【仮掲載です、沿線都県自治体行政に他都市の状況を確認して頂く為で、静岡市長の回答にご注目いただきたい。Webサイトで整理する予稿です】
2018年8月13日
田辺信宏静岡市長様
南アルプスユネスコエコパークにおける
林道の管理に関する条例の目的に沿って
JR東海通行許可申請に慎重な対処を求める要望書
南アルプスとリニアを考える市民ネットワーク静岡
共同代表(氏名は略します)
(2018年)8月7日、JR東海はリニア中央新幹線の工事に関しての井川地域の説明会において「8月末の宿舎の建設、9月に林道整備、2020年の井川トンネル工事着工」スケジュールを公表した。静岡県は8月8日リニア中央新幹線の自然環境・水資源をテーマとする有識者会議を開催し3回に亘る審議を通じて対応策を決定するとのことである。
既に私たちは6月20日(編注・01)のJR東海と静岡市との基本合意に対して6月25日に6点に亘る要望書を提出しているが7月4日期限の回答が未だなされていない。この基本合意は「井川トンネルの永年の地元要望の実現」「機会を逃せぬ交渉事」論で「実利」を獲得したという成果が強調されている。
しかし、別の側面からいえば「JR東海の井川トンネル工事費の全額負担」によって成立した基本合意は、2014年2月議会の市議会決議の精神を踏みにじるものであり、1都6県の中で唯一の自治体として南アルプス環境調査を継続していることの意義を壊しリニア中央新幹線建設事業影響評価協議会の存在をないがしろにするものである。
結果として静岡市の民主主義的質の高さを葬り去らせしめるものである。また静岡県中部地域や8市2町のリーダー市としての信頼を失い、静岡県との対等な権限を有する政令市としての尊厳を貶めることにもなるのである。
【以下略】
基本合意の5番目で「市は、JR東海の南アルプストンネル工事に必要となる許認可を含む行政手続きに関して速やかに対応する」としているが、私たちは改めて「南アルプスユネスコエコパークにおける林道の管理に関する条例」の目的について再確認したい。
この条例には第1条において「(目的)条例は、南アルプスが国際連合教育科学文化機関が実施する生物圏保存地域に登録されたことを踏まえ、当該登録に係る南アルプス生物圏保存地域(以下「南アルプスユネスコエコパーク」という。)の森林の有する多面的機能が持続的に発揮されることの重要性に鑑み、南アルプスユネスコエコパークに存する林道について、静岡市法定外公共物管理条例(平成15年静岡市条例第252号)に定めるもののほか、その管理又は通行に関し必要な事項を定めることにより、林道の機能の保全及びその通行の安全を図るとともに、環境と調和した健全な林道の利用を確保し、もって林業の振興、林道周辺の森林の有する多面的機能及び自然環境の保全並びに地域社会の発展に資することを目的とする」を定めている。
そして2017年の9月議会においてJR東海からの通行許可を求められた際の条例の適用について質問をした松谷清議員に対し3点の答弁を行っている。
1、工事車両の通行を許可するに当たっては、他の利用者の妨げとならないことや、林道を損傷し、林道の通行に危険を及ぼすおそれがないこと、その通行目的が森林法に違反し保安林内で立木の伐採を行うなど林道の設置目的に反し不適切でないことが必要。
2、また、JR東海が行う中央新幹線の建設工事により、森林の水源涵養機能が損なわれる行為や希少野生動植物が絶滅するおそれなどの林道周辺の自然環境の保全に支障を及ぼすおそれがないことが前提。
3、これらを満たしたうえで、条例に基づく通行の申請があった場合につきましては、森林法などの各種法令等に基づく手続きが適法になされていることを確認し、工事車両の通行について判断していく。
を再確認し共有したい。
とするならば、JR東海からの通行許可が申請された場合に上記の答弁に従い厳しく対処することが求められる。リニア新幹線計画が持ち上がった2014年2月の市議会決議に続いて12月に可決された林道管理条例の意義を再確認すべきである。この意義に従うなら単に林道の通過という交通上の問題でなく「林道の周辺」という時の「周辺」とは物理的距離の問題でなく「自然環境への影響(ダメージ)」という観点や森林の水資源涵養機能、自然環境の保護の視点から南アルプス全体に関わる、ひいてはユネスコエコパークの理念からの林道管理条例の適用を求めるものである。
以下要望する。
1、林道管理条例の適用に当たり改めてリニア中央新幹線の公共性について明らかにすること
2、申請があった場合にその申請内容を速やかに全面公開すること
3、宿舎建設資材の輸送計画や林道整備計画を公表すること
4、「森林の水源涵養機能が損なわれる行為や希少野生動植物が絶滅するおそれなどの林道周辺の自然環境の保全に支障を及ぼすおそれがないこと」を確認するために「リニア中央新幹線建設事業影響評価協議会」で審査し結論が出るまで通行許可を出さないこと
5、JR東海による環境調査及び静岡市の環境調査により追加された希少種の移植など対処措置が妥当なものであるのか、協議会委員による現地調査を行うこと
6、大井川の燕沢の河川敷を通っている林道の整備を行う場合は、残土360万㎥の処理計画とも絡み境界線の確定も含め大井川の河川管理権を持つ静岡県との協議が必要であり合意するまで通行許可を出さないこと
7、林道整備がもたらす「周辺」を物理的狭い範疇とせず改めてリニア中央新幹線の公共性と水源涵養、水資源、自然生態系に鑑みて静岡県が設置した有識者会議の結論を待っても遅くはなく結論が出るまで通行許可を出さないこと
以上、8月31日までに文書にて回答を求める。
【全文掲載ではありませんので
『緊急!静岡市長にJR東海からの林道通過許可申請に「ユネスコエコパーク林道管理条例」の目的に沿った慎重な対応を求める要望書を提出しました!』(静岡市議会議員まつや清さんのブログ記事)からご確認ください】
【編注・01】
静岡市がJR東海のリニア工事計画に合意、県知事はそれを批判(報道記録)(2018年06月22日記事)
続きがあります・・・
posted by ict工夫 at 21:11|
エコパーク