◇ 山梨大学、リニア2次交通整備で経済効果試算(日本経済新聞 2018/4/16 15:19)
リニア新駅と甲府駅をどのような形で結ぶのがふさわしいかを考えた。甲府市と近隣市町に向かう人が1日8000人と想定した。調べたのは(1)両駅間をほぼ直線で結ぶ平和通り(2)中央高速(3)途中から身延線を利用(4)新山梨環状道路の4ルート。交通手段は、モノレールや次世代型路面電車(LRT_Light Rail Transit)、バス高速輸送システム(BRT_Bus Rapid Transit)を比較した。
その結果、経済効果が最も高いのは、所要時間が現在の約35分から15分前後に短縮される平和通りルートで、途中駅を設けた場合だった。モノレールだと年間8.7億円、LRTで7.1億円の経済効果の上昇が見込める。途中駅を作らずに直行にした場合は1.1億円にとどまる。中央道にBRTを整備した場合は3.3億円だった。
山梨経済同友会の入倉要代表幹事は「最も効果的な2次交通のありかたを提案していきたい」と話す。
『速達性・定時性及び利便性に優れた国道358 号(新平和通り)ルートをリニア駅までのバス路線』として山梨県庁は2017年3月に決定しています。
【参考・2017年01月25日にこのブログで 山梨県バス交通ネットワーク再生計画とリニア新幹線新駅の関係、2017年4月3日に 山梨県バス交通ネットワーク再生計画を策定しました(山梨県リニア交通局交通政策課)】
この公表資料の「概要」から引用しておきます・・・
○リニアの開業効果を最大限に生かし全県に波及させるためリニア駅と県内各地を短時間で結ぶバス交通の確保
(1)リニア駅周辺
◆ 本県の新たな玄関口として、駅北側はパーク&ライド用駐車場や一般交通を対象とした乗降場、駅南側に公共交通を対象とした乗降場を整備
(2)リニア中央新幹線の開業を⾒据えたバス交通
◆ ・リニア駅と甲府駅を結ぶバス交通システムについては、速達性、定時性が確保され、ハイグレードなバス交通によるバス交通ネットワークの基幹軸の形成を目指す
・速達性、定時性及び利便性に優れた国道358号(新平和通り)ルートにおいて、交差点改良等による速達性や定時性の更なる向上を検討。今後の交通流動や自動運転システムなどの技術進歩を踏まえつつ交通システムの整備を進める
◆ リニア駅・甲府駅を中心に県内外とのアクセス強化に向けバス路線の整備を目指す
・30分到達時間圏の拡大を踏まえたリニア駅・甲府駅と県内各地の主要拠点とを結ぶバス路線
・身延線を活用した円滑な移動の確保に向けたリニア駅と身延線を結ぶバス路線
・県域を越えた広域移動やリニア中央新幹線の利用確保に向けたリニア駅と県外地域を結ぶ高速バス路線
同友会はこの件も検討したようですが、今になってモノレール計画に言及したのは、後藤知事の任期終了で2019年1月に知事選挙があるからではないかと私は憶測しています。
私のサイトでは 山梨経済同友会リニア部会の公開情報一覧 を記録していますので今回の発表文書が公開されたら記録したいと思います。
確認できた限りの報道記事では、今回の提言になった試算の基礎的なデータやその処理方法について不明ですので後学のためにも理解しておきたいと思っています。
◇ リニア中央新幹線 新駅経済効果7.6億円の差 連絡ルート4案 山梨大試算 /山梨(毎日新聞山梨県版 2018年4月17日)
山梨大工学部の佐々木邦明教授(交通工学)と武藤慎一准教授(土木計画学)の両研究室が試算した。
(1)平和通りルート(2)新山梨環状道路ルート(3)中央自動車道経由ルート(4)JR身延線常永駅経由ルート−−に、モノレールやLRT(次世代型路面電車)、BRT(バス高速輸送システム)を新設した場合の年間経済効果を調べた。
最も効果が大きかったのは平和通りルートに途中駅付きのモノレールを新設した場合で8・7億円だった。モノレールをLRTに代用したとしても7・1億円の効果があると試算した一方で、途中駅を設けなければ1・1億円にとどまると見込んだ。
また新山梨環状道路ルートや中央道経由ルート、身延線常永駅経由ルートにLRTやBRTを導入すれば、3・3億〜1・7億円の効果があるとも予想している。
既存のバスより速い交通インフラを両駅間に整備した場合、県中西部の域内総生産が上昇するとする別の試算もあり、経済同友会の志村浩男リニア部会長は「建設費用などを考えるとLRTが望ましいように思える。既存鉄道とLRTを結べば県全体で観光客増を見込める」と話した。
◇ 年間最大21億円の経済効果試算(UTYテレビ山梨ニュース 2018.04.16 18:50)
これは山梨経済同友会と試算にあたった山梨大学の佐々木邦明教授らが共同会見で明らかにしたものです。
それによりますと、国中地域ではリニア開通でGDPの地域版=「域内総生産」が年間120億円増加すると試算し、甲府駅とリニア駅とのアクセス整備でさらに最大21億円を上積みできるとしました。
具体的には平和通りを利用する場合、建設コストがかかるモノレールで8億7000万円、より現実的な専用レーンなどを設けるバスの高速輸送システムでは5億6000万円の経済効果があるとしています。
経済同友会では、今後県に政策提言したいとしています。
山梨県内の地域区分として国中(くになか)と郡内(ぐんない)という呼称があります。峡東(笛吹市、山梨市、甲州市)、峡中(甲府市、昭和町、甲斐市、中央市)、峡北(韮崎市、北杜市)、峡西(南アルプス市)、峡南(西八代郡の市川三郷町、南巨摩郡の富士川町、早川町、身延町、南部町)をまとめて「国中」と呼び、富士北麓地域から小菅村、丹波山村至る東部地域が「郡内」と呼ばれていると理解しています。なお峡中・峡北・峡西をまとめて「中北」と呼ばれる場合があり、県庁の地域区分で使われています。
歴史的な検討は 「山梨県或いは甲斐国にて呼称される甲州とは」 の記事で考察されています。山梨県庁サイトには 「甲府周辺地域と郡内地域の格差について」 という記事があります。
◇ リニア経済効果 120億円試算(NHK甲府放送局ニュース 2018年04月16日 15時33分)
この試算は山梨大学と県内の企業経営者などでつくる山梨経済同友会が、(2018年04月)16日、甲府市内で行った記者会見で発表しました。
それによりますと、東京・名古屋間で2027年の開業を目指して工事が進められ、甲府市内に新駅が計画されているリニア中央新幹線の開業によって県内と大都市圏の交通の便が向上し、中北、峡東、峡南地域の年間のGRP=域内総生産は合わせておよそ120億円増えるということです。
そのうえで、リニア新駅とJR甲府駅を15分で結ぶ交通手段を整備すれば、観光客の滞在時間を増やし消費が拡大するほか、企業の生産性も上がるとしておよそ21億円が上乗せできるとしました。
そして、平和通りや中央自動車道など4つのルートを通る交通手段を検討した結果、平和通りに高架橋を建設しモノレールなどで2つの駅を結べば、最も高い経済効果が期待できるとしました。
山梨経済同友会リニア部会の志村浩男部会長は、「多くの県民の知恵を集め、地域が発展できるような交通手段が整備できるよう提案していきたい」と話していました。
NHK記事には出ていませんが日本経済新聞やUTYの記事はお名前を書いている佐々木邦明教授は山梨県庁の都市計画関連行政ではキーパーソンで山梨県内の交通問題などには造詣深い方と私は思っています。
山梨県交通政策会議 の会
⻑ですが、リニア環境未来都市検討委員会 には関与されなかったようです。