2017年01月26日

山梨県の参考に新幹線騒音対策を長野県の実務から確認する

長野県庁サイトに 平成28年度北陸新幹線鉄道騒音・振動測定結果について(更新日:2016年11月18日)があります。下図はそのPDFファイルの部分キャプチャーです。

長野県新幹線騒音類型地域別測定一覧

上記長野県のページに書かれているように「騒音に係る環境基準」は「環境基本法第16条第1項により、騒音に係る環境基準は政府が定めています。」
この件の参考として自分のWebサイトで リンク集 環境省関係 を更新しました。
特に「新幹線鉄道騒音に係る基準」は「一般の鉄道騒音」とも別になっています。それが T類 70 db、U類 75 db の規程です。
それを踏まえた長野県の測定データが図のように新幹線騒音の類型地域別に測定され一覧表で公開されています。
この問題に関する長野県政のスタンスは、平成28年度の北陸新幹線騒音・振動測定結果をお知らせします(長野県環境部プレスリリース 平成28年(2016年)11月18日)で示されています。

では、長野県政は新幹線騒音の地域別類型をどのように指定しているのか。
この事について、『県民ホットライン』新幹線鉄道騒音の環境基準について(2015年7月16日回答) のページが参考になります。
上掲2016年度測定結果のページでも 「市町別の地域の指定状況はこちら→類型指定状況(PDF:131KB)」として公開されています。
この類型指定一覧を見ると、それぞれが長野県告示として発出されていて、「指定地域の図面は、長野県環境部水大気環境課、関係地方事務所、関係市役所及び関係町役場において縦覧できます。」とのことです。
それらの告示は指定一覧に記載された日付・番号により 長野県報 から探せると思います。例えば 長野県報 平成25年(2013年)7月29日 から『長野県告示第416号 平成6年長野県告示第130号(環境基本法に基づく新幹線鉄道騒音に係る環境基準の類型及び地域の指定)の一部改正 【水大気環境課】 』を読めば良いはずです。

リニア新幹線の騒音基準は法律が定めたものですから、なにか特別の政治的配慮がなされない限り山梨県内沿線だけ変えることはできないでしょう。法を変えさせるのは政権交代など有権者の仕事です。

JR東海の環境影響評価書(補正後)(PDFファイル 284 KB)でも、この騒音基準値をベースにして予測値と環境対策が県内各地域について述べられています(PDFファイルの後半 8-1-2-17 以後です)。
そもそも論から言えば、リニア新幹線が文字通り直線ルートでしか建設できない点に問題の根本があるのですが、お国が決めたことですから地域行政としては住民を守るために的確な方策を採るしかありません。

山梨県庁が新幹線騒音基準値の県内適用を通達したとの報道から発した事ですが、類型地域の指定は2017年になるという話をネット情報から知りました。
長野県のページは「環境部水大気環境課」が担当していますが、山梨県も大気水質保全課が担当のようです。

情報が得られやすい、理解しやすい地域は活き活きとしている・・・私の街づくりテーマの想い。
posted by ict工夫 at 01:20| 山梨県

2017年01月25日

長野県知事とJR東海社長が会談 2017年1月23日(報道記録)

リニアめぐり知事とJR東海社長会談(南信州新聞 2017年1月24日)

 リニア中央新幹線計画をめぐり、阿部守一知事とJR東海の柘植康英社長は(2017年1月)23日、都内の長野県東京事務所で「トップ会談」を行った。
残土発生土置き場の安全性確保を求めた知事に対し、柘植社長は埋め立て後の維持管理について「責任を持って対応することを念頭に検討する」と回答。「管理は地権者」としてきた従来の方針を転換し、地元が求める将来的な管理も視野に検討する考えを示した。
 同社はこれまで「発生土は有効な資源」などの観点から、埋め立て後は地権者に土地を返し、その後は管理に関わらない姿勢を示していた。
 会談は冒頭以外非公開とし、約1時間にわたって行った。
 知事は1961年の三六災害の被害を受けた経過も踏まえて安全性への不安を募らせる住民の声を伝えて、「発生土置場の安全性確保について、しっかりした取り組みをお願いしたい」と求めた。この際、一部から出ている土地の買い上げによる永続的な管理にも言及したという。
 終了後、取材に応じた知事は、柘植社長の発言を「こまれでより踏み込んだ発言だった」と評価。それ以上の具体的な言及はなかったとし、「将来的な維持管理の対応ややり方はいろいろある。JR東海の方針を待ち、必要があれば県からも意見を出したい」と語った。
 残土の安全管理をめぐっては、リニア建設促進長野県協議会が昨年(2016年)11月、総会で工事完了後の管理責任について配慮を求める決議を採択し、同社に提出していた。
 会談では、柘植社長から、残土の運搬路について「地域から改良の要請が出ている。道路管理者として連携してほしい」とする要望があったという。
 知事は「松川インター大鹿線の改良(の経験)を踏まえ、他の道路も必要な部分はしっかり対応する」と述べた。
 知事は他に、JRの現地体制の強化、地域振興策への協力も要請した。
 体制の強化は「現地の人員不足により、地域との協議や地元対応に遅れが生じ、信頼関係を構築できずにいる」とする市町村の声を踏まえた。
 地域振興は「柘植社長からJR東海を挙げて取り組んでいきたいという力強い発言があった」(知事)という。
 冒頭、柘植社長は「開業後は長野県の振興にも貢献したい」と強調。会談では、ことしで全線開業80周年となる飯田線について触れ、「地元と一緒に盛り上げたい」と述べた。
posted by ict工夫 at 23:00| 長野県

リニア騒音について法律と人への影響を考える学習会、1月29日@山梨県

以下のような集会・講演会の情報を得ましたのでご案内します。

山梨リニア沿線住民の会発足記念
リニア騒音について法律と人への影響を考える学習会

2016年11月、山梨県からリニア中央新幹線沿線で適用する騒音基準が発表されました。
軌道の両側 400m を範囲とし、住民区域は 70dB、商工業区域は 75dB と規定しています。
私たち路線下及び沿線住民はこのような騒音基準に対し強い憤りを感じ、「山梨リニア沿線住民の会」を組織しました。山梨県当局へも一方的な通達に抗議してきました。
この度、騒音に関する法律的な面と人的影響について専門家をお招きして次のとおり学習会を計画しました。更に 70dB (75dB) の騒音はどのようなものか会場で聴いてもらいます。多くの方のご参加をお願いします。

日時:2017年1月29日(日) 13時30分〜16時45分
場所:玉穂生涯学習館 2F視聴覚ホール (055-230-7300 山梨県中央市下河東1-1)
第T部 講演 【リニアによってもたらされる環境問題】
 中川武夫先生
 中京大学名誉教授/専攻 公衆衛生学 環境医学
 名古屋新幹線公害訴訟原告団顧問
第U部 講演 【東海道新幹線公害訴訟の経験とリニアの危険性】
 高木輝雄弁護士
 ストップ・リニア訴訟弁護団共同代表/名古屋新幹線公害訴訟弁護団事務局長
 四日市大気汚染公害訴訟弁護団員/名古屋南部大気汚染公害訴訟弁護団員
参加費:500円
主催 山梨リニア沿線住民の会
協賛 リニア・市民ネット山梨

この件は後日整理してWebサイトに記録する予定です。
ちなみに、2016年11月の県庁発表騒音基準というのは 2016-12-26 記事にした 「リニア新幹線騒音基準について山梨県知事に申し入れがされました 」 で言及した地元新聞記事のことだと思います。
年末年始の忙しさで自分は県庁発表のソースを未確認なので、後日確認するつもりです。

posted by ict工夫 at 14:28| 集会・講演会

山梨県バス交通ネットワーク再生計画とリニア新幹線新駅の関係

山梨県庁サイトで パブリックコメント(県民意見提出制度)−募集中の案件 から入ります・・・・ 2017年1月17日 「山梨県バス交通ネットワーク再生計画」(素案)に対する県民意見の募集について(募集期間 2017年1月17日(火)〜2017年2月15日(水))
その概要資料から引用しておきます。

 山梨県では、生涯にわたり安心して暮らせる社会を実現するバス交通ネットワークを構築するため、「山梨県バス交通ネットワーク再生計画」(素案)を取りまとめました。この素案に対して、県民の皆様から幅広く意見を募集いたします。
 県民の皆様から寄せられました御意見につきましては、計画の策定に当たっての参考として活用させていただくとともに、御意見の概要につきましても後日公表させていただく予定です。

ちなみにこの素案中に示されているバス利用調査については 山梨県バス交通ネットワーク再生計画策定調査業務委託(明許)公募型プロポーザルの募集について(2015年8月13日)により実施された調査だと思います。
履行期間が契約締結の翌日から平成28_2016年10月31日まで年度をまたがっているので、事業者ならすぐ理解できる予算用語として(明許)と書かれているのでしょう。この調査は1年間通して行なわれたはずです。

「山梨県バス交通ネットワーク再生計画(素案)の参考資料」buskeikaku_soan_honbun4_5_6shou_sankou.pdf から引用します。(強調は編者)

@リニア駅と甲府駅
 公共交通のハブ的機能を有するリニア駅と甲府駅の連結は本県の交通ネットワークにおいて重要であり、両駅間を結ぶバス交通については速達性・定時性及び地域内路線としての利便性の確保が特に必要となります。
速達性・定時性及び利便性に優れた国道358 号(新平和通り)ルートにおいて、交差点改良等による速達性や定時性の更なる向上を検討するとともに、IC カードによる料金徴収や運行情報の提供により利便性の高いバス運行を目指して参ります。

既にNHK山梨が2017年1月12日にJR甲府駅とリニア山梨県駅とを結ぶバスルートとして国道358号線を選定したと報じていました。それが「山梨県バス交通ネットワーク再生計画」に関係すると気付いて情報を探したのです。

身延線アンダーパス

甲府市ではよく知られたことですが、国道358号に冠水リスクのポイントがあります。
国土交通省甲府河川国道事務所 平成28年08月04日 山梨県内の道路冠水注意箇所(アンダーパス部)は15箇所〜道路冠水時の無理な通行は控えて下さい〜 ・・・ リストで(3)身延線アンダーパスを示しています(2016年8月作成PDFファイル))
【掲載画像は Google ストリートビュー(2015年7月) からのキャプチャーなので現在とは異なるかも知れませんが、国道(山梨県管轄)の上を身延線が通っています。】
山梨県県土整備部道路管理課は 2009年1月30日に「アンダーパスの冠水予防について」 を公開していますので引用しておきます。

これまで度々冠水している国道358号の身延線との交差箇所などにおいては、現在、排水ポンプとともに、水位計と連動して「通行止め」を表示する電光掲示板を上下線に設置し、「通行止め」になると(同時に)排水を開始する仕組みで冠水対策を施しているところです。

水位観測で通行止は結構なことですが、直通バスを使っていてはリニアに乗れなくなるので困ります。冠水を防ぐ国道のかさ上げは出来ないと思えます、高さ制限で大型車が通れなくなるはずです。JR東海が身延線の高架をもっと高くして道路は水平にするしかないでしょう、と、これは素人の見方ですが・・・
「速達性・定時性」に山梨県政はどう対応するのか、既に計画には折り込み済みなのか、時間がある時に素案を読み込んでおきたいと思います。

私は以前こんな記事を書きました・・・2012年11月02日 「デュアル・モード・ビークルの採用を、リニア計画」
これを踏まえて 「リニアを考えよう!コミュニティー」 Facebook に投稿されたNHKの358号線ルート決定報道に関する記事にコメントしたのです・・・『身延線を活用したDMVは鉄道が無い南アルプス市、富士川町などにも有用な公共交通になることを踏まえています。活用できる道路は既に整備されているのです。 リニア開通後に身延線が第三セクター化しても静岡県とも連携した事業として活動できるかも知れませんし、リニアがポシャッてもDMVは地域を活性化できる。』

山梨県内のバス交通ネットワークは街づくりの視点から考察すべきテーマですが、リニア山梨県駅との関係でルート選定に疑問がありましたのでリニア新幹線情報のブログにも書きました。計画の審議過程や素案を読み込んで何か気付いたら補足しますが、とりあえず以上。

posted by ict工夫 at 13:45| 山梨県

2017年01月14日

鉄道・運輸機構はJR東海に第2回目無担保貸付5千億円を実行

鉄道・運輸機構からの借入広報をJR東海が発信(2016年11月26日)の続報になります。

JR東海ニュースリリース 2017.01.12 記事 「経営独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構からの長期借入(第二回)について」(記事本文はPDFファイル)

平成29年1月12日
東海旅客鉄道株式会社
独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構からの長期借入(第二回)について

本日、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構からの長期借入(第二回)の条件が決定いたしましたので、お知らせいたします。

第二回貸付契約書

鉄道・運輸機構ホームページ の「新着情報」で 『平成29年1月12日 東海旅客鉄道株式会社に対する「中央新幹線の建設に係る貸付金」の第2回貸付契約について』を広報しています。記事本文はPDFファイルです。
以下に引用しておきます。(編注・元号に西暦を付記しました)

平成29_2017年1月12日

東海旅客鉄道株式会社に対する
「中央新幹線の建設に係る貸付金」の第2回貸付契約について

独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構(以下「鉄道・運輸機構」という。)は、中央新幹線の建設主体である東海旅客鉄道株式会社(以下「JR東海」という。)と中央新幹線の建設に係る第2回貸付契約を締結(平成28_2016年12月12日)致しました。
これによりJR 東海に対し、長期、固定かつ低利の貸付けを行うこととしております。

<中央新幹線の建設に係る貸付金の概要>
1.今回貸付契約額 5000 億円
2.今回貸付予定日 平成29_2017年1月16日
3.利率 0.8%(財政融資資金貸付金利、全期間固定)
4.弁済期限 平成68_2056年1月16日
5.返済方法 平成58_2046年7月まで据置、以降、元金均等返済
問い合わせ先
鉄道・運輸機構 鉄道助成部
電話 045-222-9148

ちなみにリニア中央新幹線品川〜名古屋間は2027年開通を目指して工事が行なわれています。JR東海の当初計画は名古屋〜大阪の完成による全線開通は2045年とされていました。名古屋〜大阪開通を8年短縮することを目的に財政投融資による貸付けを鉄道・運輸機構も行なえるように法改正されました。
「独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法の一部を改正する法律案」 を閣議決定(国土交通省報道発表資料 平成28_2016年9月26日)
以下リンク設定を含めて記録しておきます。

1.背景
 現在、整備が進められているリニア中央新幹線につきましては、本(2016)年8月に閣議決定した「未来への投資を実現する経済対策」において、現下の低金利状況を活かし、財投債を原資とする財政投融資の手法を積極的に活用・工夫することにより、全線開業を最大8年間前倒すことを図るとされたところです。
 このため、建設主体の東海旅客鉄道株式会社に対し、財政融資資金の貸付けを行うための措置を講ずる必要があります。
2.法律案の概要
 独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構について、当分の間、中央新幹線の速やかな建設を図るため、当該建設に要する費用に充てる資金の一部を貸し付ける業務を行わせるものとします。
添付資料
 報道発表資料(PDF形式 126 KB)  概要(PDF形式 199 KB)  要綱(PDF形式 28 KB)  法律案・理由(PDF形式 76 KB)  新旧対照表(PDF形式 92 KB)  参照条文(PDF形式 132 KB)

独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法
独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法施行令
独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構に関する省令

日本経済新聞電子版は 2017年1月13日に「JR東海、リニア建設資金5000億円借り入れ 鉄建機構から」と報じました。『この記事は会員限定です。電子版に登録すると続きをお読みいただけます。』なので引用は差し控えますが、この記事では「無担保」貸付けであることは書かれていません。「無担保」についてJR東海は広報しましたが鉄道・運輸機構の広報には記載はありません。
この件を朝毎読産経が報じているかどうか私は未確認です。
財政投融資に関して詳しくレポートされている樫田秀樹さんは、2017年1月13日に 「リニア、え! 3兆円の融資が無担保だって?!」 をアップロードされています。

品川〜名古屋開通を2027年として沿線各地行政により地域関連事業が進んでいる様相に私は疑問を持っていますので、リニア中央新幹線事業について情報整理を続けています。リニア事業本体はもとより各地関連事業で転進や玉砕が始まる前に何が可能か、既に開戦した後なので難しいことは百も承知。

posted by ict工夫 at 21:34| 国会・国政