2018年07月09日

「子どもを巻きこむな!リニアまんが訴訟」を甲府地裁に提訴

訴訟名で使われた「リニアまんが」は「リニア冊子」とも通称されるようになりましたが「リニアで変わるやまなしの姿」と題された山梨県発行のリニア中央新幹線事業啓蒙用冊子です。これについては私もネット記事を幾つか書いています。
2018年07月04日 山梨県監査委員杉山肇氏の政務活動費報告ミスについて
2018年06月15日 山梨県監査委員はリニア冊子の住民監査請求を棄却した(報道記録)
2018年05月10日 5月15日に意見陳述される「リニアで変わるやまなしの姿」配付に係る住民監査請求
2018年03月09日 「リニアで変わるやまなしの姿」、山梨県の市民団体が回収を要求
2018年01月02日 リニアで変わるやまなしの姿(出版情報)

沿線からのたより〜「子どもを巻きこむな!リニアまんが訴訟」を提訴/訴訟の案内/山梨から 2018.7.10(「ストップ・リニア!訴訟」ホームページから)
公開記事をHTML編集して引用しておきます。

<訴状のあらまし>
 2018年1月、山梨県総合政策部リニア環境未来都市推進室が作成した「リニアで変わるやまなしの姿」という漫画は、県費約1,200万円を投じて15万部を発行、県内全域に配布されている。

 その内容は、リニアが開通すれば、観光客が増えたり、東京や名古屋で仕事ができたり、東京にも通勤できる上、東京からの移住人口や立地企業が増えるという、いわばバラ色の夢物語一色に彩られたものである。すなわちこの冊子は、リニアができれば、いかに利便性が高まるか、という側面だけが強調され、騒音や日照などの生活被害や南アルプスのトンネル掘削による自然破壊などのデメリットはいっさい描かれていない。

 それはもともと国交省が設置したリニア新幹線を審議するための交通政策審議会の議論とその結果をほぼ踏襲し、それに基づいてコンサルタント会社がはじき出した希望的観測とも言うべき数字をそのままに用いた結果によるもので、山梨県自身の思慮や省察はいっさいなく、本来そのプロセスの中で生じるデメリットは完全に無視されている。
 その結果、この冊子による広報は、利便性一辺倒の偏向した内容を呈しており、生活破壊を受ける沿線住民や自然破壊を危惧する一般市民の立場からすれば、あまりにも県にとって都合のよい一方的なものだと言わざるを得ないのである。

 しかもいっそう許し難いことは、発行した15万部のうち3分の2を超える11万部を県内の小学校、中学校、高等学校等の諸学校に直接送付し、児童生徒に配布したという事実である。くわえてその際に、教育委員会と十分な議論を経た形跡が認められない。本来教材に準じるものは教育委員会と合議の上、教育委員会を経て配布されるべきである。

 リニア問題はすぐれて政治的な問題である。各政党間で政策上の論争があり、また3兆円もの財政投融資が行われている。こうした政治的な問題を学校で取り扱う場合、教育は中立的立場を堅持しなければならない。それは教育基本法に定められており、したがってこうした問題を扱うテキストやサブテキストは、両論を併記するという形で中立性を保つ必要がある。現に文科省の「通知」によってもそのことは明確に指示されている。

 一方そうした背景を配慮してであろう、実際の学校現場では、両論を俎上に載せて生徒たちに考えさせるという授業や課外授業を行っている。こうした行為は、教育基本法や学校教育法に定める「教育の目標」の、<真理を求める態度>や<公正な判断力>を養う上で効果的であると言ってよい。逆に山梨県の偏向した内容の冊子の配布は、或る意味では、子どもたちを洗脳させる意図すら感じさせ、悪意に満ちている。

 原告らは、こうした山梨県の行為は、行政による教育の私物化であり、行政の裁量権をはるかに超えて教育関連諸法に違反するものと考え、山梨県知事及び山梨県の担当部署の責任者に、経費1197万円余の損害賠償を請求するものである。 (川村記)

リニア冊子事業の監査請求と監査結果(2018年6月15日の山梨県公報からテキスト化した全文の記録)もご参照ください。
(この情報は7月9日の山梨県内ネット報道記事から知りましたが訴訟団の記事も公開されたので掲載順序を修正しました)

リニア冊子をめぐり提訴(2018/7/9 19:26 YBS山梨放送ニュース)

 山梨県が作成したリニア中央新幹線の開業効果を紹介した冊子をめぐり、市民団体が(2018年7月)9日、損害賠償を求め甲府地裁に提訴した。
 訴えを起こしたのは「リニア・市民ネット山梨」と「山梨リニア沿線住民の会」のメンバーら10人。
 訴訟はメンバーらが行った住民監査請求が先月棄却されたことを受けたもので、冊子は「騒音や日照などのデメリットを無視した内容」として、後藤知事などに約1200万円を県に支払うよう求めている。

リニア冊子作成費用返還求め提訴(NHK甲府放送局のニュース 2018年07月09日)

リニア中央新幹線の開業に伴う県の将来像を描いた冊子について、住民らが内容に偏りがあるとして、知事らを相手取り作成費などおよそ1200万円の返還を求める住民訴訟を甲府地方裁判所に起こしました。
県が作成した、リニア中央新幹線開業後の将来像を描いた冊子を巡っては、「利便性のみが強調されている」として、沿線住民らが冊子の回収などを求め住民監査を請求しましたが、監査委員は先月、「適正な手続きで作成されたもの」だとして請求を棄却していました。
これについて監査委員の判断を不服とする沿線の住民ら10人が改めて内容に偏りがあるなどとして9日、甲府地裁に住民訴訟を起こしました。
訴えでは、デメリットを知る権利を阻害し公正な行政を怠っている、冊子11万部を児童や生徒に配布したことは「教育の中立性」に反しているなどとしています。
そのうえで、後藤知事と担当職員に対して違法な支出を行ったとして、作成や配布の費用、およそ1200万円を県に返還するよう求めています。
原告の1人、「リニア・市民ネット山梨」の川村晃生代表は「県にこれまで是正を要求してきたが、認められなかったので住民訴訟に踏み切った。住民や自然環境への被害を全く取り上げず、教育的にも違法性が高いと考えている」と話していました。
提訴について、山梨県リニア環境未来都市推進室は「冊子の内容は適正と考えている。訴状が届いた段階で対応を検討したい」とコメントしています。

リニア中央新幹線 PR冊子、県に費用返還を 2市民団体が提訴(毎日新聞山梨県版 2018年7月10日)

 リニア中央新幹線に反対する県内の2市民団体は9日、県が作製したリニアをPRする冊子にかかった費用約1200万円を県に返還するよう後藤斎知事らに求める住民訴訟を甲府地裁に起こした。
 訴状によると、冊子「リニアで変わるやまなしの姿」について、市民団体側は「一方的な価値観のみの偏向した冊子であり、教育の中立性を侵す」などとして冊子の作製、配布は違法であるとしている。
 提訴した「リニア・市民ネット山梨」の川村晃生代表は「冊子は『リニア中央新幹線の学習の際に活用してほしい』の記述とともに配布されている。行政の裁量権の範囲内とは認められない」などと主張した。県リニア環境未来都市推進室の石寺淳一室長は「冊子の中身は適正」としている。
 市民団体側は4月、冊子の回収などを求める住民監査請求をしたが、6月に棄却されていた。【野呂賢治】
posted by ictkofu at 23:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 訴訟
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