2016年5月20日、東京地裁に提訴後の記者会見で 738 人という人数も伝えられた思います。それを読者にはどのように伝えるかはメディア各社の報道に対する考え方でしょう。
時事通信が、「訴えたのは、沿線1都6県の約680人と、北海道から九州の約50人を加えた計約730人。」と報じました。地域内訳は時事通信だけが記載していました。
NHKは記事中で738人を伝えています。
訴訟の論点は何か・・・
◆ 巨額の工事資金で採算性に問題がある上、JR東海の工事実施計画には地震や火災といった事故発生時の乗客の安全対策について記載がないなどと主張している。(共同通信)
◆ 住民側は、(1)全体の86%がトンネルで地下水脈の破壊や掘削した残土の処理など自然環境への悪影響が大きい(2)工事や運行により騒音や振動などの被害を受ける恐れが高いなどと主張している。(時事通信)
◆ 訴えの中で、原告の住民などは「騒音や振動などの対策が十分に検討されていないうえ、地下水脈や自然環境を破壊するおそれがある」と主張しています。(NHK)
◆ JR東海による環境影響評価は調査内容も情報公開も不十分で、これに基づく認可は環境影響評価法に違反していると主張。トンネル掘削と発生土の運搬による環境悪化、地下水や河川の枯渇、輸送の安全性などに懸念があるとし、「建設を強行することは社会的合理性に欠ける」としている。(信濃毎日新聞)
◆ 全長286キロのうち86%がトンネルで、非常避難路も最長3.9キロと長いため、非常時の対応が難しい恐れがあるとして「鉄道事業法が事業者に義務付ける輸送の安全性を欠く」と指摘した。トンネル工事で発生する建設残土の大半の処分先が決まっていない点など、環境影響評価も不十分として、事業認可は違法だと主張している。(毎日新聞)
◆ JR東海による過大な需要予測やずさんな環境影響評価を基に、国が計画を認可したのは違法だと訴えている。(読売新聞)
◆ 巨額の工事資金で採算性に問題がある上、JR東海の工事実施計画には地震や火災といった事故発生時の乗客の安全対策について記載がなく、鉄道事業法の許可基準を満たしていないと主張。さらにルートの大半をトンネルが占め、沿線の地下水脈や南アルプスの自然環境を破壊する危険が大きいと指摘している。(産経新聞)
◇ リニア中止求め提訴 沿線住民ら700人以上(産経新聞 14:19)
◇ リニア中止求め東京地裁に提訴 沿線住民ら700人以上(共同通信 15:10)
◇ リニア新幹線の認可取り消し求め 住民などが提訴(NHK 16:06)
◇ リニア認可取り消し求める=沿線住民ら730人が国提訴−東京地裁(時事通信 17:27)
◇ リニア 沿線住民738人、認可取り消し求め提訴(毎日新聞 19:43)
◇ リニア取り消し求め提訴 県内沿線住民含む738人(信濃毎日新聞)
◇ リニア新幹線、沿線住民が認可取り消し求め提訴(読売新聞 21:08)
◇ 共同通信の配信をそのまま掲載した各紙・・・
リニア中止求め東京地裁提訴 静岡県民ら700人以上(静岡新聞 タイトルのみ変えてある)
東京新聞 |
神奈川新聞 |
中日新聞 |
北海道新聞 |
東奥日報 |
秋田魁新報 |
新潟日報 |
福島民報 |
高知新聞 |
西日本新聞
◇ リニア建設中止を求め提訴(山梨日日新聞 22:02)
国土交通省は「訴状を受け取っていないので、コメントは差し控える」としている。(毎日新聞、NHK、読売新聞)
JR東海は「特に申し上げることはない」としたうえで、「国土交通大臣から計画の認可を受けており、中央新幹線の建設を着実に進めていく」としています。(NHK)
訴状を受け取った国土交通省を取材してそのコメントを報じるメディアに注目していくつもりです。
私は訴状の内容は知りませんので提訴当日5月20日の報道から抜粋しましたが、NHKや共同通信、時事通信の配信内容が全国に広がるものでしょう。「なんだ、そんなことか、道路や鉄道とか大きな工事でいつもの事じゃん・・・」で終ってしまうかもしれません。
どのようにして国民の問題理解を深めていくか、先は未だ長い。
【追記】
リニア認可取り消しを求め提訴! 「ストップ・リニア!訴訟」のスタートです。(東濃リニア通信 2016年05月20日 22時55分)の記事が出ています。ブログをアップロードしてから気付きましたので追記しておきます。記者会見での配布資料や訴状の一部も掲載されています。今後の発信にご注目ください。
ストップリニア訴訟弁護団 Facebookも発信されています。
先日のYahoo!ニュース(朝日新聞)の事例があるので確認してみました。
リニア計画中止求め提訴 沿線住民「安全に重大な問題」(朝日新聞デジタル 5月21日(土)1時16分配信 )が掲載されています。既にコメントが多数入っていました。
朝日新聞本紙の記事は、リニア計画中止求め提訴 沿線住民「安全に重大な問題」(2016年5月21日01時16分)【以上 2016.05.21 03.00 確認して追記】
静岡版として下記の追加情報あり・・・
リニア中央新幹線の着工認可の取り消しを求める訴訟の静岡県の原告が二十日、県庁で記者会見した。会見した原告の林弘文静岡大名誉教授らによると、県内の原告は学者や山岳団体、環境問題の市民団体関係者ら四十人。
林氏は「南アルプスのトンネル掘削工事で大井川の水量が減る」と指摘。竹本幸造県勤労者山岳連盟理事長は「トンネル工事で南アルプスの太古からの貴重な自然が破壊される」と訴えた。
ネット巡回していたら2016年5月23日の朝日新聞が出した社説を知ったので、紙面の引用画像を転載しておきます。
「リニア提訴 納得えるまで対話を」(残り:854文字/全文:1004文字)、近年は各紙の社説を巡回することも無くなったので久しぶりです。

リニア新幹線に関する最近のマスメディア記事は「後出し批判」「言いましたアリバイ」記事のようだと思っていますので、「社説も書きました」だけだと私が理解した記録です。
書かれている具体的事例は既によく知られていることです。紙面かネット記事で報じてきたでしょう。
「型通りの手続きを踏んできたのに、懸念の声があがるのはなぜか。」 ここで終ってJR東海や国に投げかけただけで終るから駄目なのです。朝日新聞論説委員が理解していることを分かり易く説き、その「型」の決定過程や「型通りに進めた」「プロセス」の根底に存在する問題点を指摘して、国民はどうすべきかまで説くことが社説の意義です。
私はその「型」と「プロセス」を追いかけ問題点を探りながらWeb記録を続けています。
>「なんだ、そんなことか、道路や鉄道とか大きな工事でいつもの事じゃん・・・」で終ってしまうかもしれません。どのようにして国民の問題理解を深めていくか、先は未だ長い。
この難題は「ふつうの人々は反対派をどう思っているか」「どういう反論(ツッコミ・やっかみ・バッシング)が予想されるか」という点を、”反対派”がフォローできていないことに根差していると思います。
Facebookでは、相変わらず「反対派だけで通じる内輪話」と「慰め合い」に終始している印象が否めませんし、各地の既設ページも、いずれも”反対派による反対派向け”に見えてしまう感が否めません(あまり偉そうなことは言えませんが)。
例えばこれは、少々古いですけど、ホリエモン氏の感想です。世間が反対派に抱くイメージって、大体こんなものだろうと思うのです。
http://www.excite.co.jp/News/society_g/20141010/asahi_20141010_0016.html
あるいはヤフコメなんてゴミ捨て場のようなものだと思いますけど、ゴミの中から使えるものを拾うことはできます。こうした声にどう答えるのか、「反対」を世間に受け入れてもらうならば、そこから考えるべきではないでしょうか。
もっとも私の場合、「問題点が解決できるなら造りゃいい」というスタンスなので、”反対派”からは胡散臭く見られていますが―。
ストップリニア関連で気付いた限りですがFacebookやブログなどは拝読しています。SNSですから仲間内の話し合いはそれとして、Facebookは見落としたソースに気付くツールの一つとして私は利用させていただいています。
そのソースを解読し理解し分析する手法はkabochadaisukiさんから学ばせていただいています。
ホリエモン「リニアの何が問題なんだろう?」〈週刊朝日〉2014年10月10日
この記事は以前読んだことがありましたが、忘れていたのでリンク集の下の方で【総論】に追加しておきました。
http://ictkofu.xii.jp/linearExp/link_blog.htm
> こうした声にどう答えるのか、「反対」を世間に受け入れてもらうならば、そこから考えるべきではないでしょうか。
ご指摘の通りだと思います。
訴訟提起の話が出た時に、福島原発告訴団を思い浮かべていました。
http://kokuso-fukusimagenpatu.blogspot.jp/
「ストップ・リニア!訴訟」で同様なネット発信を期待したいと思っていますので、自分でもできる限り情報の整理を続けるつもりです。