「リニア工事是非 2候補の回答公表 市民団体」(2017年6月13日 静岡新聞)
中央新幹線への考えとして、新人の溝口紀子氏は「自然環境の保全、地域振興への取り組みが確実に実施されることが重要」、現職の川勝平太氏は「県民の利便性の向上や地域の活性化が期待される」と答えた。
南アルプスルートについて、溝口氏は「国が判断したものであり、特にコメントはない」、川勝氏は「自然環境に深刻な影響が出ることがないように万全の対策を講じるべき」との見解を示した。大井川の流量減少については、溝口氏は「導水路トンネルより減量分2トンを完全に戻せなければさらなる対策を求める」、川勝氏は「工事によって発生する南アルプストンネル内の湧水の全量を将来にわたり大井川に戻すことが必要」と応じた。
県庁で記者会見した松谷清共同代表は「運動の理念に即する回答はなかった」とした。一方で「2人とも水の全量回復を言っていたのは評価できる」と述べた。
南アルプスとリニアを考える市民ネットワーク静岡(Facebook) 2017年6月13日 21:55 掲載記事から紙面画像を使わせていただきました。

リニア中央新幹線沿線で静岡県には中間駅が設置されず、直接のメリットは何も無いのですが、大井川の減水問題と発生土処理を含めた南アルプス自然環境への影響が懸念されています。
知事選候補の回答を見る限り、JR東海に万全の対応を求める事と、関係自治体との協定締結を求める事しか考えられていないようです。
協定が締結されたとして、それにはどの程度の法的な権限があるのか、私にはわかりませんが、土地収用補償のような一時的単発補償ではなく、リニア中央新幹線運用後も続く問題についての永続補償のような制度構築が可能かどうかも検討すべきでしょう。「大井川の減水は30年間補償します」で済ませてはいけない。
そして何らかの問題でリニア新幹線建設事業期間が大幅に延長されるような事態が生じることも想定した上で、これらの補償について検討しておくべきです。
南アルプストンネル静岡工区の着工よりも先に導水路工事に着手させ、それも導水路出口の側から工事を始めさせるのも一つの方法でしょう。
「南アルプスとリニアを考える市民ネットワーク静岡」の Facebook に 静岡県知事選挙立候補者に聞く「南アルプスとリニア新幹線問題」として 2017年6月8日付け公開質問の内容と、それに対する知事選候補者からの回答が掲載されていますので、以下に転載しておきます。
静岡県選挙管理委員会・第19回静岡県知事選挙立候補者 によると、届出受理番号1が溝口紀子氏、2が川勝平太氏です。公開された公開質問状とその回答については、回答者の順序を届出順にして引用します。
静岡県知事選挙立候補者に聞く「南アルプスとリニア新幹線問題」2017年6月8日(南アルプスとリニアを考える市民ネットワーク静岡 2017年6月13日 21:52 公開)
@賛成
@-a 時速 500km がもたらす都市と都市を結ぶスーパーメガリージョンへの期待
@-b 新幹線に替わる新技術による世界への輸出も媒介とする成長産業への期待
A反対
A-a 時速 500km がもたらす都市と都市を結ぶスーパーメガリージョン(東京一極集中)への懸念
A-b 超電導技術がもたらす電磁波による健康被害への懸念
Bどちらでもない
Cその他のご意見
Cその他のご意見
リニア中央新幹線については国策プロジェクトであり、その必要性について十分認識していますが、静岡県においては南アルプスユネスコ・エコパークのエリア内を通過することから、大井川の流量を含めたエコパークの自然環境の保全、地域振興に資する取組が確実に実施されることが重要と考えます。
@賛成
多軸型の国土形成や東京・大阪間の交通のリダンダンシー確保等の国家的レベルの効果のみならず、県内の東海道新幹線駅における停車本数の増や空港新駅設置の可能性など、静岡県民の利便性の向上や地域の活性化が期待される。
@賛成 A反対 Bその他のご意見
Bその他のご意見
従来の新幹線技術については、これまで過密ダイヤの中、無事故を継続してきた高い技術に裏付けされているとおり、高く評価します。
Bその他ご意見
従来の新幹線技術による時速400kmの営業運転の実現可能性について承知していないが、巨額の設備投資を行い東海道新幹線に比して圧倒的な時間優位性を確保するためには超伝導技術の採用が妥当であったと考える。
@賛成 A他の2ルートを再検討 Bその他ご意見
Bその他ご意見
国が判断したものであり、特にコメントはありません。
Bその他ご意見
南アルプスルートによるリニア中央新幹線整備事業の進捗により、大井川の流量減少や自然環境に深刻な影響が出ることがないよう万全の対策を講ずるべきである。
@JR東海の保護策で十分である
A環境影響評価のやり直しが必要
Bその他ご意見
Bその他ご意見
環境に対する静岡県民の懸念が払しょくされるよう事業者に環境保全対策を求めていくことが重要であると考えます。
Bその他ご意見
動植物・生態系や河川環境への影響を回避・低減するための万全の環境保全措置を求める。
@具体的シュミレーションに基づき大井川水系への影響を最小にする
A具体的シュミレーションは成り立たず中止すべき
Bその他のご意見
Bその他のご意見
土砂の処分については、適切に管理するよう事業者に求めていくことが重要であると考えます。
Bその他のご意見
土砂処分に際して、大井川水系への影響を生じないよう万全の対策が必要と考える。
@導水路トシネルによりできる限り減量分を減らす
A導水路トンネルにより減量分2トンを完全に戻せなければ更なる対策を求める
Bその他ご意見
A導水路トンネルにより減量分2トンを完全に戻せなければ更なる対策を求める
Bその他ご意見
毎秒2トンの減少は一試算結果に過ぎず、工事によって発生する南アルプストンネル内の湧水の「全量」を将来にわたり大井川に戻すことが必要と考える。
@やってみなければわからない分野もありその都度対策を立てる
A大井川水系でもありうることで着工前に十分な調査と対策を立てる
Bその他ご意見
Bその他ご意見
大井川水系においても同様の事象が起こり得ることから、着工前に十分な調査と対策を立てるとともに、着工後に想定外のことが起きた際に迅速かつ適切な対応が図られるよう事業者に求めていくことが重要であると考えます。
A大井川水系でもありうることで着工前に十分な調査と対策を立てる
@やむ得ない
A対応策が示されるまで工事は延期
Bその他ご意見
Bその他ご意見
上流部の生態系への影響を回避するための対策を事業者に求めていくことが重要であると考えます。
Bその他ご意見
JR東海が本年1月に公表した「事後調査報告書」による大井川流量の減少対策(導水路トンネルとそこへのポンプアップの組合せ)のみでは、導水路トンネル出口より上流域の流量は回復しないことから、上流域に対する生態系等の保全措置についても求める。
@JR東海の対策で十分である
AJR東海の対策は不十分で更なる対策が必要
Bその他ご意見
Bその他ご意見
事業者の責任のもと、避難の際に使用する非常口からのアクセス道路などを含め、十分な対策がなされるよう求めていくことが重要であると考えます。
Bその他ご意見
国、関係自治体と連携して、JR東海に対し、万全な避難計画の策定や災害対策等を求めていく。
@妥当である A法律の趣旨に反する Bその他ご意見
Bその他ご意見
国が判断したものであり、特にコメントはありません。
Bその他ご意見
引き続き、万全な安全対策や災害対策の実施をJR東海に求めていく。
@国家プロジェクトとして必要
A財政投融資をすべきではない
Bその他ご意見
Bその他ご意見
大阪への早期延伸のため、国が判断したものと考えています。
Bその他ご意見
財政投融資を活用する効果が十分に発揮されるよう、環境等各種対策を万全に実施しつつ工事の着実かつ効率的な進捗を図り、事業効果の早期発現を期するべきである。
@同じことが起きる
Aやってみなければわからない
Bその他ご意見
Bその他ご意見
同様の事象が起きた場合の対策を事業者に求めていくことが重要と考えます。
Bその他ご意見
様々な事態が予想されることから、工法の選定や事故対策には十分に慎重を期すべきである。
@静岡市の同意がなければ着工を認めない
A静岡市の同意がなくても着工を容認する
Bその他ご意見
@静岡市の同意がなければ着工を認めない。
Bその他ご意見
静岡市議会決議を尊重し、誠意をもって対応すべきと考える。
@関係自治体の合意がなければ着工を認められない
A関係自治体の合意がなくても着工を容認する
Bその他ご意見
@関係自治体の合意がなければ着工を認められない。
Bその他ご意見
大井川の水を上水道、農業用水、工業用水等として利用している7市町を含む下流利水者11者との流量減少対策に関する協定締結を求める。
@賛成 A反対 Bその他ご意見
@賛成
B下流利水者との流量減少対策に関する協定締結を求めるとともに、自然環境の破壊の防止や植生の回復等自然環境の保全のために必要な事項を内容とする自然環境保全協定を工事着手前までに県と締結するよう求める。