2018年04月01日

長野県内で発生土置き場が未確定という問題(報道記録)

リニア中央新幹線トンネル工事 残土置き場、確定せず 候補地に募る住民の不安/長野(毎日新聞長野県版 2018年4月1日)
【編注・要点を整理し、年月表示は歴史の記録として西暦フル表示にしています。】

【大鹿村】
 大鹿村では2018年3月末現在、2本の作業用トンネル(斜坑)を掘削中で、その完了後に先進坑を掘ってからトンネル本体(本坑)に取り掛かる。
この工事に伴う発生土(残土)は約300万立方メートル。村内8カ所(仮置き場5カ所、本置き場3カ所)に分散して置くほか、村内を流れる小渋川の護岸整備などに利用する予定だが、全ての残土を村内で処理するのは難しい。

【松川町】
 JR東海は大鹿村内で処理しきれない発生土は松川町への搬出を計画している。しかし、その置き場候補地として松川町が考えていた寺沢川流域の生田地区福与区の住民が「土砂災害への懸念」を理由に2017年11月、再検討を町に要望した。
 福与区以外の候補地は生田中山地区の丸ボッキ、町道つつじ山線周辺、生田長峰地区の本洞の3カ所。 いずれも下流の福与区の残土置き場同意を前提に受け入れを検討するとしており、残土置き場として確定するかどうかは不透明になっている。(松川町リニア対策室)
福与区の鈴木峰好区長は「三六災害を知っている世代も多く、残土埋め立てには不安を感じる」と話す。深津徹・松川町長は「JR東海から地元への説明が不足しており、住民の不信・反発を招いている」と語る。
【注・三六災害・昭和36_1961年に起きた土砂災害】

【豊丘村】
 2017年6月、発生土運搬で使用予定道路の改良工事が始まり、伊那山地トンネル坂島工区(約5.1キロ)の着工準備に入った。豊丘村リニア対策室によると、その残土は村内の本山で処理する予定だった。しかし、本山の地権者「本山生産森林組合」の定款や組織運営に不備があったため、残土置き場の同意書は撤回された。この同意には理事再任など組合の正常化が必要になっている。

【飯田市】
 中央アルプストンネル松川工区で発生する約90万立方メートルの残土は下久堅小林地区、龍江地区、下条村の睦沢地区の3カ所への運搬を予定しているが、地権者との交渉は継続中。

長野県リニア整備推進局の遠山明局次長は「JRには残土置き場の候補地の地権者、地域住民へ丁寧な説明をし、同意を得てほしい」と語る。
JR東海広報部は「残土置き場について、できるだけ早く決められるように検討、協議を進めています」とする。

行政サイトなどへのリンクは省略しました。発生土置き場については沿線全域についてWebサイトで整理したいと思っていますので、この記事は資料の記録です。

 2027年の開業まであと9年となったリニア中央新幹線。2016年11月、県内初の着工となった大鹿村の南アルプストンネル長野工区(8・4キロ)に続き、今年(2018年)3月には飯田市内で中央アルプストンネル松川工区(4・9キロ)の工事が始まり、早ければ2019年度末からトンネル掘削が始まる。しかし、トンネル工事に欠かせない、掘削で出る残土の置き場が飯田市、松川町、豊丘村で確定していないのが現状だ。【大澤孝二】
 大鹿村では現在、トンネル本体(本坑)の掘削を前に、2本の作業用トンネル(斜坑)を掘削している。斜坑の工事が終わってから、先進坑を掘り、その後、本坑に取り掛かる。この工事に伴う残土は約300万立方メートル。村内8カ所(仮置き場5カ所、本置き場3カ所)に分散して置くほか、村外への搬出を少なくするため、村内を流れる小渋川の護岸整備などに利用する予定だが、全ての残土を村内で処理するのは難しい。
 JR東海は大鹿村内で処理しきれない残土の松川町への搬出を計画している。しかし、その置き場候補地として町が考えていた寺沢川流域の生田地区福与区の住民が「土砂災害への懸念」を理由に2017年11月、再検討を町に要望した。
 松川町リニア対策室によると、福与区以外の候補地は生田中山地区の丸ボッキ、町道つつじ山線周辺、生田長峰地区の本洞の3カ所。いずれも下流の福与区の残土置き場同意を前提に受け入れを検討するとしており、残土置き場として確定するかどうかは不透明になっている。福与区の鈴木峰好区長は「(1961年に起きた土砂災害の)三六災害を知っている世代も多く、残土埋め立てには不安を感じる」と話す。深津徹・松川町長は「JR東海から地元への説明が不足しており、住民の不信・反発を招いている」と語る。
 豊丘村では2017年6月、残土運搬で使用を予定する道路の改良工事が始まり、伊那山地トンネル坂島工区(約5・1キロ)の着工準備に入った。村リニア対策室によると、その残土は村内の本山で処理する予定だった。しかし、本山の地権者「本山生産森林組合」の定款や組織運営に不備があったため、残土置き場の同意書は撤回された。この同意には理事再任など組合の正常化が必要になっている。
 飯田市の中央アルプストンネル松川工区で発生する約90万立方メートルの残土は下久堅小林地区、龍江地区、下条村の睦沢地区の3カ所への運搬を予定しているが、地権者との交渉は継続中だ。県リニア整備推進局の遠山明局次長は「JRには残土置き場の候補地の地権者、地域住民へ丁寧な説明をし、同意を得てほしい」と語る。
 JR東海広報部は「残土置き場について、できるだけ早く決められるように検討、協議を進めています」とする。2017年12月には中川村でリニア関連工事現場付近の土砂崩落事故もあった。JRには地元住民への説明を尽くし、不安を解消した上で了承を得ることが求められる。
posted by ict工夫 at 19:24| 発生土(残土)