2016年12月19日

甲府市の住民がリニア新幹線騒音対策を要請

NHK甲府放送局が2016年12月15日に次のようなニュースを伝えました。(この地区は以前の中道-ナカミチ-町内、平成の大合併で2006年3月1日に甲府市となる)

リニア中央新幹線が地区を通過する計画の甲府市の住民が高架橋に防音フードを設置するなどの騒音対策をJR東海に働きかけるよう、県に要請しました。
要請を行ったのは、リニア中央新幹線の高架橋が地区を通過する計画の甲府市上曽根町文珠地区の住民6人です。
一行は、県庁を訪れ文珠自治会会長がリニア推進課の依田誠二課長に要請書を手渡しました。
このなかで会長は「地区の全世帯にあたる95世帯にアンケートしたところ騒音に対する不安が多く寄せられた」と話しました。
そのうえでリニア中央新幹線の地上を走る区間に「防音フード」を設置するなどの騒音対策をJR東海に働きかけるよう県に要請しました。
JR東海は甲府市上曽根町の区間については「防音フード」よりも騒音を抑える効果が低い「防音壁」をつくる予定で、その場合、上曽根町では新幹線の騒音基準の超える77dBの騒音が予想されるということです。
また、防音フードを設置するかどうかについて山梨県や甲府市と調整した上で最終的に決めるとしています。
文珠自治会の会長は「住民の不安をとりのぞくためにも県は真摯に対応してほしい」と話していました。

このニュースが気になったのは、私がチェックしている山梨県北富士演習場(世界文化遺産富士山の麓にある)を管轄する南関東防衛局には厚木飛行場など、飛行場周辺の航空機騒音の状況について があること。
東京多摩地区の国道16号線に面している横田基地を管轄する北関東防衛局では、HOME > 基地周辺住民の皆様へ > 住宅防音工事の助成 > 各飛行場の航空機騒音状況 が掲載されていることを知っているからです。

山梨リニア実験線に隣接した住宅地などで、山梨県庁による防衛局のような騒音測定システムが配備され稼働しているのか、いないのか、その点なのです。この情報を私は確認できていません。

リニア実験線は鉄道技研や鉄道会社にとっては科学技術・工学の実験設備ですが、地域社会・行政にとっては実用化に向けた社会実験の場でもあると私は書いたことがあります。
それが行なわれているなら、騒音対策要請などへの対応も行政として容易だと思いますので、中道地域住民からの要請に対して山梨県の回答を確認したいと思います。
◇ 2014年11月25日 リニア事業説明会日程 甲府市説明会の状況など
◇ 2014年09月16日 東京都と愛知県、これが環境行政の実態なのか

リニア新幹線事業にとって、これが山梨県甲府市中道地域だけの問題では無い、沿線各地共通課題であることを県庁さんは既によく理解されています。情報発信はその理解により的確になされるでしょう。
この回答はおそらく甲府市サイトでも公開されるでしょう。防衛省に負けず劣らず地域の安全・安心を図る行政としては当然です。

地下トンネルの地域では非常口での騒音に関する問題があるはずです。これは住宅地域にも構築されるし、名古屋市の名城非常口は官庁街です。山岳トンネルの非常口とは異なり平地の非常口はリニア新幹線軌道の上に造られるので、これに該当するものが実験線にあるかどうかは知りません。
首都高速の地下区間では換気塔という構造物が立っている場所がありますが、まさに煙突のようなもので非常口とは異なりますから比較できません。換気所換気塔のしくみ:中央環状新宿線について(首都高速道路株式会社)

文珠自治会の皆様には、この問題と得られた対応に関して明確に発信なさることは大切だとご理解いただいていることと思います。
何故なら、言うまでもなく、リニア新幹線は東京〜名古屋〜大阪を繋ぐ地域活性化の重要な道具ですから、問題とその解決情報は各地で住民が共有することで目的が達成されるのです。山梨県甲府市中道地域では解決しても他でしくじれば、どこかで100メートル欠けてもリニア新幹線は開通しません。
また、リニア新幹線開通後にその地域はどのような状況になるか、それを知り、判断したうえで、開通後の移住も検討されるはずですね。そこんとこ、一番大切だと県庁さんたちはとっくにご承知の上で各種地域活性化事業に邁進しておられます。地域住民もそれに協働すべく情報発信は大切です・・・

どこかで聞いたのですが甲府市中道地域は「リニアが見える町」をアピールしたいむきもあるそうです、行政としては苦渋の決断になりそうな問題ですね。
地域活性化は出来上がったモノが決めるのではなく、それが出来上がるまでのプロセスが決めるのだと私は思っています。99%の住民はプロセスには参加せずとも成行きは見ています、そしてそれぞれの判断で、中には静かに故郷を離れていく場合もある、、
・・・ということでこの記事はリニア新幹線による「地域活性化」カテゴリー、タグは「騒音対策」としました。

posted by ict工夫 at 11:03| 地域活性化