赤羽一嘉国土交通相は22日の閣議後記者会見で、リニア中央新幹線の東京・品川−名古屋間が予定通り令和9(2027)年に開業できるとの認識を示した。
リニア中央新幹線は、環境対策をめぐってJR東海と静岡県の対立が続き、静岡県内の一部工区が未着工となっている。赤羽氏は全体の工期が遅れる可能性について、「具体的な検討をする状況にない」と述べ、JRが目指す9年の開業には間に合うとの考えを示した。
【以下略】
その上で、「開業の遅れをJR東海も心配されているのであれば、まずは(県との間で)懸念をしっかりと議論してクリアしてほしい。そのために国交省がサポートしていく」と強調した。
静岡県の川勝平太知事は国交省とJR東海との3者協議に農林水産省や環境省も加わるよう求めている。赤羽氏は「国交省鉄道局が必要な調整や協力」を続ける中での川勝氏の考えに、「いかがなものなのか」と疑問を呈した。その上で、JRと静岡側の「意思疎通がしっかりと図られることが大事だ」と述べた。
この産経新聞記事を読んで、11月22日の大臣記者会見がアップロードされるのを待っていました。11月25日に公開されたと思いますが、私は遅れて27日に読みました。
会見当日の午後に産経新聞が報じた内容と一致すると考えられる大臣発言を、私には認識できませんでしたが、とにかく静岡県の問題が解決せぬ限りリニア中央新幹線沿線自治体での地域活性化関連の大規模事業計画も手がつけられない状況になることは確かだと思います。
2019年11月22日 国土交通省大臣記者会見(国土交通省サイトでの公開は 11月25日)(以下はリニア中央新幹線関係の質疑応答のみ引用)
リニアの中間駅としては初めての着工ということになりますけれども、改めてリニア計画の重要性などに関して大臣の御所見をお聞かせください。
併せて、静岡工区を巡っては、東京・名古屋間の開業時期への影響を懸念する声が出ておりますが、協議推進に向け、国土交通省としての対応方針などもお教えください。
(答)本日22日、リニア中央新幹線の中間駅としては初となる神奈川県駅の起工式が行われます。
リニア中央新幹線は、改めて申し上げるまでもないわけですが、最速で東京・名古屋間を40分程度、また、やがては東京・大阪間を1時間強で結ぶことになります。
三大都市圏間の人の流れを劇的に変え、国民生活や経済活動にも大きなインパクトをもたらすことになると考えております。
加えて、三大都市圏を結ぶ大動脈の多重系化により、災害対応としても重要であると考えているところです。
また、リニアの建設工事につきましては、環境影響評価法や全国新幹線鉄道整備法に基づく手続きを経て進められているところでありますが、今お尋ねの静岡工区につきましては、静岡県が権限を有する許認可の手続きを進めるにあたって、JR東海と静岡県、この当事者同士の間の議論が必ずしもかみ合っていない状況が見られております。
このため、国が議論を整理する立場で、鉄道局が中心となって、調整してきているところです。
改めてなのですが、今週、静岡県の川勝知事が記者会見で、協議に農林水産省を参加させるように新たに求めています。
川勝知事は、以前、水管理・国土保全局や環境省の参加を求めた際、大臣は鉄道局を中心にと仰いました。
この件について、もう一度、農林水産省を入れるかどうかという点と、もう1点、リニアの南アルプスの工事というのは3大難関工事の1つと言われ、JR東海の金子社長は、5月以降、このままでは2027年開業に懸念を示しております。
川勝知事や地元が懸念する大井川の流量減少、流域の地下水の減少については、JR東海が、有識者による調査で技術的に問題ないことを示してはいるのですけれども、静岡県側が受け入れずに、技術的に本質的な議論に入ることはできていない状況です。
この協議にさえ入れない状況について、今後、何か打開策はないのでしょうか。
その2点について教えてください。
(答)これはよく御存知だと思いますが、そもそも論はJR東海と静岡県の間での問題だと思っておりまして、静岡県内の流域市町から表流水や地下水への影響についての御懸念がありまして、また、JR東海の地元への説明のあり方への疑問、不満があったと承知しております。
ですから、こうした流域市町の皆さまの抱えていらっしゃる御懸念や御不満を建設主体であるJR東海が受け止めて、両者の意思疎通がしっかりと図られることが大事なので、それがなかなか十分になされていないので、国土交通省は、行司役と言ってよいかわかりませんが、引き続き、必要な調整や協力等を行ってまいりたいと思っております。
ですから、国土交通省として、先ほど申し上げましたとおり、中心は鉄道局がそれをやっておりますので、その中で、川勝知事が環境省や農林水産省ということを言われるのは、ちょっといかがなものなのかなと思っております。
そのために、国土交通省、鉄道局は、サポートできることは支援していく、こういうことだと思っています。