2017年08月08日

北陸新幹線の長野県内トンネル工事による地盤沈下問題(報道記録)

中野 地盤沈下最大14センチ」 北陸新幹線トンネル建設(信濃毎日新聞 2017年8月7日)【年月などは引用者が補記】
 北陸新幹線(長野経由)高丘トンネル(延長6・9キロ)建設に伴う中野市安源寺地区周辺の地盤沈下問題で、地表面が最大14センチ沈んでいたことを示す文書があることが(2017年8月)6日、信濃毎日新聞の取材で分かった。
文書は、建設主体の独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構の職員が2008年にまとめた論文。同機構長野管理部(長野市)は、沈下に関するデータについて「施工管理のために計測したもので公表はしない」と説明。市や地元住民にも伝えていない。
 京都大に提出した学位論文(博士)で、これによると2003年8月〜2006年4月に同機構飯山鉄道建設所長を務めていた職員が執筆した。【編注

 論文は、同地区を含む880メートルのトンネル掘削で得られたデータを、地質構造上の特徴を踏まえ9区間に分けて分析。地区内には地表面が最大14センチ沈んだ地点があったほか、区間ごとの沈下量の平均も2・9〜13・2センチだった。
 論文によると、弱い地盤に造ったトンネル自体が沈み、上部の土が緩んで地表面が沈下。トンネルの直上が最も大きく沈下し周囲の地表面が傾いたため、地上の家屋がゆがんだとみられる。
 一帯の土被(どかぶ)り(トンネル上部から地表までの距離)は最も浅くて20メートルほどで、トンネルの沈み込みが地表に強く影響。一帯には比較的軟らかい「豊野層」が分布している上、地区内には断層運動の影響で地盤が波状に曲がっていたり、たくさん亀裂が入ったりした脆弱(ぜいじゃく)な区間があり、こうした場所では特に地盤沈下が大きかった。

 本紙の依頼を受け論文を分析した地質コンサルタントの塩野敏昭氏(60)=長野市=は「トンネルが沈み込んだことで、その上部の地盤にゆるみが生じ、地表面も沈んだのだろう」と指摘。同機構は地盤沈下を防ぐ複数の補助工法を用いたが、塩野氏は「一定の効果はあったと思うが、それで対処しきれないほど脆弱な地盤だったのではないか」とみる。
 同機構広報課は取材に、元所長の論文について「培った技術を継承するため、職務上知り得た情報を基に個人として執筆した」と説明。内容に関し「機構として回答することは控えたい」とした。
 一方、家屋補償を受けた住民の一人は、交渉の際に具体的な沈下量の説明を受けていないと明かした上で「これほど沈んでいるのは恐ろしい。情報を持っているなら、しっかり開示した上で補償の話もするべきだった」と述べた。
5件は「工事と関係なし」 北陸新幹線トンネルの地盤沈下(信濃毎日新聞 2017年8月8日)【年月補填、強調などは引用者によります】
 北陸新幹線(長野経由)高丘トンネル(延長6・9キロ)建設に伴う中野市安源寺地区周辺の地盤沈下問題で、建設主体の独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が、(2017年)6月以降に寄せられた家屋や井戸の被害の訴え5件について、工事との因果関係がないと結論付けたことが(2017年8月)7日、分かった。第三者の関与なく下した機構の判断に、専門家や住民からは疑問の声が上がっている。
 信濃毎日新聞が(2017年)6月1日に地盤沈下問題を報道して以降、市や機構には家屋被害や井戸の減水の訴えが新たに5件寄せられた。機構の長野管理部(長野市)は7日の取材に、これまで「調査中」としていた家屋被害の訴え1件について「家屋とトンネルの距離などを踏まえて工事の影響はないと判断した」と説明。住民へも「工事の影響ではないことを説明し、了承を得た」とした。
 これら5件には含まれないが、かつて機構から家屋補償を受けた安源寺地区の住民は「家や井戸に異変を感じて訴えているのに、そこで機構から因果関係がないと言われて、住民は本当に納得しているのか」とする。
 大型公共事業などから環境を守る訴訟の原告側弁護団を担ってきた関島保雄弁護士(飯田市出身)は、機構の前身の日本鉄道建設公団が実施した環境影響評価(アセスメント)が「不十分だから沈下が起きたのではないか」と指摘。機構が自らの落ち度の有無を判断することを疑問視し、「県や市が第三者の専門家に調査をしてもらうのも一つの手段だ」と話した。
 市によると、高丘トンネル工事で発生した地盤沈下に伴い、機構は2015年3月までに、95戸189棟に家屋補償している。

関連記事は2017年07月23日 長野県中野市の新幹線トンネル 被害訴え、新たに5件(報道記録) で記録しています。

当該学位論文は、Kyoto University Research Information Repository 002 学位論文 博士(工学) ページで公開されています。
タイトル : 第四紀未固結粘性土地山における都市NATMトンネルの挙動分析と合理的な設計・施工管理手法
著者 : 依田, 淳一
として全文と要旨がそれぞれPDFファイルでアップロードされています。論文は「平成20年6月」と記されています。
信濃毎日新聞は「独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構の職員が2008年にまとめた論文。」、「2003年8月〜2006年4月に同機構飯山鉄道建設所長を務めていた職員が執筆した」 と記していますが、北陸新幹線ニュースレター第37号【発行:長野県土木部監理課高速交通網整備推進グループ(平成16_2004年7月30日)】に依田淳一 鉄道・運輸機構北陸新幹線局飯山鉄道建設所長 さんのメッセージが掲載されていることを確認しました。
この件は静岡県のブロガー、kabochadaisuki さんからコメントでご教示いただき判明したものです。厚く御礼申し上げます。

posted by ictkofu at 16:52| Comment(2) | TrackBack(0) | 環境影響
この記事へのコメント
少し調べましたが、”京都大に提出した学位論文”とは、

「第四紀末未固結粘性土地山における都市NATMトンネルの挙動分析と合理的な設計・施工管理手法」

だと思います。
https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/handle/2433/66198

新聞記事では執筆者名を伏せていますので、とりあえず従います。残念ながら内容は・・・全く理解できません!!
Posted by kabochadaisuki at 2017年08月10日 22:57
ご教示ありがとうございます。
平成20_2008年6月の論文で北陸新幹線高山トンネルを研究対象にしていると書かれているので、間違い無くこの論文ですね。

お名前から検索して、長野県庁に記事があるのを確認しました・・・
http://www.pref.nagano.lg.jp/michiken/kurashi/kotsu/shinkansen/sokushin/newsletter/37go.html
北陸新幹線ニュースレター第37号
依田 淳一 鉄道・運輸機構北陸新幹線局飯山鉄道建設所長 さんのメッセージも掲載されています。

私も全く素人で何も理解できませんが、リニアトンネルを担当する建設会社の技術者さん達は、この論文も精読されておられると思います。
始まってしまった工事、たとえどんなに時間がかかろうとも人命に関わる事故無くやり遂げられれば良しとせねばならない。
Posted by ictkofu at 2017年08月11日 01:06
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