2017年11月30日(木) 静岡県知事記者会見
【情報整理の為に、この記事のブログ掲載日は記者会見日に設定しています。会見記録の公開日ではありません。】
(幹事社)
では、発表項目についての質問などはございますでしょうか。特にないということですので、幹事社の方からの質問をさせていただきます。
今日の質問は1問だけとなっておりまして、リニアの中央新幹線の計画についてです。JR東海は今月24日の会見で、大井川を流れる水の減少分を全て川に戻すという従来の考え方を強調し、年内に流量減少対策を、流域の自治体に説明する方針を示しました。静岡県は、17日JR東海の柘植社長の発言に対し、難波副知事が行かれまして抗議をしているというふうに思いますけれども、その後、JR側からの回答や説明はありましたでしょうか。
また、ないとしたら、こうしたJR側の説明を聞いての受け止めをお聞かせください。
(知事)
はい。難波副知事がJR東海を訪問いたしまして申し入れを行ったのは、柘植社長が「全量が何かはっきりしない中で、全量を戻すという約束はなじまない」という主張をされたことによって、申し入れたものでありまして、柘植社長の発言は、大井川流域減少問題への認識の低さを表していると。同社の信用を失墜させる問題発言であるということによって、申し入れが行われたわけです。
利水者および県がJR東海に求めているのは、トンネル湧水の全量を恒久的かつ確実に大井川に戻すことであります。本年4月3日付け知事意見書に明記した通り、本県境界内で発生するトンネル湧水は、貴重な水資源の賦存量の一部でございますので、トンネル湧水の全量を大井川に戻すことは、当然の利であります。県としましては、これまで長い時間と労力をかけて、JR東海と下流の利水者との協定締結に向けた調整を行ってきました。しかし、社長自らが全量の定義が分からないという認識であれば、協定は白紙撤回もやむをえないという、そういう姿勢でJR東海の柘植社長への認識を問うたということであります。その結果、11月の24日の記者会見で、利水者や県が主張している全量が、トンネル湧水の全量であるということを、初めてご理解されたということが分かりました。その認識については確認できたと考えております。
しかし、中下流域での河川流量の減った分を計測し、その分を全て戻すことで影響が出ないように取り組むと、これまでの主張を繰り返されておりますが、従って、まだ全量について明確な判断は持ってらっしゃらないのではないかと思います。河川流量というのは、もちろん天候、あるいは自然条件などで日々変わるものですから、われわれが協定を締結するに当たりまして求めたのは、トンネル工事で流量が減少する、その全量を戻すべきであると、トンネル内の湧水全量を流域に戻すこと。当たり前のことを言っているわけで。それをですね、協定も結ばないで半年以上放置してきたという不誠実を厳しく批判しているわけでございます。
利水者への説明を概ね終えたと述べられていますが、到底納得が得られているとは思いません。例えば、つい先頃、中部電力社長、勝野社長がこの水質への影響また流量への影響などについて、疑念を表明されました。これも一つで、従って利水者への説明が終えたなどというふうに述べられているのは、全く認識の不足というものを示していると思います。
さらに言えば、そもそも平成26年の6月に南アルプスが、エコパークに認定されたわけであります。従ってそうしたところに傷を付けると、そこを環境破壊するということ自体がしっかり捉えられていないのではないか、そのことの問題性が、自覚が不足しているのではないかと思っております。もちろん、一番大切なのは大井川の水は単なる川の水ではないということでありまして、去る11月の10日だったでしょうか、国営の大井川用水農業水利事業というものが、20年近い、丸19年の年月をかけて完成いたしました。これは、もう江戸時代以来というか、大井川が水を活用するようになってからの歴史以来ですね、戦前戦後と続きまして、一番最新式の工事、600億円近く掛かっているんですね。この工事が完成した。それは、いかに大井川の水が重要であるかということでですね、そこに関係している静岡県下の四つ、五つの土地改良区の皆さま方、これは一生懸けて願ってこられたことが、ようやくできたもので、こうした形で何十万という人たちが生業を営まれております。そういう水なんですね。
ですから、そもそも利水者への理解というものが、いかに大切かということについてですね、ただ10キロ走るからそこでのトンネルを掘らしてくれと。掘るのはいいにしても、流量が減少するから、それは毎秒2トンあるだろうと。それはそれなりに対処するとおっしゃったのが、川の流量が減った分を戻すことだと思ってるとかですね、その流量もなかなか全量と言ったって分からないとかですね、おっしゃっているわけですから。基本的に、認識が不足しているというふうに思います。ですから、この自然破壊に対しましての認識の不足、利水者に対する理解の不足、そして説明不足というものもございまして、回答が一応出されたということではありますが、ようやく湧水全量が全量の意味だということが分かったということでありますけれども、その程度であったかという考えを持ちました。以上です。
(幹事社)
確認ですけれども、JR側からは県に直接回答があったということですか。
(知事)
いいえ、記者会見で24日になさったということ。恐らくこちらの申し入れ、難波副知事からの申し入れに対する回答として、記者会見で表明されたものだというふうに受け止めております。
(幹事社)
この件に関連した質問、各社さんいかがでしょうか。
(記者)
関連して、そうすると11月24日のJR側の記者会見でですね、柘植社長が大井川の水の減った分を全て戻すと、つまり2トン減ったら2トン戻すという意味合いのコメントをしていると思いますけれども、それは知事の求めている全量ということとは、やはり違うものということなんでしょうか。
(知事)
協定の真ん中に、トンネル工事で出る湧水は全量戻すというように、ずっと前からうたっているわけですね。だから大井川で流量が減ったと、それを戻すと。流量は毎日違います。季節ごとに違います。そして、気候によって違いますね。天候、雨が降ったときとか、渇水のときだとか、違いますので。そうしたことではないんですね。
自分たちがする工事の倫理的な責任というものをですね、明確にすると。それはトンネル工事で流量が減るということは当たり前です。これは沢も枯れるでしょう。しかも下流域だけについて流量を戻すとおっしゃっていますけれども、上流域だって沢枯れますよ。ですから、こういう工事そのものについてですね、これほどの認識不足で工事をしているのかというふうに思っています。
今のご質問につきましては、彼の全量というのが、今までこれほどの大きな工事についてですね、トップが認識を持っていなかったということを明かしたというふうに受け止めております。
(記者)
以前に知事が会見の場で、そもそも流量全体を戻すことを約束すること自体も、なかなか無謀なことというふうにもおっしゃっているんですけれども、その範囲は具体的に言いますとどういうことなのか、額面通り捉えちゃうと無謀な約束をJR側に迫っているということなんでしょうか。
そこはどうでしょう。
(知事)
いや、無謀な工事であるということなんですね。工事自体が無謀であるということであります。
(記者)
そうすると、トンネルの湧水全量を下流域からではなく、上流からちゃんと戻すべきだと、具体的に言うとそういうことなんでしょうか。
(知事)
具体的に言うと、トンネルの工事で出る湧水、これは川に流れないわけですから戻すと、それに尽きますね。それをこちらから言われて初めて分かったということじゃないですか。そもそも、そういう認識でですね、工事をやっていたということで、しかも約束もしなかったと、半年以上ですよ。4月末まで待ったわけです。なおかつ延ばしてきたということで、私は10月の会見でですね、もうこういう工事をすること自体が無謀だと。約束しているではないかと、ちゃんと戻すと。そういう中身のない約束をすること自体もおかしなことだというふうに思いましたし、今回、まだ流量が、つまり川の流量を減った分を戻すというふうな認識をまだお持ちのようでですね、それは違うでしょうと、自分たちが工事をして自然を痛める。流量が減る、生態系を痛める。そのことについて、そういう工事をするということの無謀さを、そして、そのことについての認識の甘さがあるという中で工事をすることの無謀さを、従って、難波副知事が申し入れたときにはですね、文字通りこれは白紙撤回に値すると、そういうつもりで申し上げたわけです。
とりあえず、ようやくトップが、このトンネル工事で出てくる湧水は全量戻しますよというふうに言ったと。「何年かけたのかと、今まで」というふうにすら思いますね。
まったく、何という会社かと、何という自然に対する冒瀆(ぼうとく)かと、南アルプスを何と心得るかと。南アルプスは大井川の水源です。水源にいかに多くの人々が、子々孫々ですね、これからまだ依存していかなくてはいけない。しかも今回、11月の初めに20年ほど掛けてようやく大井川の水をですね、市域でも大井川に接している所以外にも、農業用水として、それで7450ヘクタールぐらいものすごい農地がですね、これによって潤されているのですよ。そこが干上がったらどうするんですかということを考えたことがありますかと。
恐らく農水省もですね、この認識を知って驚いたと思いますし、中部電力もですね、改めて「こんな認識か」ということで、うちの水量はどうなるんだと、水質はどうなるんだと、泥が入ってきたらどうなるんだと、発電にいろいろと支障をきたすだろうというようなことでですね、勝野社長が自らああいう発言をされたということは、JR東海の、静岡工区における認識の甘さに対する警鐘であるというふうに存じますし、私はこれは、認識を持たれたことは遅まきながらいいとしてもですね、その程度であったかという考えを改めて持った次第であります。
(記者)
すみません、もう1問お伺いしたいんですけれども、そうしますと、そういった状況の中で、今推定で毎秒2トン流量が減るんじゃないかという検証の下で、なるべくその2トンに近い状況に戻すということで、導水路の工事の発注をしたという、まあ一方でそういう動きをJR側も見せていますけれども、それについてはどのようにお考えでしょうか。
(知事)
よくもまあそこまでやったなという感じですね。地元の理解、利水者の理解、流量に対しての見識の不足、そうした中で工事は発注すると。工事なんてできっこないというふうに私は思っておりますがね。
この発注をしたのは勇み足だったと思っています。
(記者)
分かりました。
(記者)
同じくリニアについてなんですけれども、先ほど白紙撤回もありうる中で、今回一定程度の全量への文言が返ってきたということで、今後は協定案についてはどのように進めていく予定なのか。
(知事)
今回、ようやくトンネル工事で出てくる湧水を戻すと、それが湧水全部を戻すという当たり前のことについての認識を持たれたということは評価します。そんなことはいろはだと思いますね。自分たちが傷をつけたものはちゃんと元通り直しますよというのは当たり前のことです。
しかし、よく考えてみればですね、何のためにそれをするのかと、静岡県にとって何のメリットがありますか。水が減ることは間違いないと、できるだけその減った部分は返そうと思っていますと、できるだけというのは、これは客観的ではありません。要するに、何のメリットもないわけですね。この工事自体が。そもそもリニアが静岡県を通るということも、天から降ってきた話です。
ここを通すことについて、その前にですね、静岡県に話があったわけではありません。私自身はリニア新幹線の関係する委員会がございます。長野県に住んでおりましたので、長野県の学術委員会代表の、たった1人なんですけれども、出て行ったわけですが、各県から1人委員出ているんですよ。静岡県から誰も出てこなかったし、静岡県を通るなどということはですね、平成23年の3月だったでしょうか、あのときに突然、その案が決まりましてですね、それで初めて知ったということなんですね。当然そこを通るということになれば、前もって相談もあるべきであります。なかったんですよ。
私は、言ってみれば長野県側の当事者の1人として、それを知っています。ただですね、私自身の認識不足もありまして、これは前の記者会見でも申しましたけれども、リニアが通れば、既存の新幹線の活用方法が変わりますね。いわば二つルートができるわけですから。その結果、既存の新幹線において、ひかりとこだまの本数が増えると、さらにまた報告書にはですね、実質空港の下に駅を造るということもうたわれているんですね。ですから、これは静岡県にメリットがあると思ったわけですが、そのときに私自身の認識不足は、水の問題についてですね、全く認識していなかったということです。
改めまして、気が付けば済むことなのですが、気が付いて、早川町に大井川の上流で水がかなりの分発電のために流れ、人工的に流量が変えられているんですね。それを元に戻せないかどうか、現場を見に行きました。それは難しいということも分かりました。早川町の町長さんともお話をいたしました。そうした中でですね、一方こういう利水に関わる関係者がいかに多いかということも知ってですね、それからまたエコパークにも認定されたということが分かってですね、実は最大の問題は、既存の新幹線の活用で静岡県にもメリットがあるということにも増して、そんなことはもう第二、第三のことでですね、一番肝心の水というものが、水源地が場合によっては一部枯れると、そして影響がかなりのところに出てくるということでですね、これはもう捨て置けないということであります。その認識は恐らく、柘植社長あたりはですね、あまり厳しく捉えられていなかったんじゃないでしょうか。私ですらそうでしたから。
ましてもっといろいろ考えてらっしゃる、静岡県だけじゃなくで、他の地域のことも考えてらっしゃる方にとっては、10キロだけ掘るだけだったぐらいのつもりだったんじゃないかと思いますね。だけど、われわれにとってはこれは死活問題なんです。メリットなしということです。デメリットだけだと、静岡県370万、天下の大井川、傷つけてですね、何が公共事業かというふうに思っています。
(記者)
リニアの関係で11月24日のJRの会見においては、社長がおっしゃったのは、県が求めているのはトンネル内の湧水の全量であるということを分かっているということをJR東海がおっしゃったのであって、トンネル内の湧水全部を戻すということはJR東海はまだ約束していない状況だと思うのですけれども、今JR東海が言っているのは、減った分の全量を戻すという従来の主張のままだと思うのですけれども、この状況で、県として利水者側とJR東海の間に立って協定の交渉を前進させるってことは、今の段階で可能だと考えてらっしゃるのか、無理だと考えてらっしゃるのか、いかがでしょうか。
(知事)
記者さんが今言われたとおりですよ、現状は。全量というのはトンネル工事でできる湧水全部だということは分かってると。だけど一方で減った分だけ戻しますよと言ってる。だからこれ乖離しているんですね。そんなところでですね、協定を結ぶために県が調停をするということはあり得ないです。
あなたもそう思ってらっしゃるでしょ。ご質問が実際そういうご質問ですよね。いかにひどいかということですね。相手の姿勢が。白紙撤回に近いところにまで、まだ私たちは立場を持って、本当にこの工事これでいいのかというふうに思っております。
大井川はですね、実は非リプレイサブルなんですよ、取り替えが利かないんですね。ところがですね、リニアはルートでもう公案が出されてですね、いろいろとものすごい議論がありました。だから実は代替があるんですね。代替案というのが。
だけどこちらはないんですよ。水が失われると、これによって失われる産業、あるいは場合によっては生活、あるいは町、村、農場などがあるんですね。あるいは小水力発電もあります。こうしたものが全部台無しになるということでございまして、そういうことになればですね、代替案があるルートと、全く代替が効かない大井川という自然の賜物と、どちらが大事ですかと。このかけがえのないものは、きっちり守らなければならないという、そういう考えでおります。
(記者)
今のお話ですと、現状ですと、静岡を通らないでいただいて結構だと、そういうような思いでいらっしゃるということかと。
(知事)
そこまで言うとね、せっかく長い議論されてお決めになったことですから、ですからもう一度頭冷やして考えていただきたいと。工事をする前にやることもあるでしょう。関東平野を掘る、あるいは名古屋から伊奈の方にまで掘っていくという、いくらでもやることはあるわけです。
難工事から始めると、しかも、それを人の迷惑も考えないでやるというような状況ですから、できることから先にやったらどうでしょう。私は別にリニア新幹線に反対しているわけではありません。そもそもその促進論者の1人でありましたし。しかし、この問題とそれとは違うと、リニアに反対しているわけではありません。大井川の流量が減るということについての認識に甘さに対して、厳しく指弾しているということであります。
(記者)
すみません、続けて質問なんですけれども、JR東海側としては、もう知事が10月10日の会見でおっしゃったときに、基本協定の締結は最終の詰めの段階だったというような認識だったようなんです、JR東海の方としては。でも依然として県のいう全量と、JRの言う全量は異なったまま現状に至っているわけですけれども、知事としては、基本協定ですらも認識が違ったままですと結び難いという思いでいらっしゃるのですか。
(知事)
それはそうです。共通の認識を持たないで協定などできません。
(記者)
考え方によっては、基本協定の後に本協定という段取りだと思うんですけれども、本協定で県のいう全量を認めればよいというような考えもあるかとは思うんですけれども、知事は基本協定から同じ認識の全量というのを約束しなければ、難しいという考え。
(知事)
そうですね。そもそも工事をするということ自体が、静岡県に対してデメリットをもたらすものだけで、本協定といえ、基本協定といえですね、結果的に協定を結べばメリットが増しますか。メリットが出てきますか。一つもありません。
そんなこと、協定をする前から、基本方針としてJR東海が言うべきほどのものですよ。こちらが申請をして、流量が減った分は戻してくださいと申請をする性質のものではありません。要請をするような性質のものではありません。戻してやると言われるような形でですね、そういう上から目線でJR東海がですね、こちらに戻してやるから安心して工事させろと、そんなような筋のものではないということで、一番の倫理の基本です。
しかも、さらに言えば人間の権利の問題もありますが、川の権利、自然の権利、環境権というものもいえばですね、環境が持っている権利というのは、今国際社会でも認識されつつありますけども、こうしたものに対しての冒瀆(ぼうとく)であるということも含めていいますと、そもそも協定、本協定という名の背景にあるJR東海の姿勢と、哲学というものはなっていないと思っております。この南アルプスのトンネルに関してはですね。
(記者)
もう1問だけいいでしょうか。10月10日の会見で、知事はJR東海に誠意を示すことが大事であるというご発言をされたんですけれども、そこから1カ月ぐらい、1カ月以上経過していますけれども、あの誠意というのはどういう意味なのかというのが、聞いた人によっていろいろな捉え方があって、一番私が聞く中で多いのが、新幹線の空港新駅の話を言っているのではないかと、誠意のことの意味は。というような見方をする人がかなり多いんですけれども、私はそんな単純なものではないんじゃないかなというふうには思っているのですけれども、知事の中で、あそこでおっしゃった誠意というのはどういうイメージのものなのかというのを、もう少し分かりやすく教えていただけないでしょうか。
(知事)
JR東海が、いわば準公共機関ですよね。そうしたところが、今回の工事について、既に4月の末までに要請していたわけです、締結をね。その後、ずっとなしのつぶてだったでしょ。まあ1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月と待っていたわけですね。そうした中で、社長の発言があったわけです。私のこの誠意がないという、これが協定に関わるJR東海に対する私の判断ですよ。
そうして出てきたのが、全量についてはよく分からんと、しかしなるほど、今彼らが、つまり私たちの言っていることが分かったと、トンネル工事の湧水全てだということがわかったと。その分かって、じゃあどうするんですかと、減った分は返しますと、言っているわけでしょ。トンネル湧水全て戻すといわない。ですからもう、この辺りで駄目だなと、この会社のトップが。そうなるともう、協定が結べるような状況ではないなというふうに思っていますね。
誠意については、先ほども申した通り、協定に関わることについて、誠に乱暴なこれまでの態度であったと思っております。理解不足ということで。
(記者)
ありがとうございます。
(記者)
では、ずばっと聞いちゃいますけれども、今、記者さんがおっしゃってたようなJRの新幹線の新駅について、JR東海側が検討する余地があると言い出したとしても、大井川の問題についてはこれは筋は別のものであると、知事はお考えだということでしょうか。
(知事)
これはね、リニア新幹線が2027年、仮に予定通り完工されたとすると、その2027年の段階で、既存の新幹線とリニア新幹線のサービスが両方、同時並行的に行われるわけですね。従って既存新幹線の活用の仕方ということについても、交通政策審議会中央新幹線の小委員会で報告書に書かれてるんですよ。そのときには、既存の新幹線で新駅、実質、空港の真下の駅のことなんですね。この共通理解があるわけです。それを小委員会の委員長であらした家田先生、また葛西さん含めてですね、名前をうたわれていないけれどあるんですよ。だから、いずれこれはできるんですよ。
私はそれはどうせ造るのであれば、前倒しで造るということがあっていいと。その理由は、一つは2027年にリニア新幹線のサービスを開始するとおっしゃったその後に東京オリンピック・パラリンピックの誘致が決まったということがありますね。そのために外国のお客様の処理能力が今の首都圏の空港では足りないということがありました。
それから御嶽山の噴火がありましてですね、それで富士山の噴火というのもあり得ると。噴火をいたしますと、例え小噴火でも空港の使用は非常に難しくなります。つまり羽田とか、場合によっては成田とか、横田とか非常に難しくなるわけですね。従って、うちの空港の重要性が出てくると。
それから、さらに言えば、大規模な広域防災拠点というのも、後に決まったわけです。リニア新幹線を2027年に完成すると言われた後に決まったものですから。
だから、こういう重大事案に照らすならば、どうせ造るならば先に造ったほうがいいと。いざというときのためにね。そういうことを言ってきたわけですが、それを何も今度のことにひっかけて言っているわけではありません。できたときにはできることになるわけですから。
いわば、「のぞみ」機能の大半がリニアの方に移るわけですね。つまり大都市間を結ぶ超特急はリニアにとって代わられるということです。従って急行と鈍行になる、「ひかり」と「こだま」になるんですね。平均13本走ってるうちの9本が「のぞみ」ですから、「ひかり」と「こだま」の世界にこれからなると。その場合、「ひかり」と「こだま」の本数が増えると。
そしてさらに、横に長いこの静岡県の場合には空港の真下に新幹線が通ってるというメリットを生かそうということで、そこに駅を造るのが望ましいというのが、小委員会の共通理解でもあるわけですね。それはそれでいいんですよ。誘致しようっていうよりも、あとは時期だけの問題であったわけです。そんなことに引っ掛けて、水の問題とこれとどちらを取るかというのは、次元の違う話です。
(記者)
すみません、たびたび、そうすると大井川のこの問題なんですけれども、これ環境アセスの問題といわゆる協定の対利水者の問題でちょっと分けて考える必要があると思うんですけど、JR側が2トン流量が減れば2トン全量を戻します。必要ならポンプアップもしてというふうに回答していますけれども、会見で言ってますけれども。そうするとそもそもトンネルの湧水というものが、そもそも全部大井川に行くものであるのかどうかというのが分からない中で、そもそも論になると思うんですが、なぜこのトンネル内の湧水を全て戻す必要があるというふうにお考えなんでしょうか。そこをちょっと教えていただきたいんですが。
(知事)
それは水が減った分は全部戻す。なぜ減るか、工事によって減ると。工事によって出る水の量は、そのまま大井川に流れないわけですから、それを戻すということであります。
その量がどれくらいかというのが推測で、まあだいたい1.3トンぐらいはですね、導水路で戻せると。しかしちょっと高いところがありますから、そこの分は、0.7トンぐらいはポンプアップして戻すと。こういうものは机上の計算なわけですね。しかし、ポイントはですね、工事をすることによって流量が減るというのは素人でも分かります。沢が枯れるわけですね、水脈に傷を付けるわけですから。ですから、流れが変わることは明らかなわけですね。そういうことをする結果に対して責任を負いますよと。じゃあどういう責任かと言えば、出たところのいわば傷口は全部補塡(ほてん)しますということですから。それがトンネルの工事における湧水の全量を戻すということなわけですね。量がどれだけかということじゃなくて、全量を戻すという意味はそういうことです。
(記者)
ありがとうございます。
大井川のトンネルの工事の地元に当たる地域住民に対して、JR東海さんが今後説明の動きが一部にあるかと思いますけれども、こうした動きに出てることについて、内容はまだこれからのことかも知れませんが、その後出てくることかと思いますが、そうした動き自体についてはどのようにお考えでしょう。
(知事)
リニア新幹線はどこを、大月と甲府の間を通したわけですね、その後どういうふうに造るか、どういうふうに名古屋まで結ぶかについては、ものすごい長い時間の議論があったわけです。そのぐらいかかるんじゃありませんか?
(記者)
ありがとうございます。となりますと説明は例えば着工に至るまでの限定的なものというよりは、かなり丁寧に回数を重ねなければならないものと?
(知事)
そもそも論からやらんといかんと思いますね。そもそもここに通すということの正しさも含めて地元の説明もしなくちゃいかんというふうに思います。
そもそも長野を通す、岐阜を通す、愛知を通す。三重から奈良を出て大阪に至ると。それぞれ通るところについてのご説明をされてきたわけです。長いこと。うちにはありませんでしたから。これからですね。覚悟していただきたいと思っております。
(記者)
分かりました。ありがとうございます。
(幹事社)
よろしいでしょうか?では、それ以外の質問がある方はお願いします。