2017年08月12日

長野県新幹線トンネル工事 地盤沈下問題・続報(報道記録)

知事「新被害、対応促す」 トンネル建設地盤沈下(信濃毎日新聞 2017年8月11日)
 阿部守一知事は10日の記者会見で、北陸新幹線(長野経由)高丘トンネル(延長6・9キロ)建設に伴う中野市安源寺地区周辺の地盤沈下問題について、新たな被害の訴えが県に寄せられた場合には「(建設主体の独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援)機構と市に伝えて、しっかり対応してもらうように働き掛けたい」と述べた。
 市によると、高丘トンネルの地盤沈下で機構は95戸189棟に家屋補償。今年6月以降、市には家屋と井戸の被害の訴え5件が新たに寄せられたが、機構はトンネルからの距離などを考慮して工事との因果関係はないと判断した。知事は、工事に起因する補償がされていなかったり、補償が不十分で困ったりしている人がいた場合も機構などに対応を働き掛けるとした。
 この問題を巡っては、市が第三者による状況調査が可能かどうかを含めて検討しており、県にも相談を持ち掛けた。県建設部は現時点で「県として第三者委員会などの設置は考えていない」とした。

知事記者会見記録を確認しました。知事会見(平成29年(2017年)8月10日(金曜日)11時00分〜11時45分 会場:県庁)(更新日:2017年8月14日)
「12 北陸新幹線トンネル工事に伴う被害について(その1)」、「14 北陸新幹線トンネル工事に伴う被害について(その2)」の二度の質疑応答が記録されています。

中野市、第三者調査検討 新幹線トンネル工事 地盤沈下問題(信濃毎日新聞 2017年8月9日)
北陸新幹線(長野経由)高丘トンネル(延長6・9キロ)建設に伴う中野市安源寺地区周辺の地盤沈下問題で、中野市が8日、第三者の専門家による現地の状況調査の検討に乗り出した。市はこの日、県に相談を持ち掛けており、県も対応を検討している。
 建設主体の独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構はこれまで、一帯の沈下量をはじめとする被害の全容を明らかにしていない。
 一方で、安源寺地区の地表面が最大14センチ沈んでいたことを示す文書の存在が信濃毎日新聞の取材で判明。同機構の元飯山鉄道建設所長が2008年にまとめた論文だが、機構は地盤沈下の詳細なデータについて「施工管理のために計測したもの」(長野管理部)として県や市、地元にも伝えていない。
 横田清一副市長は取材に、「地盤沈下の状況を把握し、住民の皆さんが抱いている不安を取り除くため」と説明。他の自治体の第三者委員会などの事例を調べた上で「どういうことができるか検討したい」と述べた。市から相談を受けた県道路建設課は「内容を確認して、相談に返答したい」と話した。
 安源寺地区付近の高丘トンネルは、同機構が01年3月〜07年3月に整備。工事に伴い地盤沈下が発生し、市によると、機構は15年3月までに95戸189棟に家屋補償した。しかし複数の住民が取材に対し「今も影響は続いている」と訴えている。
 本紙が今年6月に地盤沈下問題を報道後、市には家屋被害と井戸の減水の訴え5件が寄せられた。同機構は現場を訪ねて調査。トンネルからの距離や被害の発生時期などからいずれも工事との因果関係はないと結論付けた。長野管理部は「住民には十分説明して了解を得ている」とする。
 大型公共事業などから環境を守る訴訟の原告側弁護団を担ってきた関島保雄弁護士(飯田市出身)は第三者による調査について「地質や水文学の学者や専門家に協力してもらうには、県の支援が必要だ」と指摘している。

以下は 2017年8月10日 知事会見 の該当部分です。編者が改行を編集しています、保存記録なので年月を補完しましたが、内容は原文のままです。尚、下線部は編者が後日確認する予定です。

「12 北陸新幹線トンネル工事に伴う被害について(その1)」
信濃毎日新聞 青木信之 氏
 北陸新幹線の高丘トンネルの地盤沈下の関係でお伺いさせてください。
建設主体の鉄道運輸機構では沈下の被害の全貌、被害の補償の件数、それからどれぐらい沈下したのか、こういった情報を全く示していない状況が続いています。
こうした中で、安源寺(あんげんじ)自治区では14センチ最大沈下しているとの文書も見つかっているところです。そうした中で住民の中には今も沈下が続いているのではないかと不安を抱えて暮らしている人がいるのが実情です。そういった状況で中野市では第三者による調査が可能かどうか検討も今、始まったところです。これについては県にも相談が来ているところかと思います。こうした状況の中で県としてどのように対応するのかお伺いさせてください。
【編注・見つかった文書については、北陸新幹線の長野県内トンネル工事による地盤沈下問題(報道記録)(2017年08月08日)記事で書いています。】
長野県知事 阿部守一
 私も信濃毎日新聞の報道を見ていますが、いささか現状の把握がわれわれと信濃毎日新聞とで合っていないというか、もしいろいろな情報があるのであれば、逆に共有をしていただきたいと思っています。
機構に対しては、当時の地盤沈下に係る地元への周知がどうなっていたのかということについて確認させていただきました。
昔の話になりますが、平成16_2014年に事業損失補償上の事後調査を行っています。機構の説明によれば、地元説明会を開催して、神社、参道等の公有地の主な地点の施工管理用の地盤沈下量を説明会でお示しをして、地盤沈下の状況を説明されていると聞いています。
また、今年の(2017年)6月以降も、中野市に5件の相談が寄せられていますが、これらにつきましては、機構から事後調査の結果や現地の状況から、工事との因果関係はないということを、申し出をいただいた方にご説明して、了承を得ていると伺っているところです。
また、それ以外の声については、機構、あるいは中野市に寄せられているとは私ども伺っておりませんし、また、県にも直接寄せられていないという状況ですので、もし、こうしたもの以外に具体的な問題、被害があるとおっしゃっている方がいるのであれば、逆にお申し出いただければ、機構、中野市にもその旨伝えてしっかり対応するように働きかけていきたいと思いますけれども、
現時点でそういう方の存在をわれわれ把握できてない、いらっしゃるのかどうかが分からないという状況ですので、かなり大きな記事で取り上げていただいていますので、そうした方がいらっしゃれば、これは、情報は開示できないのかもしれませんけれども、そのご本人に、ぜひそういうことをお伝えいただければと思います。
中野市でも相談窓口がありますし、われわれ県でも対応はしますので、もし本当にお困りの方がいらっしゃるのであれば、ぜひそうした対応をいただければありがたいと思っています。
信濃毎日新聞 青木信之 氏
 今、中野市から、第三者の調査の件で相談がきていると思うのですが、この相談にはどのように応じていくお考えでしょうか。
長野県知事 阿部守一
 そこはちょっと担当課の方からご説明をさせていただきたいと思いますのでよろしくお願いします。
道路建設課企画幹 太田茂登
 今回の事案は事業損失の事務処理要領、用地対策連絡協議会というところで定めている要領ですけれども、それによって処理されているものです。
その事務処理要領によりますと、被害の確定は事業者である機構と被害の申出者の二者が事実関係して協議した上で行うものでありまして、今回の事案につきましても、このように、適正に処理されているものと考えています。従いまして、県としては第三者委員会等の設置については考えていません。以上です。
編注・「県としては第三者委員会等の設置については考えていません」、これが最大の問題かと思えます、リニア新幹線事業でも沿線各地の行政スタンスとして当り前のようになっていて、私が知る限り唯一の例外は大井川減水問題について静岡行政が独自にデータ予測などをして対策を求めている事案だけです。申告を待つのではなく中野市や長野県が独自に現状調査を行う事から始めるべきであり、その過程で第三者機関の設置が必要かどうかも考えるものでしょう。この件はリニア情報Webページで整理する予定です。
長野県知事 阿部守一
 今のご質問は中野市からどういう問い合わせ、相談があるかというご質問なので、質問にお答えしてないと思いますので、ちゃんと答えてください。
道路建設課企画幹 太田茂登
 失礼しました。中野市さんからの相談につきましては、(2017年)8月8日の火曜日の信濃毎日新聞で取り上げていただきました記事の中で、飯田市出身の関島弁護士によりますと、このような案件については県や市が第三者の専門家に調査してもらうのも一つの手段だというコメントを寄せていただいたという記事がありますけれども、このようなコメントについて何かやりようがあるでしょうかっという質問でした。
その質問、相談に関して県の中で検討した結果、先ほど申し上げたような判断に至ったということです。以上です。
長野県知事 阿部守一
 はい、ありがとうございます。
信濃毎日新聞 青木信之 氏
 はい、分かりました。それから知事がおっしゃった鉄道運輸機構の方で、地盤沈下に関するデータについて、参道の部分に関しては説明会で示しているという説明があったと聞いているとおっしゃっていますけれども、われわれの取材では、こうした詳細なデータは、県や市、それから地元には伝わっていない、伝えていないと聞いています。
長野県知事 阿部守一
 それは機構がそう言っているのですか。
信濃毎日新聞 青木信之 氏
 機構がそう言っています。
長野県知事 阿部守一
 伝えてないというのは、先ほど申し上げたように地元説明会、地元との話し合いの中で、そうしたことを説明していると伺っていますし、以前もお話ししたかもしれませんが、県で中野市のホームページからダウンロードした「中野市議会だより」では、委員会報告として高丘トンネルの工事に伴い発生した家屋被害といいますか枯渇被害については、何件あって、実際トンネル工事着手前に何件、等の現況調査が実施されていますと載っているので、どこまでの情報を開示すべきとご指摘をされているのかというところが、レベル感が、もしかしたら違うのかもしれませんけれども、被害事案に対して補償する話ですので、当然個人情報については開示できないというところは、共通認識いただけるのではないかと思います。
であれば具体的に何が問題なのかということについては、ぜひ具体的にご指摘がないと、話がかみ合っていないような気がしますので、もう少し具体的に教えていただくといいのではないかと思います。
信濃毎日新聞 青木信之 氏
 分かりました。状況を整理させてください。
家屋の被害を受けた補償件数というものは、機構は市や県に示しているそうです。しかしながら、なぜ沈下が起きて沈下量がどれぐらい発生したのか、こういった詳細なデータに関しては県にも市も地元にも伝えていないという説明を機構はしています。
こうした状況の中で何が足元で起きたのかが分かっていないということが、住民の不満感情を生み出しているというところがあります。一方で、こういう情報が開示されないという状況の中で、当然そこに暮らしている人々の不動産であったりとか建物、こういったところの価格という部分にも、当然、風評が広がったりします。
長野県知事 阿部守一
 ああいう報道されると、もしかしたらそうかもしれないですよね。私もそれは心配しています。その補償については適切に行われてきている経過があるのではないかとわれわれは考えていますけれども、具体的に適切な補償がなされてない方がいらっしゃるのであれば、その方からお申し出をいただければ、まず具体的な対応は考えていきたいと思っています。
信濃毎日新聞 青木信之 氏
 報道に関しては、読者の方や住民の方の知る権利に基づいて、これを、情報をしっかりと調べて報道しているという思いがあります。当然風評に関しては、実態と違うものが広がったときに広がるものと思います。核心の部分は足元で何が起きたのかというのをしっかり住民が把握するということが重要なのではないでしょうか。
【編注・ジャーナリズムのスタンスをこのように述べるのは素晴らしい】
長野県知事 阿部守一
 ここは議論する場ではないと思っています。
私どもとしては、先ほど申し上げましたように、具体的に、今、補償について問題があるという方については、存在していないのではないかと思っています。
ただ、信濃毎日新聞の報道を見ると、いろんな声があるというお話ですので、もし本当にこの工事に起因して、補償がされていない、あるいは補償が不十分で、お困りの方がいらっしゃるのであれば、そこについては、機構にはしっかり対応させるようにしたいと思います。
させるというのは、私に権限がありませんので、対応してもらえるようにお願いはしたいと思います。
中野市も県も、そういう方々がいらっしゃれば、丁寧に対応をさせていただきたいと思っていますので、ぜひそういう方にお伝えいただければ、一番問題の解決には早いのではないのかなと思います。
信濃毎日新聞 青木信之 氏
 もう1点お伺いさせてください。つまりこれは訴えがあれば動くけれども、こういう不安の解消には県としては積極的には動きづらいというところがあるのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
 まず、被害が発生していますというのは機構も市もわれわれも認めています。まったくそんな被害はどこにも存在していませんということは誰も言っていないと思います。
その被害に対する補償が十分なのか不十分なのかっていうところが多分論点なのかなと私は受け止めているのですけれども、もし、不十分だとか、あるいは補償されていないという方がいらっしゃれば、それはしっかり機構で対応してもらうことが必要だと申し上げているところです。
「14 北陸新幹線トンネル工事に伴う被害について(その2)」
信濃毎日新聞 井出拓朗 氏
 中野市の高岡トンネルのことで、補足で何点か伺いたいのですけれども、先ほど8日に中野市の方からやりようがあるのかという相談があったということで、県は設置を考えてないということだったのですけれども、中野市の方からの相談というのは、県と一緒にやりたいという相談なのか、それとも、市がやるときは支援してほしいという相談だったのか、そのあたりを教えていただきたいのですけれども。
長野県知事 阿部守一
 たぶん、先ほど答えたもので尽きていると思いますが、もし補足があれば。
道路建設課企画幹 太田茂登
 具体的な相談につきましては、先ほどお答えした通り、信濃毎日新聞のところに寄せられているコメントに対して、何かやりようがあるでしょうかというご相談でした。
信濃毎日新聞 井出拓朗 氏
 すみません、やりようがあるのかというのは、市が第3者機関を設置して調べるのか、それとも県もそこに加わってやるのかという点は、どんな感じでしょうか。
道路建設課企画幹 太田茂登
 そういう具体的なお話はございませんでした。
信濃毎日新聞 井出拓朗 氏
 先ほど、県は設置を考えてないとおっしゃっていましたけれども、これも中野市の方には伝えているのでしょうか。
道路建設課企画幹 太田茂登
 昨日の段階で、今日の会見におきまして、そのようにお答えする予定です、ということをお伝えしています。
信濃毎日新聞 井出拓朗 氏
 わかりました。そうであれば、昨日取材した時に教えてくれてもいいのかなと思うのですが、それはそれとして、今回の問題なのですけれども、機構は、機構の保証というものは、工事終了後一定期間経って、これ以上は影響が出ないということを機構が判断して、その時点で保証していると思うのですけれども。
ただ、住民の側は、今も影響は広がっていると感じているようです。ということは、機構の考えと住民の考えというのは、折り合うことはないのかなと思います。その中では第3者が影響を調べるということがあってもよいのではないかなと思うのですけれども、そのあたりの知事のお考えはいかがでしょうか。
長野県知事 阿部守一
 あまり、住民の方が不安感を持ちすぎるのもいかがなものかと思います。
もちろん、しっかりとした対応をしなければいけませんけれども、先ほど申し上げましたが、開業後、今年の6月に5件、中野市に被害の申し出がありました。先ほどおっしゃった不安があるとか、被害が拡大しているといった方は、恐らくここに入られている方なのではないかなと思いますが、井戸の減水、建物被害、地盤沈下、こうした申し出をされていますけれども、先ほど申し上げたように、工事との因果関係はないということについてはご説明をして、了承を得ていると私どもは報告を受けています。
ですから、それ以外にももっとあるよ、ということであれば、先ほど申し上げているように、信濃毎日新聞社は多分対応できないと思いますので、ぜひ具体的な対応につなげるためには、その方から中野市とか、県とか、機構にお話をいただかないと、対応できないです。
信濃毎日新聞が取材しているだけでは対応できないはずです。そういうことは、取材の範囲から外れるのかもしれませんけれども、もし本当にそれが心配であるのなら、ぜひそうした対応をしていただけるとありがたいと思います。
信濃毎日新聞 井出拓朗 氏
 わかりました。ありがとうございます。
長野県知事 阿部守一
 どうもありがとうございました。
posted by ictkofu at 10:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 長野県
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