じようと行政サイトに該当する記事が出ていなければ公式には意味が無いものでしょう。

ジャーナリストがどんな記事を書こうと、市民グループでリニア問題を語り合おうと、国土交通省には痛くも痒くもない、彼等には公文書として記録されていない事は事実では無いと扱われるように思えました。
国土交通省に「事実」情報が届いているかいないかは沿線地域行政の不作為とも言える問題に繋がるような気がしますが、行政の内情にはうといので個人的なメモとして残します。

posted by ict工夫 at 23:30| 国会・国政