2021年05月31日

JR東海が山梨工区トンネル非常口工事を公開(報道記録)

2021.05.17 静岡からわずか2km、JR「山梨リニア工事」ルポ 同じ南アルプスでも湧水少なく、掘削は順調 by 大坂 直樹(東洋経済オンライン)
2021.05.16 「南アルプストンネル」へ行ってみた リニア中央新幹線 建設工事の注目ポイント by 恵 知仁・鉄道ライター(乗りものニュース)
【編注・山梨県メディアの記事だけで 2021-05-12 にアップロードしたのですが、上記2点が確認できましたので5月31日として更新しました。】
2021.05.12 リニア中央新幹線 トンネル工事の現場を報道公開(NHK甲府放送局 05月12日 19時19分)
リニア中央新幹線は静岡県が県内の着工を認めずJR東海が目標としている2027年の開業が難しくなっています。
こうした中、山梨県では難工事の一つとされる南アルプスを貫くトンネルの工事が進められていて12日、その現場が報道陣に公開されました。
公開されたのは山梨県早川町にあるリニア中央新幹線の「南アルプストンネル」のトンネル本線の工事のための通路などの役割を果たす「斜坑」と呼ばれるトンネルの工事現場です。
12日は、トンネル本線の南側にある斜坑の出入り口付近の様子が公開され、内部から、掘削で出た土砂などを運び出す装置や掘削用の爆破に使われるダイナマイトを設置する重機が置かれていました。
JR東海によりますとこの斜坑は全長およそ4キロで現在、8割近くにあたる3.3キロの掘削を終えていて、来年5月ごろにはトンネル本線に到達し、既に始まっている工事に合流する予定だということです。
「南アルプストンネル」は完成すれば全長およそ25キロ、深さは最も深い部分で地表から1400メートルで、地層が複雑に入り組んでいることなどもあり難工事とされています。
「南アルプストンネル」の斜坑は今回公開されたものも含め山梨県、静岡県、長野県であわせて7つあり、トンネル本線の工事で機材などの搬入や土砂の搬出などの役割を果たす通路として利用されるほか、リニア開業後は災害時の避難経路などに活用されるということです。
リニア中央新幹線をめぐっては水資源への影響の懸念から静岡県が県内での着工を認めず目標としている東京、名古屋間での2027年の開業が難しくなっています。
また総工事費がこれまでの見通しより1兆5000億円膨らみ、7兆円余りに上ることが明らかになっています。
JR東海山梨工事事務所の中川隆広所長は「山梨県側では工事は順調に進んでいます。一日も早い開通に向けて今後も安全確保を行いながらしっかりと工事を進めていきたいです」と話していました。
20210.0512 JR東海「工事は順調」リニア工事 南アルプスを貫くトンネルの非常口を公開(YBS 2021.05.12 19:36)
リニア中央新幹線の工事で南アルプスを貫くトンネルは全長25キロでこのうち山梨工区は7・7キロの区間です。
ここにはトンネル本体につながる非常口が2本あります。
5月12日、この内の山梨県早川町にある広河原非常口の工事現場が報道陣に公開されました。
JR東海は工事は順調だとしています。
5月12日公開されたのは早川町にある広河原非常口です。
このトンネルは全長約25キロの南アルプストンネルのうち約7.7キロの山梨工区の工事を行うため造られているもので、リニア開業後は非常用としても使われます。
全長4.1キロのうち約8割にあたる3.3キロ地点まで掘り進められ、現在、1日に3メートルから4メートルの速さで掘削作業が行われているということです。
トンネル工事が行われている場所の地層は想定より湧き水の量が少なく、作業は順調で、あと1年ほどで工事は完了する見込みだということです。
なお、リニア新幹線をめぐっては、静岡県が工事による大井川の流量減少を懸念し静岡工区の着工を認めていません。
このためJR東海は目指していた東京ー名古屋間の2027年の開業は難しいという考えを示しています。
2021.04.28 JR東海「財投追加借り入れせず」 リニア建設費増加で(日本経済新聞 2021年4月28日 19:00 [有料会員限定])
JR東海は総工費が膨らむリニア中央新幹線をめぐり、財政投融資による追加借り入れを実施しない方針だ。これまで3兆円の融資を受けているが、建設費の増加は本業で稼ぐ現金や社債発行、一般的な借入金で賄う。借入金などの長期債務は2021年3月末の4兆9326億円から、29年度には6兆円に膨らむ見通し。
JR東海は日本経済新聞の取材に対して「現在、財政投融資によるさらなる借り入れをする考えはない。資金調達はその時々で最適な方法で行う」と説明した。新型コロナウイルスの流行を受けて最近は旅客数が落ち込んでいるが、ワクチンが普及して客足が回復すれば大型の資金調達ができると見込んでいる。
財政投融資は、インフラ整備などに政府がお金を出す仕組み。JR東海は当初、民間からの借り入れを検討していたが、40年間の固定金利で条件が良いため鉄道建設・運輸施設整備支援機構を通じて借り入れている。
リニアの工事を巡っては東京・品川―名古屋間の総工事費がこれまでの計画より1.5兆円増え7兆円に膨らむとの見通しを27日に公表した。工事が想定以上に複雑で追加の対応が必要で、地震対策なども充実させる。同社は経営の健全性と安定配当を維持できない場合は、工事のペースを調整するという。
posted by ict工夫 at 23:19| 工事

2021年05月26日

大井川“命の水”と“生物多様性”を守る活動(紹介)

大井川の水を守る62万人運動  今回のクラウドファンディングを実施された組織のホームページです。
リニア新幹線を考える静岡県民ネットワーク(Facebook)

大井川“命の水”と“生物多様性”を守る活動にご支援をお願いします。(支援募集は5月30日(日)午後11:00まで)(以下、部分引用)
 みなさんは、JR東海の「リニア中央新幹線南アルプストンネル工事」の影響で、大井川の“命の水“が減り、流域の暮らしと南アルプスの生物多様性が大きく損なわれるかしれないということをご存知ですか?
 わたしたちは、JR東海に科学的根拠に基づいた十分な説明を求めてきましたが、実現されていません。また、県は国交省と環境省に情報開示と議論を求めていますが、誠実な対応がされているとはいえません。科学的根拠を欠いたまま、また、十分な議論がなされないままに、トンネル工事が進められることがないよう、そしてなにより、南アルプスの恵みである大井川の“命の水”と“生物多様性”を守りたいという思いで、活動をはじめました。
リニアを考えよう!コミュニティー (リニア問題を取り上げている Facebook)で知りました。静岡県の有志が開設されてリニア中央新幹線沿線各地の人々も参加されています。時にはリニア中央新幹線事業推進を説かれる方々の投稿・議論もあるので、私も情報を得る為に時々拝読しています。
 Facebookにログインしていれば、メンバー登録していなくても通常のブログなどと同様に読むことができます。ですから、マスメディア、ジャーナリスト、行政関係者など多彩な読者がおられるのではないかと私は思っています。
クラウドファンディングに気付いたので上記のようにサイトを確認して、このブログでもご紹介しておく事にしました。
posted by ict工夫 at 22:58| 静岡県

2021年05月21日

山梨県内は沿線8割に防音防災フード、JR東海が知事に説明

2021.05.21 リニア中央新幹線 県内地上区間の約8割にフード設置と説明(NHK甲府放送局 05月21日 18時12分)
リニア中央新幹線の県内の地上を走る区間で線路をコンクリートで覆う、「防音・防災フード」の設置について、JR東海は21日、知事などに対して技術的に難しい区間などを除き、地上区間のおよそ8割に設置する計画を説明しました。

リニア中央新幹線が県内で地上を走行するおよそ27キロの区間については長崎知事などが騒音対策や富士山の火山灰対策のため原則、すべての区間で、線路をコンクリートで覆う「防音・防災フード」を設置するよう求めていたのに対し、JR東海は、発生する熱を逃がせなくなるなどとしていました。
これについて検討を進めてきたJR東海は、甲府市で開かれた県の期成同盟会の総会に集まった知事や計画ルート沿線の市長や町長に対し地理的条件などのため技術的に難しい場所と河川や農地など住居の少ない場所を除く、地上区間のおよそ8割にフードを設置するという計画を説明しました。
残りのおよそ2割は、10か所のあわせて4キロから5キロほどでこの区間では高さ2メートルから6メートルの「防音壁」を設置するということです。
この区間の沿線の住宅で、騒音が70デシベルを超える場合は防音型アルミサッシへの取り替えなどの対策を行うとしています。

また、富士山の火山灰対策として、噴火した場合も夜間などに除去作業をして運行できるとしています。
JR東海は早ければ来月以降、沿線住民への説明を行う予定です。
JR東海の宇野護副社長は「引き続き工事の安全や環境の保全、そして地域の連携を重視し、計画を着実に進めていきたい」と述べました。
長崎知事は、「できるかぎり最大限の誠意ある対応をしていただいたことは高く評価し感謝したい」と述べました。

【以下引用は略します】 リニア中央新幹線をめぐっては南アルプス市の住民がJR東海に対し工事の差し止めを求める裁判を行っていて、原告団の代表の志村一郎さんは「およそ8割にフードが設置されると聞くと多少は騒音も抑えられるように感じるが、不安は癒えない」と話しています。
また、志村さんは、「防音壁の区間に近い住宅には生活に影響があり、防音型のアルミサッシに取り替えても夏場も窓を閉め切って過ごさなければならないなど問題は残っている。どの程度騒音が抑えられるのか具体的な説明を聞きたい」と話していました。
この件は山梨県内だけでは無く、地上走行がある沿線地域の全てに関係します。
関係地域について書いたブログ記事は、ブログ記事のタグ・カテゴリー索引で整理していますので、ご参照ください。一例として 南アルプス市・2019年11月17日 リニア中央新幹線工事差し止め等請求訴訟 第2回弁論 11月19日
 過去の状況から考えれば、JR東海サイトで山梨県知事に説明した内容が掲載されることは無いでしょう。それは他都県でも同じかと思います。
 2021年6月以降、沿線住民への説明を行う予定との事ですが、その説明会もJR東海が指定する地域住民に限られ、各地説明会ではマスコミ取材も限定されると思えます。これまでの事業者のスタンスから導かれる想定です。
 沿線地域によっては、開催された閉鎖的説明会の内容を他都市の人々にも伝えておこうとする地域住民からの情報発信はされない場合も多いです。
これは地域自治体でも同様です。行政によってはリニア中央新幹線の「いいとこ取り」発信はしても問題対策発信はしていないケースがあります。
今回の山梨対策フード事案は、これからのリニア中央新幹線事業がどの様に進むかを国民が判断するよい事例になるでしょう。
続きがあります・・・
posted by ict工夫 at 19:00| 環境影響

2021年05月11日

リニア中央新幹線の総工事費増額をJR東海が発表

確認が遅れましたが、2021年4月27日にJR東海社長が記者会見で発表です。
JR東海公式サイトのニュースリリース・2021.04.27 【社長会見】中央新幹線品川・名古屋間の総工事費に関するお知らせ・・・公開記事はPDFファイルです(152 KB)(テキストのみ、画像はありません)
 中央新幹線品川・名古屋間の建設については、平成26_2014年10月に品川・名古屋間の工事実施計画が認可されて以降、品川駅、名古屋駅、南アルプストンネルなど、早期に着手する必要があるものから順次、設備投資の意思決定を行った上で契約を締結し、工事を進めています。
 その中で、品川駅・名古屋駅の両ターミナル等の個別の工事案件によっては、当初の想定額を超えるものが発生したことにより、工事費の増加を見込むこととなりました。
 その一方で、昨年来の新型コロナウイルス感染症の影響で、経営環境が急激に悪化したことから、今般、工事に必要な資金計画と健全経営の確保を確認するため、品川・名古屋間全体の工事費の見通しについて、合理的と考えられる要素を盛り込んで精査を進めたところ、
 総工事費が「中央新幹線品川・名古屋間工事実施計画(その2)の認可申請について」(平成29_2017年9月25日)でお知らせした金額を上回る見通しとなりましたので、お知らせ致します。
 【PDFファイル原文のまま、編者が改行を変え西暦を付しています。以下は部分引用です。】

1.総工事費(品川・名古屋間)の見通し
  7.04 兆円
  ※工事実施計画(その2)時の見込み額(5.52 兆円)に比べ約1.5 兆円増。
  ※車両費含む。山梨リニア実験線既設分を除く。
2.工事費増の理由
  ・難工事への対応、地震対策の充実、発生土の活用先確保 等
  ・主な増加理由は、別紙「工事費の主な増加理由」をご参照ください。
 【本文の引用はここまでにします】

「工事費の主な増加理由」(PDFファイルの末尾に記載されています)

(1)難工事への対応(+0.5 兆円)
  ・品川駅、名古屋駅の両ターミナルについて、工期が長期にわたる複雑な工事であり、契約の手続きを進める中で、リスクを見通せる範囲で工事を分割して発注しました。また、工事を進める等の過程で、地質の不確実性や狭隘な場所での施工上の制約の厳しさ等が分かってきました。

(2)地震対策の充実(+0.6 兆円)
  ・明かり区間の構造物について、山梨リニア実験線における走行試験のデータを用いた解析及び小牧研究施設における試験装置での加振試験等で確証を得た対策に基づき、地震への更なる備えとして構造物全体を強化する必要が生じました。

(3)発生土の活用先確保(+0.3 兆円)
  ・都市部の発生土については、活用先の確保が困難でしたが、埋立事業における護岸工事等(横浜港新本牧ふ頭等)の費用を負担することで解決を図りました。また、山岳トンネルからの発 生土については、活用先の候補地の状況を踏まえると、運搬費や受入費が増加する見込みです。

【総工事費に関する参照資料】
 (1)国土交通省・平成26年10月17日 中央新幹線(品川・名古屋間)の工事実施計画(その1)の認可について
      工事予算 4兆  158億2,000万円(今回認可対象工事分)
  (参考)総工事費 5兆5,235億5,000万円
     (車両費を含む。山梨リニア実験線既設分は除く。)
 (2)JR東海・2017.09.25 中央新幹線品川・名古屋間の工事実施計画(その2)の認可申請について(PDFファイル) この末尾に掲載されているのが
 「中央新幹線品川・名古屋間(延長285km605m)工事費予算書」
      合  計 4,853,560,000千円  
 現時点での総工事費:5,523,550,000千円
     (車両費を含む。山梨リニア実験線既設分は除く。)
4月27日頃の私は政府のゴールデンウィークでのコロナ禍対策はどうなるのかと情報確認をしていたので、このJR東海社長記者会見は全く知りませんでした。
別記事に書きましたが、山梨工区の非常口トンネル工事をマスコミ公開したという情報を知ってJR東海サイトでその件の発表があるかどうか確認していて、この社長会見に気付いたのです。
現時点で事業費の増加を報告したのは何故なのだろうかと疑問も感じましたが、とにかく記録しておくだけにしました。
posted by ict工夫 at 20:48| リニア中央新幹線