2015年08月03日

大深度地下使用に係る井戸等の物件調査

JR東海、中央新幹線(品川・名古屋間)大深度地下を使用する区間における井戸等の物件調査の範囲について
中央新幹線の大深度地下を使用する区間では、ルート上に40m以上の深井戸等の物件があるかどうかの調査を行います。(大深度地下の公共的使用に関する特別措置法 第13条) 調査はルートに部分的にでもかかる可能性のある土地を対象に行います。調査範囲図は以下のとおりです。
アップロードされたPDFファイルは地図です。そのPDFファイルの作成日を読み取り、公開日の代りに編者が追記しました。2015-08-03 現在です / 2015-08-09 首都圏の(26〜40)以降がアップロードされているのを確認し、読み取れた作成日を記載しておきました
(1)首都圏
    (1〜13)品川区 [3.7MB] ※2015-07-24
    (14〜25)大田区・世田谷区 [3.9MB] ※2015-07-24
    (26〜40)川崎市中原区・高津区・宮前区 [4.2MB] ※2015-07-24
    (41〜59)川崎市宮前区 [5.5MB] ※2015-07-24
    (60〜72)川崎市麻生区  [4.7MB] ※2015-07-24
    (73〜87)町田市(1) [5.2MB] ※2015-07-24
    (88〜99)町田市(2) [3.9MB] ※2015-06-17 / 更新 2015-07-24
    (100)保守用車留置施設  [739.7KB] ※2015-06-03 / 更新 2015-07-24
      (この場所は JR貨物の梶ヶ谷貨物ターミナル です)
(2)中部圏
    (1〜17)春日井市(1) [4.9MB] ※2015-06-17
    (18〜35)春日井市(2) [4.0MB] ※2015-06-17
    (36〜51)春日井市(3) [3.6MB] ※2015-07-24
    (52〜73)名古屋市 [5.0MB] ※2015-06-17

大深度地下の公共的使用に関する特別措置法(平成12-2000年5月26日法律第87号)から抜粋しておきます。(強調は編者)

(調書の作成)
第十三条 事業者は、使用の認可を受けようとするときは、あらかじめ、事業区域に井戸その他の物件があるかどうかを調査し、当該物件があるときは、次に掲げる事項を記載した調書を作成しなければならない。
 一 物件がある土地の所在及び地番
 二 物件の種類及び数量並びにその所有者の氏名及び住所
 三 物件に関して権利を有する者の氏名及び住所並びにその権利の種類及び内容
 四 調書を作成した年月日
 五 その他国土交通省令で定める事項
2 前項の調書の様式は、国土交通省令で定める。
(使用認可申請書)
第十四条 事業者は、使用の認可を受けようとするときは、国土交通省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した使用認可申請書を、第十一条第一項の事業にあっては事業所管大臣を経由して国土交通大臣に、同条第二項の事業にあっては都道府県知事に提出しなければならない。
 一 事業者の名称
 二 事業の種類
 三 事業区域
 四 事業により設置する施設又は工作物の耐力
 五 使用の開始の予定時期及び期間
2 前項の使用認可申請書には、国土交通省令で定めるところにより、次に掲げる書類を添付しなければならない。
 一 使用の認可を申請する理由を記載した書類
 二 事業計画書
 三 事業区域及び事業計画を表示する図面
 四 事業区域が大深度地下にあることを証する書類
 五 前条の規定により作成した調書
以下略

リニア中央新幹線は大深度地下を使用する計画として工事が認可されて工事着工に入っています。
私は、第189回国会 予算委員会 第12号(平成27-2015年3月2日)議事録から、本村伸子議員による質疑応答を読んだ時に、大深度地下使用の許可は未だおりていないこと、国土交通大臣もつぎのように答弁していることは確認していました。
 『私としましては、その大深度使用の手続ということにつきまして、今申し上げたようなことの法的な段階があるわけですが、リニア中央新幹線について、昨年(2014年)十月の工事実施計画認可の際に、私から、JR東海社長に対しまして、地元住民等の理解と協力を得た上で事業を進めるよう、直接申し上げたところでもございます。』
今回のJR東海広報が示した通り、法第13条に基づいて、ルート上に40m以上の深井戸等の物件があるかどうかの調査をするということで、2015年7月時点でも 大深度地下使用許可はこれからなのだと確認できました。

私は行政手続きとか許認可などのシステムには全く無知なので困りますが、計画ルートについて大深度地下使用が認可されて初めて工事認可ができるのではないか、何故、先に工事実施計画が認可されて工事が進むのだろうと不思議でならないのです。
リニア中央新幹線事業の大深度地下使用については「事前の事業間調整」は終って、地質や水質の調査に入ったように思えます。地質や水質は環境影響評価で結果が出ているなら、それで大深度地下使用も許可できると思うのですが、あらためてその調書を提出せねばならないというのも、私には意味がわかりません。

環境影響評価より更に厳密な調査だとすれば、今回の調査過程で、多摩川を渡る前の大深度使用ルートで修正が必要な事態が生じたら、その先の川崎圏内のルートも変るかも知れない、川崎市内での大深度地下使用予定ルートに問題が見つかったら修正が必要になるかも知れない、それらルート変更により環境影響評価もやり直すことになるかも知れない・・・ルートは変えずに80mの予定を100mにすれば問題無いのかも知れない・・・工事費がいくら増えようとも全額事業者負担なのだから、なんとでも対応できる・・・???
しかし、そのような事態になれば環境影響評価書を認めたことが杜撰だったということになる、だからそれは有り得ないとして握り潰される?
私は国土交通省の「首都圏大深度地下使用協議会」からリニア中央新幹線事業について議事録は確認していますが、よく読み直して別記事にします。

東京新聞 2013年9月19日 朝刊は「リニア来年度着工 超巨大都市圏誕生へ」という記事の中で、『都内では既に、地下鉄が深さ40メートルを走っており、都営大江戸線の六本木駅内回りは42メートル。東京メトロ千代田線の国会議事堂前駅は38メートルだ。』と報じていましたが、大深度地下使用の認可手続きについて、これらの事例から確認してみようと考えながら、時間もとれずに手つかずです。(注1)

国会質問は、質問したから問題が判りましたというだけに終らず、提起した問題をフォローしていく仕事も議員にはお願いしたい。そして疑問点を明確な解決に導いていくことこそが大事だと思っています。

【追記 2015.08.28】
私が定期的に確認している 南信リニア通信 (α版) の 2015/08/25 記事「大深度法適用地域での事前調査」 でこの記事を取り上げていただきました。 大深度地下使用地域か否かにかかわらず、地下水を利用している地域全てに関係する問題だと、私はあらためて認識できました。以下のようにお書きになっています・・・

『JR東海は下伊那郡内や飯田市内の説明会では深井戸のある場合は個別に相談しますとだけ説明しただけです。都会地で今回JR東海がやっている(やろうとしている)調査は当然、飯田、下伊那でも行われるべきものではないかと思います。やるのかも知れませんが、そういうことが全くハッキリしませんね。』

注1・大深度地下の公共的使用に関する特別措置法は 平成12_2000年5月26日 法律第87号、施行は2001年です。大江戸線千代田線も大深度地下法が施行される以前の事業なので、この法には関係ありません。
リニア中央新幹線沿線都県で大深度地下法の適用認可は 東京外かく環状道路(関越〜東名)平成26_2014年3月28日 認可(国土交通省)のみです。(2018年5月現在)

posted by ict工夫 at 21:00| 大深度地下