2017年12月29日

リニア談合〜全論点徹底解説〜(郷原信郎さんの記事)

リニア談合、独禁法での起訴には重大な問題 〜全論点徹底解説〜(郷原信郎が斬る 投稿日: 2017年12月26日)

2017年12月26日に、「不正入札問題、郷原信郎さんの意見(日経コンストラクションの記事)」 をご紹介しましたが、同じ日付けで郷原さんご自身のサイトで記事が公開されています。郷原さんの記事はいつも長文ですので、中見出しだけをリストしておきます。
余りにも早い「独禁法違反」による強制捜査着手
筆者の独禁法刑事罰・談合問題への関わり
「独禁法違反の犯罪成立は問題ない」との認識の誤り
入札談合は、なぜ「独禁法違反の犯罪」となるのか
入札談合の独禁法違反の「犯罪の実行行為」
高度な建設工事における「価格」と「技術」の関係
リニア工事で必要とされる高度な技術
発注前の技術面での協力と「受注調整」
4社の受注額が均等であること
準大手ゼネコンを「排除」したと言えるのか
独禁法違反の刑事罰適用は相当に困難
今後、検察・公取委、JR側はどう対応すべきか
企業コンプライアンスの観点から
「組織が社会の要請に応えること」という意味のコンプライアンスに関する活動をしています。法令・規則・ルールを守ることが自己目的化するという「遵守」の弊害を指摘しています。23年間所属した検察の問題も組織論の重要なテーマです。美濃加茂市長事件の弁護等を通して、権力との戦いも続けています。

郷原信郎さんのTwitter もありますが、その固定メッセージ欄から上記引用させていただきました。「遵守」という言葉が行政サイトなどでも頻繁に使われるようになって久しいですが、法に則っているからナンデモアリのような状況を郷原さんが『 「遵守」の弊害 』と表現されていることに私は同感しています。

私は「シン・リニア」と名付ける

続きがあります・・・
タグ:入札不正
posted by ict工夫 at 12:57| 国会・国政

2017年12月26日

不正入札問題、郷原信郎さんの意見(日経コンストラクションの記事)

リニア談合は問題を単純化しすぎ、元東京地検・郷原氏(2017/12/26 日経コンストラクション)
『リニア中央新幹線の建設工事で、大手建設会社4社が談合をしていた疑いが強まっている。公共事業の入札制度や独占禁止法に詳しい郷原信郎弁護士に、話を聞いた。』
――東京地検特捜部と公正取引委員会が、独占禁止法違反の疑いで12月18日に鹿島と清水建設、19日に大林組と大成建設に家宅捜索に入った。今回の事件について、どのように見ているか。

 恐らく、リニア建設工事の規模や難しさを分かっている人であれば、事件に戸惑っているのではないだろうか。特捜部や公取委は、問題を単純化しすぎている。発注方式も工事の難易度も従来と異なるのに、“旧来型の談合”と同列に捉えているようだ。

――旧来型の談合と今回の事件は、どこが異なるのか。

 旧来型とは、価格だけで受注者を決める指名競争入札で行われていた談合だ。企業同士が結託して、持ち回りで決まった会社が一番安い価格で落札する。事前の協議で価格をつり上げたり、公平な競争を制限したりしていた。これは、どこの建設会社が受注しても同じものが造れる、ということが前提だった。 【中略】

 一方、リニア建設工事の発注には競争見積もり方式(編集部注:入札参加者が示した技術提案と見積もり価格を総合的に評価して協議先を選定し、協議が成立した場合に契約する方式)を採用している。施工に高度な技術が必要で、旧来のように価格だけでは受注者を選べないからだ。
 技術的な評価が必要なので、建設会社間の相談だけで受注者を決められるような仕組みではない。発注者と協議・交渉の上で決まるのだ。技術の面で大手建設会社が優位でなので、工事を多く受注するのは自然な流れだろう。
 特捜部や公取委には、この視点が抜け落ちているのではないか。確かにリニア工事の契約については不透明なところが多く、そこに切り込んだ点は評価できるが、建設会社間の談合が主題になる問題とは、ちょっと考えられない。

――とはいえ、建設会社間で各工区の受注者を事前に決めていたメモが見つかったという報道もある。事実であれば、受注調整、つまり談合していたと問題になるのは当然だ。

【中略】
 受注調整というのは、施工に必要な技術開発や人の確保なども含めて、事前に準備をするために4社で調整しないといけなかった、という意味ではないか。例えば都市部のトンネルと山間部のトンネルでは必要な技術が異なるので、前もって準備をしようと。それで残したメモを公取委に見つけられて「受注調整をしたのか」と聞かれれば、「はい」としか言えない。
 本来なら技術や品質を考慮しなければならない発注方式だが、公取委はそこを突き詰めて考えていない。あえて問題を単純化して「受注を調整していたかどうか」だけに絞っている。建設会社やJR東海からしっかりと話を聞いているのか疑問だ。
 もしかすると建設会社の中には、工事に先立って必要な段取りをしていただけなのに、これで独禁法違反になるのか、という意識があるのかもしれない。

続く2ページはそれぞれ次のようなサブタイトルです・・・
 ◇ 発注が民間会社かどうかは関係ない
 ◇ 今後のビッグプロジェクトにも影響

続きがあります・・・
タグ:入札不正
posted by ict工夫 at 19:39| 国会・国政

2017年12月23日

静岡県知事記者会見 2017年12月18日:リニア中央新幹線について

静岡県知事記者会見 (2017年12月18日)
(記者)
 今日ですね、リニア中央新幹線の工事をめぐって東京地検特捜部が独占禁止法違反の疑いでですね、建設会社大手の鹿島と清水建設を家宅捜索しました。午後にも大成建設、大林組の家宅捜索するとされています。リニア事業で静岡県内が関係する南アルプストンネルの静岡工区ですとか、導水路トンネルの工事は大成建設さんが受注されました。大きなリニア事業がですね、捜査対象になっている、また静岡県も少なからず関わっています。改めてリニア事業に関してですね、捜査対象になっていることを踏まえて、知事の見解があればお願いします。
(知事)
 リニア事業が捜査対象になったというニュースは驚きました。しかし、今年起こったさまざまな大企業の不祥事といいますか、品質の不正であるとか、自殺に追い込むような人事環境であるとか、そうしたものが日本を代表する企業で起こっておりますね。ですから、氷山の一角かなという感じもしております。
 電通、NHK、神戸製鋼、それから日産ですね。そして今回の、それから東レもそうですね。経済団体連合会の会長さんの会社でしょ。こういうことは、どこかに倫理規範の緩みみたいなものがあるんじゃないかというふうに思います。
 リニアに関しましては、今捜査中ですからこういうコメントは差し控えたいと思いますけれども、とにかくリニア工事は、もし断行されると、毎秒2トンの流量が失われる、そういう推定値が出ているわけですね。これは前提のままでやるということであればですね、水が失われるということですから、これは全量を戻すということで協定に入ってくださいということで、今年の3月に申し入れたわけですね。4月末日までということだったのが、今日に至るまでそんな約束もできないということで、今日に至っていると。そして、場合によってはこういう協定結ばなくても、工事はやる可能性があるっていうような、そういうニュアンスの発言も漏れ聞いているわけでありますけれども。これはモラルの問題というのが、今問われているんではないかというふうに思います。
(記者)
 知事が最後に触れたように、水の問題に今絡めておっしゃっています。その辺のモラルの問題と、ダイレクトにつながらないでしょうけども、いわゆるJR東海さんの姿勢を批判されたという意味合いですか。
(知事)
 そうですね。分からないと乱暴なことになりますね。例えばここに花がなければ、知らなければですね、ばーんと手を振ったら花瓶が壊れるじゃありませんか。分かればそういうことしないでしょ。ですから、認識不足だと、罪に、悪事に結びつくことだってあるわけです。ですから水の問題については、私自身もリニアには当初から大賛成で、長野県の代表ということも一時期ありましたから。リニアの持っているポテンシャルをですね、日本の技術のシンボルだとしてエッセーにも書くぐらい応援していたわけですね。そういう立場でリニアの問題に関心を持ったのが最初です。静岡県を通るというようなことは、これは青天のへきれきでした。もともとは通る県については、JR東海さんは極めて丁寧にご説明をされ、了解を得てルートを決められたんですね。ルートというのは、大きくエス字型に最初から描かれていたわけです。東京からぐーと、名古屋に入ってそこからエス字型で三重の方に下りて、そして大阪に出るという。じゃあ名古屋からですね、三重、奈良そして大阪に至るルートってのは、決まってるでしょうか。決まってません。
 そこを、例えば京都市長さん「俺のとこ通せ」なんておっしゃってるでしょ。ですから決まってないんですよ。同じように、ルートについては静岡を通るということは誰も想定してなかったですね。私も想定していませんでした。だから、長野のどこを通るかということについて、長野県の知事さんをはじめ、当時の、相当なご意見があったわけですが、それが南の静岡をかすめるなどということはですね、長野県とJR東海さんというのは徹底的な議論というか、反発も含めてですけれども、なさっておられました。静岡県は全くありません。ようやく水の問題ということについて、これがいかに重要な問題であるかと、大井川の水の問題は、文字通り100年を超す問題なんですね。農業用水であり、また命の水であり、つい最近完成した大井川用水農業水利事業、これはもうこの19年間だけでも、600億円以上使い、7450ヘクタールの地域をかんがいしたわけですね。この人たちにとっては、これでようやく先祖に申し訳が立つというぐらいの大きなものなんですよ。
 こうしたものについてですね、どれぐらい多くのJR関係者の方が認識をされているかというと、それは他の仕事もされているわけですから、お持ちになっていないと思いますね。しかし、ここは70万の人たちが生活し、それで生きているわけです。こうしたことについての認識をお持ちになると、おのずとそこから出てくる行動があるというふうに思ってます。ですから現状分析について、水の問題を核とした現状分析について、JR東海は十分な認識を持たないまま、今規定路線で進めようとしてされているというふうに思いますが、今回、入札問題で不正があったという疑いが出てきてですね、ちょうど反省するという機会を持たれたと思い、よかったとは思っていますね。
 強引に進めないということになるでしょ。それはよかったと思っています。
(幹事社)他ありませんでしょうか。
続きがあります・・・
posted by ict工夫 at 21:34| 国会・国政

2017年12月20日

長野県道松川インター大鹿線への土砂流入の原因及び復旧計画(JR東海発表記録)

2017年12月16日の記事、長野県道松川インター大鹿線への土砂流入(JR東海発表記録)の続報です。

長野県知事会見録一覧 にはこの事案についての会見記事は出ていません。(2017年12月20日確認)
長野県建設部道路建設課の リニアに関連した道路整備箇所について、 長野県飯田建設事務所の 県道松川インター大鹿線の改良工事について 及び大鹿村の 大鹿村内のリニア工事・道路状況、これらのページはJR東海の復旧計画公表により更新されると思います。

私には長野県政の対応が公式記事からはわかりませんが、地元紙は報じています。
中川の崩落 リニア関連工事原因 JR「振動で発生」(信濃毎日新聞 2017年12月20日)
リニア関連工事が原因 県道の土砂崩落 JRが復旧計画示す(南信州新聞 2017年12月20日 16時18分)

【長野日報】が報じたことから国交省事務所と長野県地域事務所は問題を想定する引き出しが大きいことを示していると感じました。大鹿村民だけで無く、工事中のトンネル内部事故で救急活動が必要になることも想定したのでしょう。これだけの人々が何故リニア事業を認めてしまったのでしょうか。
緊急車両の通行可 小渋ダム土砂トンネル(長野日報 2017年12月20日 6時00分)
 国土交通省天竜川ダム統合管理事務所(中川村)と県飯田建設事務所は、同村大草の県道松川インター大鹿線で起きた土砂崩落による通行止めに伴い、迂回路にした県道松川大鹿線が万一、土砂崩れや大雪などで通行不能になった場合、緊急車両が小渋ダムの土砂バイパストンネルを通行できるようにする対応策を決めた。国交省によると、緊急車両が土砂バイパストンネルを通行する対応は全国初。

JR東海ニュースリリース 2017.12.19 主要地方道松川インター大鹿線道路への土砂流入の原因及び応急復旧計画について(PDFファイル) を記録しておきます。

平成29年12月19日
東海旅客鉄道株式会社
主要地方道松川インター大鹿線
道路トンネル新設(四徳工区)
工 事 共 同 企 業 体
主要地方道松川インター大鹿線道路への土砂流入の原因及び応急復旧計画について

 平成29年12月15日に発生しました、主要地方道松川インター大鹿線道路トンネル新設(四徳工区)工事現場付近における土砂流入事象の原因及び道路の応急復旧計画について、お知らせします。

1.概況
 ・平成29年12月15日(金)午前3時25分頃、主要地方道松川インター大鹿線道路トンネル新設(四徳工区)工現場付近において、土砂流入が発生しました。
 ・本事象に伴い、現在も、四徳大橋松川側付近〜松除橋付近(※)まで道路を通行止めにしており、一般車は県道松川大鹿線(県道22号線)に誘導しております。
  ※松除橋付近:主要地方道松川インター大鹿線終点。県道松川大鹿線(県道22号線)との分岐点

2.施工会社
 ・主要地方道松川インター大鹿線道路トンネル新設(四徳工区)工事共同企業体(代表構成員 戸田建設株式会社、構成員 吉川建設株式会社)

3.原因
 ・現在も詳細は調査中ですが、当社が発注し、工事共同企業体が施工している四徳渡トンネル工事の発破等による振動が繰り返し作用したことにより、トンネル直上の地山が緩み、土砂流入に至ったものと考えています。

4.応急復旧計画 ※詳細は別紙
 ・工事にあたっては、道路をご利用の方や作業員等の安全に万全を期して進めてまいります。

[ 応急復旧計画の概要 ]
 ・今後、現在工事を行っている、道路トンネルの掘削を進めて貫通させ、トンネル内の路盤・舗装作業を実施し、年内には、仮回し道路(片側交互通行)として、一般車に通行頂ける状態にしていく計画です。
 ・その間に主要地方道松川インター大鹿線道路への流入土砂の撤去、法面への追加安全対策、仮土留めの設置等を進めていきます。
 ・その後、県道を一部開通(片側交互通行)させ、本復旧に向けた作業を進めていきます。

別紙資料は画像として引用しておきます。

続きがあります・・・
posted by ict工夫 at 13:50| 工事

2017年12月19日

「談合は必要悪」な地域では「工事の遅れは困る」と語るのみ(報道記録)

リニア 県「工事の遅れは困る」(NHK甲府のニュース 2017年12月18日 17時53分)

リニア中央新幹線の建設工事をめぐる事件を受けて山梨県リニア推進課は、JR東海に事実関係を問い合わせていますが「捜査中なので答えられない」と回答されているということです。
そのうえで「県内の多くの自治体が関係するプロジェクトで県民が開業を心待ちにしているので工事に遅れが出ては困る」と懸念を伝えているということです。

NHK甲府が県庁職員から聞いた通りの文言を記載したのかどうか不明です。
山梨県リニア推進課 はこの記事に書かれた内容について、NHKが伝えた内容の正誤を指摘し、山梨県庁の真意を、分かり易く、明確に、県民はもとより全国民に伝えるべきと思います。

東京地検特捜部の動きはマスコミが連日伝えていて、関心をもつ国民も多いと思います。
特捜部は偽計業務妨害容疑で捜査を始めたのですが、公正取引委員会が加わって 鹿島と清水建設を捜索 リニア工事で独禁法違反容疑(日本経済新聞 2017/12/18)
鹿島と清水 捜索 リニア受注調整か 独禁法違反疑い(東京新聞 2017年12月18日 夕刊)が報じられました。
「談合」という単語が今回のリニア入札不正事案にも使われることになったのです。JR東海に「工事に遅れが出ては困る」と伝えたと報じられた山梨県政のスタンスを国民はどのように理解するでしょうか。ゼネコンの談合も地方自治体公共事業の場合と同様に「必要悪」でしょうか。

続きがあります・・・
posted by ict工夫 at 21:39| 山梨県