◇ リニア冊子めぐり住民監査請求(NHK甲府放送局ニュース 2018年04月17日 17時04分)
請求を行ったのは、リニア中央新幹線の沿線住民ら11人で、(2018年4月)17日午後県庁を訪れて、県の監査委員事務局に書面を提出しました。
請求書によりますと、県が昨年度1200万円をかけて作成した冊子「リニアで変わるやまなしの姿」は、「リニアを活用したまちづくりの整備方針に基づき利点のみを羅列したものにすぎない。騒音や振動、日照などの被害にはひと言も触れられておらず、偏った内容だ」などとしています。
そのうえで、学校を通じて小中学生や高校生にすでに配られており、作成した15万部すべてを県が回収するか、住民に与える影響を示した新たな冊子を同じ部数作成するよう求めています。
そして、実行できない場合には、知事らが作成にかかった1200万円を県に支払うよう求めています。
請求者の1人、「リニア・市民ネット山梨」の川村晃生代表は記者会見で、「本来ならばリニア開業のデメリットをどう克服するかを盛り込んで整備方針が作られるべきだ。一方的な内容を是正してほしい」と話していました。
この冊子を作成した山梨県リニア環境未来都市推進室は「冊子はリニアを活用したまちづくりの整備方針に基づいて作成したもので、メリットやデメリットを示すような趣旨で作ったわけではない。山梨県が将来どのように変わっていくのか未来を担う子どもたちに知ってもらうためのもので、作成は問題ないと考えている」とコメントしています。
山梨県内のリニア予定ルートの多くはトンネルを通過する一方、地上を通る区間は全体のうち、およそ70%が山梨県に集中しています。
こうした地域のうち、
南アルプス市では「移転をめぐる補償」。【編注・2018.03.30 山梨県南アルプス市住民が裁判所に補償問題の調停を求める】
富士川町では「防音対策」。【編注・2018.03.21 山梨県富士川町の住民調査、85%が防音防災フードを希望した】
早川町では「急増する工事車両」に直面しています。
南アルプス市では、住宅地などを通る高架橋が建設される計画です。
住民グループは、JR東海に対し、騒音などの問題によって周辺住民が移転した場合、費用の補償や高架橋に「防音フード」を設け、騒音を国の環境基準以下に抑えることなどを求め、今月、裁判所に民事調停を申し立てました。
隣りの富士川町では、「防音フード」の設置を希望するかどうか住民の意向調査が行われ、3地区すべてで設置を希望するという結果でした。
このほか、トンネル工事が行われている早川町では、土砂を運ぶため1日およそ200台のダンプカーが走っています。
住民からの懸念も踏まえて、町は急増した工事車両をどう感じているかアンケートを実施し、来月とりまとめることにしています。
県や経済団体がリニアのメリットを強調する中、住民への不安にどう応えていくか、開業が9年後となる中、課題となっています。
リニア環境未来都市推進室が冊子の根拠であると応えたという「リニアを活用したまちづくりの整備方針」についてはWebサイトで整理する予定です。
これが山梨県政の長期計画であるなら想定される問題点の解決法についても検討されたものであるべきで、それを含めての山梨県活性化未来像となるのが当然です。
山梨県長期計画が「リニアで変わるやまなしの姿」冊子が広報する姿でしかないなら、そのような県政計画を承認した山梨県議会の責任も問われるのも当然の成行きとなります。
私が山梨県政計画の「全体像」を理解し整理してWebサイトで記録する予定は遅れています。
県が作成した、リニア中央新幹線の開業効果を描いた冊子をめぐり、沿線の住民らが「デメリットを無視した偏った内容」だとして、住民監査請求を行った。住民監査請求を行ったのはリニア・市民ネットと山梨リニア沿線住民の会のメンバー11人。
冊子「リニアで変わるやまなしの姿」は、リニア開業10年後の山梨の姿を漫画で描いていて、県が15万部を作成し、今年2月に県内の小中学生や高校生に配布した。沿線住民らは冊子について、騒音や振動といった生活被害や自然破壊、県費投入などのデメリットを無視していると指摘し、「きわめて一方的かつ偏った内容になっている」と批判している。
そのうえで、子どもたちに一方的な価値観を植えこもうとするもので違法性があり、作成費1200万円の払い戻しを受けて冊子を回収、返品するか、デメリットのみを掲載した冊子をつくることなどを求めている。請求が受理されれば監査委員は審査のうえ、18日から60日以内に勧告を行うか棄却するか決定する。
こちらの冊子をご覧ください。
これは山梨県が県内の児童や生徒に配布したリニアの未来像を分かりやすくまとめたものですが、この一冊が波紋を広げています。
冊子にはリニアのメリットばかりが強調され、騒音など生活面への影響が示されていないとして、市民グループが公金の不適切な支出を是正するよう求める住民監査請求を行いました。
「リニアで変わるやまなしの姿」は県が1200万円をかけて作成し、およそ11万部が県内の小中学生と高校生に配付されました。
冊子はマンガ仕立てで、リニアの経済効果や開通後の未来像を紹介しています。
しかしメリットばかりを強調して騒音や日照時間、財政負担など生活への影響が示されていないと市民団体が指摘し、17日に県に不適切な支出の是正を求める住民監査請求を行いました。
請求では冊子の製作費の返還と、配付した分を回収して騒音や環境への影響なども盛り込んだ冊子を新たに作成することを求めています。
「一方的な内容を子供たちに教えること自体に教育的な問題があり、是正してほしい」(リニア・市民ネット山梨川村晃生代表)。
発行した県の担当課は「詳細な請求内容を把握していないが、監査委員の指示に従い適切に対応したい」とコメントしています。
今回の監査請求については 山梨県監査委員事務局(山梨県庁 別館1階)から、なんらかの広報があるかも知れません。監査委員事務局ホームページ から時々確認しておきます。住民監査請求トップページ (ちなみに監査委員事務局のページ上欄のパンクズナビ設定はホームページを外していて不適切と思えます)
「リニア冊子」
2018.03.09 「リニアで変わるやまなしの姿」、山梨県の市民団体が回収を要求
2018.01.02 リニアで変わるやまなしの姿(出版情報)
騒音問題
2018.02.10 山梨県リニア騒音対策を沿線市町が県に要望
2018.01.10 山梨県沿線住民がリニア騒音対策を県庁に要請
2017.11.28 富士川町で防音フード設置に住民意向調査を実施予定
早川町工事関連で地元の状況がネットで報道された事は少ない
2017.12.18 南アルプストンネル(山梨工区)着工2年経過
2017.12.01 山梨県早川町で工事車両通行の影響調査を実施する
◇ リニア市民ネット山梨からの要請について(山梨県知事記者会見 2018年4月10日)
「リニアで変わるやまなしの姿」は、昨_2017年3月に、関係する団体、有識者、関係市町の首長の皆さん方とまとめたリニア環境未来都市整備方針に則った内容だと考えています。いろいろな考え方はあるとは思いますが、極力、住民の皆さん方の不安、例えば騒音の不安解消に努めていかなければならないということは大前提です。また、用地取得等が具体化した場合には、合意形成を関係する地権者の皆さん方やその周辺の皆さんに丁寧(に説明し)、理解が得られるように対応していかなければならないと思っています。いずれにしても、整備方針に基づいた山梨のこれからの姿ということであるということだけはお話しができると思います。
県、有識者も含めて関係する市町の首長で整備方針というものを取りまとめました。基本的には、夢のある姿というものをまず、これから一番利活用をする小・中学校、高校(の児童・生徒)に11万部を配りました。子どもたちが自分たちの時代には、いろいろな利活用する手段や可能性が広がるということを教育の観点からご理解いただいた方がいいだろうということで配付させてもらいました。その判断は決して間違っていないと今でも思っています。いろいろなご意見があることは事実です。例えば騒音の問題1つをとっても、エリア指定をこれから具体化していくことになりますし、また個別対策ということも、事業主体でありますJR東海に、いろいろな説明会等で不安の解消に努めてほしいと県からも再三再四、お願いをしているところです。当然、用地取得という段階になれば、さらに県の役割はより具体的になりますから、より丁寧な、理解を得られるようなスタンスで臨みながら住民の皆さん方、県民の皆さん方の不安解消ということに努めていかなければならないと考えています。
提案というよりも、ヒアリングに基づいて、いろいろな行政サービスを提供しているわけですし、またリニア中央新幹線という大きな国家的プロジェクトというものは法律に基づいて合意形成がされ、ルートが決定されます。明かり区間では山梨県は1300人とも1400人とも言われている地権者の方には、用地交渉前にJR東海が主体となって(対応)する部分と用地を取得する段階で県がJR東海から業務委託を受けて対応する部分があります。その部分は若干差があるかもしれませんが、いろいろな課題を個別課題の中できちっと説明し、ご理解を得ていくことは、今までも当然やってきましたが、これからも県が本格的に前に出て地権者の皆さんやそれを取り巻く皆さんにもお話をしていかなければならないと大変重要な課題であると認識しています。
やはりリニア環境未来都市整備方針の作成過程と内容をしっかり確認しておく必要があると思いました。「いろいろな行政サービス」とはどんなことか、県庁はそれらをどのような形で広報しているかなど、いずれWebサイトで整理するつもりです。