2018年06月22日

静岡市がJR東海のリニア工事計画に合意、県知事はそれを批判(報道記録)

とりあえず報道記事にリンクしておきます。問題は複雑なので別途整理するつもりです。
静岡新聞やNHKを走り読みした限りですが、22日の静岡新聞が伝えたJR東海と交わした合意書の全文公開を待ちたいと思います。静岡市長記者会見のページ から合意書にリンクされる方法で公開されると良いです。
この件の論点は、静岡市長が県知事・県庁方針との違いがあるにもかかわらず、今回の合意に至った考え方の流れが明確であるかどうか、静岡市としてリニア事業への対応スタンスに変遷があるなら、その経緯が明確かどうかだと思います。
今回の合意で、大井川減水問題は別で単に発生土輸送に関係する道路に住民要望によるトンネルを建設するだけの合意という事なら、合意の様相は全く違ってくるでしょう。
静岡市や大井川地域の皆さんにとっても早急なソース確認が第一のはずです。静岡市が週明けには公開すべき合意書です。

暫定ですが 静岡県知事のコメント 2018年6月22日、リニア中央新幹線サイトの記事にしました。

リニアで静岡市長発言に知事抗議(NHK静岡のニュース 2018年06月22日 19時49分)

20日、静岡市とJR東海がリニア中央新幹線の建設工事に使うトンネルの設置費用をJR側が全額負担することで合意した際に、静岡市の田辺市長が建設に伴う大井川の水量の減少について、「誠実に対応して欲しいとJR東海の社長に申し上げ約束してもらった」などと発言したことに対し、川勝知事が抗議し発言を撤回するよう求めました。
リニア中央新幹線の建設工事をめぐっては、大井川を流れる水の量が減るおそれがあるとして地元の自治体などがJR東海に対して、減少した水量すべてを回復するよう求めています。
こうしたなか、20日静岡市とJR東海は、建設工事に使うトンネルの設置費用約140億円をJR側がすべて負担するなどとする基本合意を締結しました。
その際、田辺市長は「大井川の中下流域への配慮をして誠実に対応することをJR東海の社長に約束してもらった」と発言していました。
この発言に対して川勝知事は22日コメントを発表し、「水問題の本質を全く理解していないも同然だ」などとして、これらの発言の「撤回を求める」とともに強く抗議するとしています。
その上で川勝知事は「JR東海の誠意ある対応を求める交渉に粘り強く取り組んでまいります」とコメントしています。
川勝知事から大井川の水問題について発言の撤回を求められたことについて、静岡市の田辺信宏市長は「県からのコメントについては内容を確認の上、適切に対応させて頂きます。中央新幹線の建設工事に関する課題は合意書の締結によりすべて整理されたものではありません。環境問題、特に大井川流量減少対策については、県および大井川流域の関係市町、利水者の皆様と連携しながら引き続きJR東海と協議して参ります」と文書でコメントしました。

流量減対策へ影響懸念 県など、静岡市のリニア工事合意受け(静岡新聞 2018/6/22 07:38)

 リニア中央新幹線南アルプス工事に関する静岡市とJR東海の基本合意を受け、県や大井川流域の市町に、流量減対策を巡るJR東海との交渉への影響を懸念する見方が広がっている。県は合意の内容を慎重に見極め、近く見解を明らかにする方針で、流域市町は行方を注視している。
 「オール静岡の態勢でJR東海絡みの問題の交渉をしていく」。川勝平太知事は19日の定例記者会見で、市町と一体になって大井川の流量減対策をはじめとする交渉に臨む意向を示した。静岡市とJR東海の基本合意の発表は翌20日。県にとっては決意表明の直後に冷や水を浴びせられるような展開となった。
 合意は静岡市内の工事車両通行ルートのトンネル建設に関する内容が中心で、静岡市やJR東海が県に事前に報告する義務はない。大井川の流量減対策についても、利水団体に配慮した一文があるとして、静岡市の担当者は「今後もしっかり対応してほしいとJR東海に働き掛けていく」と強調する。
 ただ、県側には「静岡市だけと向き合えばいいというJR東海の分断工作」(幹部)との見方も出るなど不信感がのぞく。
 大井川流域の首長も合意による影響を懸念し、県の対応を注視する。島田市の染谷絹代市長は「県、関係自治体、利水者が連携を密にして取り組むことが必要」と強調。焼津市の中野弘道市長は突然の発表に戸惑いを見せ「合意内容は聞いていない。流域のことは県にもお願いしている」と話す。川根本町の鈴木敏夫町長は「静岡市だけでなく、大井川流域の多くの市町が関係する話。抜け駆けで静岡市だけ地域振興につなげるのはおかしい」と批判した。

JR負担で県道トンネル整備 静岡市の要望受け入れ リニア工事めぐり基本合意書(産経新聞静岡版 2018.6.21 07:01)

 静岡市北部の南アルプス地下を貫通するリニア中央新幹線工事をめぐり、同市とJR東海は20日、市が望む県道へのトンネル整備を同社の費用負担で行うことを盛り込んだ基本合意書を締結した。田辺信宏市長と同社の金子慎社長が共同会見して発表した。約140億円と試算された工事費用は同社が全額負担する。両者間の最大の懸案事項だったトンネル設置箇所について、同社が市の要望を全面的に受け入れる形で決着したことは、大井川の流量問題で対立する県と同社との交渉の行方にも影響を及ぼしそうだ。
 南アルプス工区の工事が始まれば、車両のすれ違いが難しいほど狭い県道を多数の工事車両が通過すると想定される。このため市は、工事現場近くの井川地区の住民の利便性を確保するため、市中心部と井川地区を結ぶ県道に工事車両も一般車も利用できるトンネルを整備するよう要望していた。一方で同社は、川根本町と井川地区を結ぶ市道にトンネルをつくれば住民の利便性は損なわれないと主張。トンネル設置箇所をめぐって意見が食い違っていた。
基本合意では、同社が譲歩し、市や地元住民が求めていた県道側に同社の全額負担でトンネルが設置されることになった。
 会見で金子社長は「南アルプストンネルは最難関工区であり、市の理解に感謝している。意義深い合意となった」とほっとした表情をみせた。一方の田辺市長は「難しい選択だったが、リニア新幹線を国民に供用してもらいたいという思いもあり、ギリギリのタイミングで決断した」と悩み抜いた末の判断だったと強調した。
 基本合意にはそのほか、同社が環境保全に誠実に対応することや、地域振興に協力することなども盛り込まれた。
 ただ、静岡市と同社の合意書には、県や周辺市町が強く望む大井川の流量減少対策は明記されていない。この点について市の担当者は「大井川の流量減少対策は『環境保全に誠実に対応する』の項目に含まれると考える」と述べた。
 川勝平太知事は今回の合意に関して取材に応じ、「JR東海には県も相当厳しいことを言っている。歩み寄るというジェスチャーなのかもしれない」と、県と同社との交渉も進展することを期待していた。

リニア中央新幹線 建設工事、相互連携で合意 静岡市とJR東海 /静岡(毎日新聞静岡版 2018年6月21日)

 静岡市とJR東海は20日、静岡市北部の南アルプスにトンネルを掘削するリニア中央新幹線建設工事について、相互に連携して取り組むことに合意した。田辺信宏市長と金子慎・JR東海社長が市役所で記者会見して明らかにした。県はトンネル工事で大井川水系の流量が減少するとして反対の姿勢を示しており、市と県の対応が割れる形になった。
 合意書によると、JR東海は市中心部と工事現場を結ぶ県道に、工事車両だけでなく一般車両も通れるトンネル(全長約3・7キロ)を新設する。建設費用は約140億円で全額JR東海が負担する。市はトンネルの入り口と出口付近の道路を整備する。JR東海は南アルプストンネルの掘削で生じる残土置き場の造成にも協力する。
 田辺市長は「自然環境の保全と地域振興の命題から悩んだが、答えを出さなければならなかった」と話し、金子社長は「南アルプストンネルは最難関工区で早期の着工が必要。極めて重要で意義深い合意ができた」とした。
 市とJR東海の合意を受け川勝平太知事は20日、報道陣の取材に応じ「合意内容は聞いていないが、南アルプスにトンネルを掘ると水資源に影響があるのは自明。静岡市の問題と水の問題は別だ」と述べた。【大谷和佳子、松岡大地】

リニア工事、県道トンネル整備へ JR全額負担で静岡市と合意(静岡新聞 2018/6/20 17:00)

 静岡市とJR東海は20日、リニア中央新幹線南アルプス工事の工事車両通行ルートについて、同社が市の求めに応じて同市葵区の県道三ツ峰落合線にトンネルを整備し、工事費用も全額負担することで基本合意したと発表した。同日午前、田辺信宏市長と同社の金子慎社長が市役所静岡庁舎で記者会見した。
 同社の試算では、県道トンネル(延長約4キロ)の建設にかかる費用は約140億円。同社は昨年12月、整備費用などの理由から、市と地元の井川地区が要望した県道でなく、川根本町につながる市道閑蔵線へのトンネル整備を提案した。しかし、この提案に田辺信宏市長が「おこがましい」と発言するなど市側が激しく反発。同社は方針を転換し、地域貢献で県道トンネルの整備に協力する意思を示し、費用負担についても交渉を続けてきた。
 同社は交渉の過程で「応分の負担」を主張し全額負担に難色を示していたが、最終的に市の要望を受け入れた。本県は沿線都県で唯一の未着工区間。金子社長は方針転換の理由を「工事を円滑に進め、市との協力関係を築く上で適切な判断」と述べ、早期着工への決意をにじませた。トンネル整備に伴う周辺道路の拡幅や斜面対策は市の負担で工事を行うという。
 市がトンネルの設置を要望していた区間は、急カーブが多く、車同士がぎりぎりですれ違う狭い道路。市はトンネルがあれば事故や交通規制を回避でき、工事関係者や地元住民の安全につながると主張していた。また、南アルプスエコパークの観光振興への効果も期待している。

静岡新聞の関連記事をとりあえず時系列でリンクしておきます。

静岡県対応窓口を一本化 リニア工事などJR東海問題(2018/6/20 08:22)

川勝平太知事は19日の定例記者会見で、リニア中央新幹線南アルプストンネル工事に伴う大井川の流量減対策などを巡ってJR東海との間で行っている交渉に関し、今後は県庁の窓口を一本化して対応する方針を示した。「オール静岡の態勢でJR東海絡みの問題の交渉をしていく」と表明し、庁内や市町からの情報を知事戦略局に集約した上でJR東海と協議していく考えを示した。  知事は大井川の流量問題以外にも、JR東海との間で県民の利便性に関わる問題が各地で起きていると指摘。個々に問題への対処をJR東海に求めても解決につながらず、市町から相談が寄せられているとし「個別に(JR東海と)話をしても難しい。力を合わせてやっていく」と強調した。篠原清志知事戦略監と高畑英治知事戦略局長を中心に庁内の窓口を編成するとした。  一方、JR東海の金子慎社長が13日の定例会見で、トンネル湧水の全量を大井川に戻せるポンプ設置を検討すると発言したことについては、川勝知事は「当たり前のことしか言っていない」と批判。利水者との協定に関しては「できる状況にない」との見解を示した。

リニア工事、全量回復「ポンプ設置」 JR東海社長、検討表明(2018/6/14 07:35)

 JR東海の金子慎社長は13日の定例記者会見で、リニア中央新幹線南アルプストンネル工事に伴う大井川の流量減少問題に絡み、トンネル湧水の全量を川に戻すポンプの設置を検討していると明らかにした。静岡県が求める大井川流量の「全量回復」に一定の譲歩を示した格好。金子社長は「県をはじめ、利水者に説明を始めたところ。良い形で工事を進めたい」と強調した。  同社によると、静岡と山梨の県境トンネル内にポンプを設ける。掘削中は発生する湧水の排出に使用し、トンネル完成後は湧水をくみ上げ大井川に戻す。今月、JR側から県に流量減少対策の骨子として提案したという。ただ、提案は渇水期のみのポンプアップを想定し、常時くみ上げはしない方針。  南アルプストンネルの静岡工区(静岡市葵区)は、大井川の環境保全を巡りJR東海と県の考え方に隔たりがあることから、2027年開業を目指すリニア中央新幹線東京・品川−名古屋間で唯一、未着工になっている。

リニア27年開業「余裕ない」 南アトンネル、静岡県と調整(2018/4/6 07:37)

JR東海の金子慎社長は5日、名古屋市で開いた記者会見で、リニア中央新幹線の東京・品川−名古屋間の2027年の開業目標について「どんどん余裕がなくなっている」と危機感を示した。南アルプストンネルの静岡工区に関し、大井川の流量減少対策を巡り静岡県と対立し、着工のめどが立たないためだ。  金子社長は「思っていたよりも少し着手が遅れてしまって困っている。このままの状態が続くと開業に影響が出てしまうのでよくない」と述べ、静岡県との調整に努力する考えを強調した。  リニア工事を巡る談合事件については「(ゼネコン各社との)契約は適切だった」と改めて指摘した。リニア事業は「大変意義のあるプロジェクトだ。工程は厳しいが、全力で前へ進めたい」とした。  気象庁や国土交通省のレーダーが捉えた雨量情報を活用して運行規制するシステムを20年6月から在来線に導入することも発表した。ゲリラ豪雨を迅速に把握して安全性を高める。投資額は約4億4千万円。  レーダーは1キロ四方単位で降雨の状況を観測できる。これまでは平均9キロ間隔で駅などに設置した雨量計で徐行や運転見合わせを判断していた。金子社長は「的確で安全な運行ができるようになる」と述べた。

JR提案「おこがましい」 静岡市長、トンネル設置要望巡り(2017/12/22 07:35)

リニア中央新幹線南アルプストンネル工事の工事車両通行ルートを巡り、JR東海が静岡市の要望とは異なる市道へのトンネル整備を提案したことについて、田辺信宏市長は21日の定例記者会見で「おこがましいにもほどがある。地元の思いとは大きな隔たりがある」と非難した。  市は工事現場になる葵区井川地区の意向を踏まえ、工事車両の通行ルート確保や地域振興の観点から、市街地へのアクセスが良くなる県道三ツ峰落合線へのトンネル設置を求めていた。しかし、JR東海は井川地区で6日に開いた住民説明会で、川根本町につながる市道閑蔵線へのトンネル設置を提案。「市が整備するのであれば費用(100億円)の半分を負担する」とし、住民たちの反発を招いた。  リニア本線は南アルプスエコパークの地下を貫く。田辺市長は「(エコパーク登録までに)市民の時間と労力がかかっている。そこを毀損(きそん)することに、厳しい視点を持たなくてはいけない」と話した。  今後、条件が折り合わないままJR東海が工事を行う可能性については「強行するのは難しいのではないか。県と連携して対応していきたい」と述べた。

リニア、静岡工区「同意待たず着手」否定せず JR東海社長(2017/12/14 09:43)

JR東海の柘植康英社長は13日、名古屋市内で開いた定例記者会見で、同社発注のリニア中央新幹線関連工事を巡る入札妨害事件に言及し「工事を計画通り着実に進めて参りたい。影響が出ることは想定していない」と述べ、捜査に全面協力する姿勢を示した。未着工の静岡工区(静岡市葵区)については、大井川下流利水者との基本協定を結びたい意向を改めて示した一方、地元の同意を待たずに着工に踏み切る可能性を否定はしなかった。  柘植社長は静岡工区について「すでに工事契約を終え、今すぐに工事という訳ではないが、いつまでも時間がある話ではないという認識で、今も基本協定を結ばせていただきたく、利水団体や市町などに説明に歩いている」と述べた。同協定を巡る問題とともに取り沙汰された静岡空港の新幹線新駅構想については「高速性の流れを止めかねず従来から『ありえません』という話で私どもの考え方は首尾一貫している。新駅設置について誰かと私どもが合意したということは一切ない」と、明確に否定した。  6日に静岡市葵区井川地区で開いた南アルプストンネル工事に関連する住民説明会で、工事車両の通行ルート整備に関して住民から厳しい声が出たことについては「エコパークもあるので、地域への貢献で何ができるのかということも含めて検討し、またご説明させていただく」と強調した。  入札妨害事件で、JR東海側から工事を受注した大林組に情報が漏えいした疑いへの質問などが相次いだが、柘植社長は「回答は差し控える」と繰り返した。  社内に設置した調査委員会が入札を巡る経緯などについて大林組に説明を求めているが13日時点で回答は得られていないとした。
posted by ict工夫 at 22:53| 静岡県