この基本構想でとりわけ話題を呼んだのは山梨県地元での利用者数予測でした。
それはこのページにあるように、『リニア新駅利用者数(乗降客数)約12,300人/日(開業時:約8,900人/日)(71.9%)』という数値です。
沿線4駅の地域活性化計画による数値〜神奈川(相模原)、山梨(甲府)、長野(飯田)、岐阜(中津川)での新駅利用者数を足し合わせると一日の総利用者数を大幅に上回るという予測数字が示された記事に記憶があります。
さらに、途中停車駅はどのように設定されるのかも私は疑問でした。それぞれの駅で1時間に1本は停まるが、それは品川−名古屋間でその駅だけ停まるという意味で、各駅停車を意味しないとも言われました。
しかし、朝に東京を出て、山梨見物しながらお昼を食べ、飯田見物をして夕食をとって東京に帰るという旅の計画が成り立つには各駅停車しか無いのです。高速移動のメリットが大都市圏との時間距離短縮だけではなく、沿線地域連携、観光のトライアングル形成に成るには各駅停車が必要です。
資料の1や2によると、『2027年開業時の営業計画では、1時間あたり片道5本、うち4本が直達列車で残り1本が途中駅に停車する各駅停車と想定されている。』です。
モデル1 として、品川あるいは名古屋駅から1,000人の乗客が途中4駅で全て下りてしまうと想定して、各駅250人/時、往復で500人/時、20時間の運行で1万人/日です。乗客数往復2千人の20時間で4万人を中間4駅で奪い合うことになります。
モデル2 としては、品川乗車1,000人が相模原で降りる、入れ替わりに相模原乗車1,000人が甲府で降りる・・・以下同様に1,000人が各駅で入れ替わるというモデル。そうすると各駅利用の乗降客は2,000人/時で、到着列車から降りた地域へのお客様は1,000人/時となります。
現実はモデル1とモデル2の中間になるでしょう。山梨県予測 12,300人/日を算定したモデルはわかりませんが、全席予約制で定員厳守ですから、乗客としては利用計画、JR東海としては予約管理がかなり大変だと予想はできます。途中駅の乗降客が増えるのは地域観光や催事と関係すると思えます。平日はビジネスモード、休日は各駅停車を増やす、そういう時刻表設定が求められるかも知れません。
リニア実験線を育ててきた山梨県として、JR東海に品川〜名古屋リニア運行時刻表を提案していただきたいものです。
品川〜名古屋ノンストップで40分「夢の超特急」というキャッチフレーズは度外視して、沿線地域活性化の為に各駅停車本数を最適化するリニア運行はどのようなものであるべきかを検討し、それに基づいた時刻表の提案です。
16両編成で定員1000人が往復し時速500km、神奈川・山梨・長野・岐阜の各駅に停車して地域計画が想定する利用客になるような運行時刻表の最適モデルを組み上げてみる。各駅停車が1時間に1本ではおそらく各地域の活性化計画の条件は満たされないでしょう。
各駅停車最適化運行時刻表こそが沿線地域活性化をもたらすという提案を、地方創生を進める安倍晋三政権は無視出来ないでしょう、その為に沿線各地域出身の国会議員が注力すればよい。完成まで何年かかるか分かりませんが、開通のあかつきにはこの時刻表提案を無視しないことを政府と事業者に約束させる。
但し、このような提案についてはリニア中央新幹線建設促進期成同盟会は東京・愛知とその他の県に分かれる、内部分裂するかも知れませんが、それはオトナとして解決するしかありません。
(沿線4駅での乗降客予測とリニア中央新幹線を活用した地域活性化計画については、いずれ最新版を確認してWebページで整理する予定です)
参考資料
◇ 1 リニア新幹線の定員は何人?(リニアはいらん 2014/08/07)
◇ 2 リニア中央新幹線、毎時5本を想定。速達4、各停1で、各停の所要時間は1駅8分増(鉄道ダイヤ改正ニュース 2013年09月19日)
◇ 3 「リニア新幹線」品川‐名古屋40分は速いのか? 地下に深く潜るので乗降にロスタイムも(J-CASTニュース 2013/9/19)