リニア掘削工事「水がめに穴」…住民に危機感(読売新聞経済面 2017年07月27日)
(以下略)
◇ 長野県環境審議会 |
環境審議会の本年度開催状況 |
2017年4月25日議事録(832 KB)【「水道水源保全地区における行為の事前協議について(諮問)」当該部分はPDFファイルの pp.43〜48】
47ページで備前委員の発言とそれへの中山水大気環境課長の回答(p.48)に注目です。
◇ 長野県水環境保全条例 |
長野県水環境保全条例施行規則
◇ 南木曽町リニア中央新幹線対策協議会
◇ 会議録・第21回 南木曽町リニア対策協議会(平成29年7月10日 開催) から抜粋しておきます・・・
その概要につきましては下記のとおりです。
① 第2回専門委員会の報告
長野県環境審議会が設置した専門委員会の委員による現地視察と会議が7月5日、南木曽町において開催されました。妻籠第1水源、妻籠第2水源、個人水道水源、大崖砂防公園、ボーリング調査地を視察した後、南木曽町役場にて専門委員会が開催され、専門委員からJR東海と町に対し、現地調査を踏まえた意見が出されました。また、住民2名の方から不安や疑問を直接、委員の方々にお伝えしました。
専門委員会にて出された委員の意見及びそれに対するJR東海の回答を今回の第21回対策協議会内で報告したところ、町としても調査等行い、データを集める必要性があるという意見があがりました。
それを受け、町では、調査方法等専門家の意見を伺い、データの収集に取り組む予定です。
② 意見照会について
対策協議会の開催に先立ち、対策協議会委員及び南木曽町議会に対して意見照会を行いました。町では、提出された意見を集約し、知事へ提出する意見回答の素案を作成しました。
今回、作成した素案を協議会に提示し、記載内容等について議論していただきました。
隣接する岐阜県の山口工区に関する記載が事前協議書にないこと、また、県をまたいだ情報共有ができていないことについて記載すべきという意見が出されました。
さらには、水道水源の問題は、妻籠地区だけに限らず、町全体の水道ネットワークを考える必要性があるという意見も出されました。町では、いただいた意見を踏まえ素案を修正し、7月末、長野県知事に回答を提出する予定です。
JR東海が2027年の開業を目指すリニア中央新幹線計画に絡み、長野県南木曽町妻籠地区の水道水源保全地区で予定されているトンネル掘削工事を巡って、長野県とJRが県水環境保全条例に基づく事前協議を進めている。
「水がめに穴を開けるようなもの」と危機感を募らせる住民に対し、「影響は小さい」と強調するJR。非常時には、町の人口の3分の1の生活を支える貴重な水源をどう守るのか。揺れる町の現状を探った。
「地域の貴重な資源に対し、破壊的な行為になり得る。今からでも計画を中止するか、ルートを変更する必要がある」
町役場で(2017年7月)5日に開かれた県の環境審議会の専門委員会で、住民が意見を述べた。
妻籠水道水源保全地区は1999年、妻籠地区の隣り合う二つの湧水を保全するため、周囲の山林約85ヘクタールが指定された。三留野・妻籠地区の簡易水道に接続し、通常は、妻籠宿がある妻籠地区と、町中心部の三留野地区の一部計359世帯878人に給水している。
非常時には高低差を利用し、562世帯1325人にまで給水範囲を拡大できる。2014年に三留野地区の梨子沢の取水施設が土石流災害で被災した後は度々、非常時給水が行われるなど「大きな役割を果たした」(町建設環境課)。町は通常時で1日当たり最大477トン、非常時で718トンの水量が必要と試算する。
リニア本線は、保全地区の中央付近の地下深くを東西900メートルにわたって横断する。保全地区にかかる二つの工区のうち、中央アルプストンネル山口工区(約4・7キロ)は、早ければ今秋にも岐阜県側から掘削が始まり、保全地区は20年1月の掘削開始を見込む。
水源までは直線距離で390〜440メートルだが、JRは「トンネル内に湧出する地下水があっても周辺の限られた範囲にとどまり、浅層の地下水への影響は小さい」とする。掘削地点は深層の固い岩盤だから、浅層の土石流堆積物の伏流水がしみ出た妻籠地区の水源とは関係はないとの見解だ。
一方、周辺は断層が集中することがわかっており、「(トンネル工事では)状況により集中的な湧水が発生し、一部の地下水の水位に影響する可能性がある」ともしている。県環境審議会専門委の富樫均委員(県環境保全研究所専門研究員)は「影響がないとするならもっと詳細な根拠が必要。固い岩盤の亀裂などを通じて湧き出る水があるかもしれないことを考慮すべきだ」と指摘する。
山梨県のリニア実験線周辺では実際に水枯れが発生した。町はそうした事態に備え、代替水源を確保する具体的な方法をJR側に提示するよう求める方針だ。向井裕明町長は「妻籠の水を現状のまま保全してもらうのが第一だが、町を代表する立場として、万が一の時の対応も譲れない」と強調する。
現在の本線ルートを、長野県飯田市の松川ダムや恵那山周辺の弱い地質エリアを回避し「一番最適と判断した」とするJRに対し、「ここに水源があるとわかっていてルートを決めたということは、JRにはそれだけの覚悟があるということだろう」と、専門委の西垣誠委員(岡山大学大学院特任教授)は投げかける。地元の意見にどう答えていくのか、JRの姿勢が問われる。(一條裕二)