とりあえず報道記事にリンクしておきます。問題は複雑なので別途整理するつもりです。
静岡新聞やNHKを走り読みした限りですが、22日の静岡新聞が伝えたJR東海と交わした合意書の全文公開を待ちたいと思います。静岡市長記者会見のページ から合意書にリンクされる方法で公開されると良いです。
この件の論点は、静岡市長が県知事・県庁方針との違いがあるにもかかわらず、今回の合意に至った考え方の流れが明確であるかどうか、静岡市としてリニア事業への対応スタンスに変遷があるなら、その経緯が明確かどうかだと思います。
今回の合意で、大井川減水問題は別で単に発生土輸送に関係する道路に住民要望によるトンネルを建設するだけの合意という事なら、合意の様相は全く違ってくるでしょう。
静岡市や大井川地域の皆さんにとっても早急なソース確認が第一のはずです。静岡市が週明けには公開すべき合意書です。
暫定ですが 静岡県知事のコメント 2018年6月22日、リニア中央新幹線サイトの記事にしました。
◇ リニアで静岡市長発言に知事抗議(NHK静岡のニュース 2018年06月22日 19時49分)
リニア中央新幹線の建設工事をめぐっては、大井川を流れる水の量が減るおそれがあるとして地元の自治体などがJR東海に対して、減少した水量すべてを回復するよう求めています。
こうしたなか、20日静岡市とJR東海は、建設工事に使うトンネルの設置費用約140億円をJR側がすべて負担するなどとする基本合意を締結しました。
その際、田辺市長は「大井川の中下流域への配慮をして誠実に対応することをJR東海の社長に約束してもらった」と発言していました。
この発言に対して川勝知事は22日コメントを発表し、「水問題の本質を全く理解していないも同然だ」などとして、これらの発言の「撤回を求める」とともに強く抗議するとしています。
その上で川勝知事は「JR東海の誠意ある対応を求める交渉に粘り強く取り組んでまいります」とコメントしています。
川勝知事から大井川の水問題について発言の撤回を求められたことについて、静岡市の田辺信宏市長は「県からのコメントについては内容を確認の上、適切に対応させて頂きます。中央新幹線の建設工事に関する課題は合意書の締結によりすべて整理されたものではありません。環境問題、特に大井川流量減少対策については、県および大井川流域の関係市町、利水者の皆様と連携しながら引き続きJR東海と協議して参ります」と文書でコメントしました。
◇ 流量減対策へ影響懸念 県など、静岡市のリニア工事合意受け(静岡新聞 2018/6/22 07:38)
「オール静岡の態勢でJR東海絡みの問題の交渉をしていく」。川勝平太知事は19日の定例記者会見で、市町と一体になって大井川の流量減対策をはじめとする交渉に臨む意向を示した。静岡市とJR東海の基本合意の発表は翌20日。県にとっては決意表明の直後に冷や水を浴びせられるような展開となった。
合意は静岡市内の工事車両通行ルートのトンネル建設に関する内容が中心で、静岡市やJR東海が県に事前に報告する義務はない。大井川の流量減対策についても、利水団体に配慮した一文があるとして、静岡市の担当者は「今後もしっかり対応してほしいとJR東海に働き掛けていく」と強調する。
ただ、県側には「静岡市だけと向き合えばいいというJR東海の分断工作」(幹部)との見方も出るなど不信感がのぞく。
大井川流域の首長も合意による影響を懸念し、県の対応を注視する。島田市の染谷絹代市長は「県、関係自治体、利水者が連携を密にして取り組むことが必要」と強調。焼津市の中野弘道市長は突然の発表に戸惑いを見せ「合意内容は聞いていない。流域のことは県にもお願いしている」と話す。川根本町の鈴木敏夫町長は「静岡市だけでなく、大井川流域の多くの市町が関係する話。抜け駆けで静岡市だけ地域振興につなげるのはおかしい」と批判した。
◇ JR負担で県道トンネル整備 静岡市の要望受け入れ リニア工事めぐり基本合意書(産経新聞静岡版 2018.6.21 07:01)
南アルプス工区の工事が始まれば、車両のすれ違いが難しいほど狭い県道を多数の工事車両が通過すると想定される。このため市は、工事現場近くの井川地区の住民の利便性を確保するため、市中心部と井川地区を結ぶ県道に工事車両も一般車も利用できるトンネルを整備するよう要望していた。一方で同社は、川根本町と井川地区を結ぶ市道にトンネルをつくれば住民の利便性は損なわれないと主張。トンネル設置箇所をめぐって意見が食い違っていた。
基本合意では、同社が譲歩し、市や地元住民が求めていた県道側に同社の全額負担でトンネルが設置されることになった。
会見で金子社長は「南アルプストンネルは最難関工区であり、市の理解に感謝している。意義深い合意となった」とほっとした表情をみせた。一方の田辺市長は「難しい選択だったが、リニア新幹線を国民に供用してもらいたいという思いもあり、ギリギリのタイミングで決断した」と悩み抜いた末の判断だったと強調した。
基本合意にはそのほか、同社が環境保全に誠実に対応することや、地域振興に協力することなども盛り込まれた。
ただ、静岡市と同社の合意書には、県や周辺市町が強く望む大井川の流量減少対策は明記されていない。この点について市の担当者は「大井川の流量減少対策は『環境保全に誠実に対応する』の項目に含まれると考える」と述べた。
川勝平太知事は今回の合意に関して取材に応じ、「JR東海には県も相当厳しいことを言っている。歩み寄るというジェスチャーなのかもしれない」と、県と同社との交渉も進展することを期待していた。
◇ リニア中央新幹線
建設工事、相互連携で合意 静岡市とJR東海 /静岡(毎日新聞静岡版 2018年6月21日)
合意書によると、JR東海は市中心部と工事現場を結ぶ県道に、工事車両だけでなく一般車両も通れるトンネル(全長約3・7キロ)を新設する。建設費用は約140億円で全額JR東海が負担する。市はトンネルの入り口と出口付近の道路を整備する。JR東海は南アルプストンネルの掘削で生じる残土置き場の造成にも協力する。
田辺市長は「自然環境の保全と地域振興の命題から悩んだが、答えを出さなければならなかった」と話し、金子社長は「南アルプストンネルは最難関工区で早期の着工が必要。極めて重要で意義深い合意ができた」とした。
市とJR東海の合意を受け川勝平太知事は20日、報道陣の取材に応じ「合意内容は聞いていないが、南アルプスにトンネルを掘ると水資源に影響があるのは自明。静岡市の問題と水の問題は別だ」と述べた。【大谷和佳子、松岡大地】
◇ リニア工事、県道トンネル整備へ JR全額負担で静岡市と合意(静岡新聞 2018/6/20 17:00)
同社の試算では、県道トンネル(延長約4キロ)の建設にかかる費用は約140億円。同社は昨年12月、整備費用などの理由から、市と地元の井川地区が要望した県道でなく、川根本町につながる市道閑蔵線へのトンネル整備を提案した。しかし、この提案に田辺信宏市長が「おこがましい」と発言するなど市側が激しく反発。同社は方針を転換し、地域貢献で県道トンネルの整備に協力する意思を示し、費用負担についても交渉を続けてきた。
同社は交渉の過程で「応分の負担」を主張し全額負担に難色を示していたが、最終的に市の要望を受け入れた。本県は沿線都県で唯一の未着工区間。金子社長は方針転換の理由を「工事を円滑に進め、市との協力関係を築く上で適切な判断」と述べ、早期着工への決意をにじませた。トンネル整備に伴う周辺道路の拡幅や斜面対策は市の負担で工事を行うという。
市がトンネルの設置を要望していた区間は、急カーブが多く、車同士がぎりぎりですれ違う狭い道路。市はトンネルがあれば事故や交通規制を回避でき、工事関係者や地元住民の安全につながると主張していた。また、南アルプスエコパークの観光振興への効果も期待している。
静岡新聞の関連記事をとりあえず時系列でリンクしておきます。
◇ 静岡県対応窓口を一本化 リニア工事などJR東海問題(2018/6/20 08:22)
◇ リニア工事、全量回復「ポンプ設置」 JR東海社長、検討表明(2018/6/14 07:35)
◇ リニア27年開業「余裕ない」 南アトンネル、静岡県と調整(2018/4/6 07:37)
◇ JR提案「おこがましい」 静岡市長、トンネル設置要望巡り(2017/12/22 07:35)
◇ リニア、静岡工区「同意待たず着手」否定せず JR東海社長(2017/12/14 09:43)