■飯田市
(2017年)6月、リニア駅と周辺区域の6.5ヘクタールで進める駅周辺整備の基本計画を決定した。計画区域内を「広域交通拠点」と位置付け、基本設計を協議中。計画に盛った駐車場や公共交通の乗り換え拠点になる広場のほか、魅力発信施設などの詳細を詰める。2021年度着工を見据え、2018年度内に策定する。JR飯田線の接続駅をはじめ、大型会議施設を設ける構想もある。
一方、計画では区域内で大規模な商業施設の開発を行わない方針。これに対し計画を練ってきた委員の中からも「駐車場だけで駅周辺に何もない」と批判的な声も上がり、区域内に人を引き寄せる施設の新設を求める意見がある。地元まちづくり委は移転対象者への住民目線の対応を課題として挙げる。
■大鹿村・松川町・中川村
大鹿村は南アルプストンネル長野工区(8.4キロ)の三カ所の作業用トンネルのうち二カ所の掘削が進む。村内からはナゴヤドーム約二個分にあたる約300万立方メートルの残土が発生する見込み。大半を村内に仮置き後、同村から中川村を通って松川町へ抜ける県道松川大鹿線改良工事の2018年度完了を待って最終処分先へ運ぶ予定だが、処分先の大半は未定のままで調整が進まない。
県道松川大鹿線では拡幅工事や本線の南アトンネル工事の大型工事用車両が多く通行している。JR東海によると(2017年)10月の1日当たり最多通行数は往復500台。中でも中川村の西下トンネルは細いため、「トンネル内で続けてダンプとすれ違う時に不安を感じる」などの住民の苦情がある。
■豊丘村
豊丘村−大鹿村に建設する伊那山地トンネル(15.3キロ)のうち、豊丘村の坂島工区(5.1キロ)着工に向けた道路改良工事が(2017年)6月に始まった。
一方で、同工区から出る残土を埋め立てる村内唯一の計画地をめぐり、(2017年)5月に土地利用に同意した地権者の「本山生産森林組合」が適正な手続きをしないで理事を選任したとして県の指導で同意を撤回。組合は再編が求められるほか、計画地は保安林のため組合の同意がないと保安林指定の解除申請ができず、トンネル掘削時期が不透明になっている。【編注】
長野県大鹿村でリニア中央新幹線南アルプストンネル長野工区の起工式が開催されたのは2016年11月1日でした。私はこの時に以下の記事を書いています。
2016年11月01日 リニア・トンネル長野工区、起工式直前に大鹿村で知事が意見交換会開催
2016年11月10日 リニア新幹線のトンネル起工式が行なわれた長野県大鹿村の惨状が伝えられています
今回、中日新聞記者がこの1年間で判明した地域の諸問題・動向を簡明に整理されたことをありがたく思います。
現場に密着して取材を続けておられる記者さんには、何故このような課題に直面せざるを得ないのかというご意見もお持ちかと思いますが、それは私のような素人がリニア新幹線情報を整理するブログやWebページを書きながら考えている事でもあります。しかし私はそもそも論で語るつもりはなく、膨大な資料・データの歴史的経緯を確認しながら整理するつもりなので、未だ先は長いです。