2018年12月06日

九州新幹線長崎ルート・水涸れで田植えが出来なかった長崎県諌早市(報道記録・追記)

長崎)新幹線トンネル工事の影響で川や井戸の水が減る(朝日新聞 2019年1月28日03時00分 有料記事)
2018年12月に毎日新聞でこの件を知って調べた時に、2018年5月に長崎新聞が報じていて2018年初め頃から分かっていた事案と知りました。年が明けて今度は朝日新聞が同じことを報じているのですが、今回の記事では諫早市だけで無く、長崎市でも同様な状況が発生しているとのことです。
新たに井戸を掘ることでは対処できていないと分かりましたが、こういう国策事業で発生した事案の経緯を有料記事で読まされることは御免こうむりたい。地域行政や鉄道・運輸機構の公式記事での迅速な広報がなされるべきでしょう。

 影響が出ているのは、諫早市多良見町化屋(けや)の井樋ノ尾(いびお)、峠の両地区、長崎市船石町の平(ひら)地区など。いずれも井樋ノ尾岳のふもとで、今春に完成予定の久山トンネルから約1・5キロ内。機構の九州新幹線建設局(福岡市)は、川や井戸の水が減り始めた時期と掘削工事をしていた時期が一致することなどから、工事の影響と考えられるという。
 住民や両市、(鉄道・運輸機構の九州新幹線)建設局によると、井樋ノ尾地区で農業用水などに使っていた井樋ノ尾川の水量が減っているのがわかったのは昨年(2018年)2月ごろ。建設局は、代わりの水源として井戸を地区に2本掘ったが十分な量を得られず、・・・・以下略
リニア中央新幹線事業でも想定内の事案ですが、12月記事にした時と同じく私は自分の仕事が忙しいので、こんな新聞記事があったという記録に留めます。

以上 2019年1月29日追記、以下は 2018年12月06日に公開した記事です。

工事の影響で水枯れ 田植え断念も 九州新幹線長崎ルート by 毎日新聞 2018年12月6日 13時41分 (最終更新 12月6日 16時11分)

九州新幹線長崎ルート工事影響
 九州新幹線長崎ルートのトンネル建設工事で周辺河川の水量が減少し、長崎県諫早市で農家の田植えができないなど影響が出ている。工事を請け負う鉄道・運輸機構は、代わりの水源として新たに井戸を掘削しているが、十分な水は確保できておらず、農家の人たちは先行きに不安を訴えている。【足立旬子】

鉄道・運輸機構が井戸を掘削したのは春頃、田植え前だったでしょう。その頃に鉄道・運輸機構、長崎県、諌早市、地域農業団体などが発信したかも知れない情報も時間があれば確認しておきたいと思います。そこまで突っ込んで報道しないメディア記事でも、知らなかった事が見えて来るヒントとしての価値はあります。
毎日新聞が今、この件を報じた理由は記事からは解りませんが、地域自治体の12月定例議会などで何か動きがあるのかも知れません。そこまで調べてからブログに書くべきですが・・・私は忙しいので備忘メモとしての記事です。

とりあえず地元紙の報道が確認できました。問題発生が分かった時期の報道です。この内容から当時の自治体行政や地域議会の対応施策も調べ易くなります。
新幹線トンネル工事で水枯れ 諫早・多良見の井樋ノ尾地区 農家「死活問題」 機構は井戸掘削(2018/5/26 長崎新聞)
「川が枯れた」工事で地下水脈寸断? 長崎新幹線ルート建設、10トンネル周辺で減渇水 田植えに影響も [長崎県](2018年06月07日 西日本新聞)
長崎新聞の記事は共同通信が全国版で発信していますので、他都県の人々も地元紙に転載されてご承知だったかも知れません。私は全く気付きませんでした。【新幹線トンネル工事で水枯れ 諫早・多良見の井樋ノ尾地区 農家「死活問題」 機構は井戸掘削 2018.5.26 0:07 長崎新聞 共同通信配信】

長崎新幹線ルート建設を推進した人々はリニア中央新幹線事業の状況・情報などを確認することは無かったでしょう。逆も同じかと思えます。ネット大国ジャパンもその根は浅いものかも知れません、自戒をこめて・・・
この長崎県の事案について、地域自治体がどのように対応し、今後も対処していくか。また国政としてはどのような施策を講じるか。リニア中央新幹線事業沿線各地の行政も注目していくだろう、注目するべきであると私は思います。山梨リニア実験線での同様な問題がどのように対処されたかという情報はリニア事業関連地域で共有されていないと思えるからです。

リニア中央新幹線事業の隣接地域である神奈川県座間市から リニア中央新幹線建設に係る本市の地下水への影響 が提起されていることは 私のリニアWebサイトで神奈川県トップページ でもマークしています。

報道からポイント部分の引用です。引用者は年月日を西暦フル表示に、部分的な強調表示など補足編集しています。

新幹線トンネル工事で水枯れ 諫早・多良見の井樋ノ尾地区 農家「死活問題」 機構は井戸掘削(2018/5/26 長崎新聞)
 九州新幹線長崎ルートの久山トンネル工事現場に近い長崎県諫早市多良見町井樋ノ尾(いびのお)地区で、田畑の水源となっている河川の水が枯渇していることが(2018年5月)25日、分かった。住民は田植えできなくなっており「必要な農業用水がなく死活問題」と訴える。工事発注元の鉄道建設・運輸施設整備支援機構は長崎新聞の取材に「水量減少はトンネル工事の影響と考えられる」と認め、住民らと対策を協議している。
 久山トンネルは、諫早市貝津町−長崎市船石町を結ぶ総延長5015メートル。2013年12月に着工して東西両側から掘削を進め、東工区は2019年3月、西工区は2018年12月に完成する予定。
 水枯れが確認されたのは同地区を流れる井樋ノ尾川上流の水源。久山トンネル掘削現場から北西約1・4キロに位置し、6世帯(水田約3ヘクタール)がコメを栽培している。長年、この水源から農業用水を使っていたが、今年(2018年)初め、水量の減少に気付き、諫早市に相談した。
 同機構は、工事前から川の流量を計測。市から連絡を受けて調査したところ、昨年(2017年)12月まで毎分200リットルだった流量がほぼなくなっていた。同地区近くでトンネルを掘削し始めた時期と重なるため、住民に(2018年)4月、「水量減少は工事の影響と考えられる」と説明、対策工事に入った。
 4月中旬から地下水をくみ上げるための井戸(深さ100メートル)を同地区内に掘削、5月上旬に完成したが、地下水は出なかった。今月(2018年5月)23日にも住民説明会を開き、別の場所に井戸を掘る方針を示した。
 近くで農業を営む男性(64)は「山の東側の久山町方面に大量の水が流れていると聞いた。山の地下水脈が断たれたのだろう」と指摘。「来週から田植えを始めたいが、多くの水がいるのにどうしたらいいものか。梅雨明け以降にはもっと大量の水が必要。常時、水を確保する対策を打ってほしい」と訴える。
 同機構広報部は「トンネルと水源の距離があり、事前調査で想定していなかった。トンネル工事で流量が減ることはある。因果関係を調査し、住民が必要な水量の確保を急ぐ」と答えた。同機構は住民に水稲栽培を要請しており、収量が減少した場合は金銭補償を検討するという。
 2022年度開業予定の長崎ルート(武雄温泉−長崎、線路延長66キロ)のうち、61%(約41キロ)がトンネル。同機構によると、同地区に隣接する長崎市古賀地区でも同様の水量減少が確認され、井戸を設置する予定。

2018年初めに住民から相談を受けて鉄道・運輸機構に連絡した 諌早市

鉄道・運輸機構 九州新幹線(西九州ルート)進捗情報(平成30年11月1日現在 )
このページの「九州新幹線(武雄温泉・長崎間)環境影響評価」に 九州新幹線(武雄温泉・新大村(仮称)間)環境影響評価(佐賀県)に係る事後調査報告書(平成27年度〜28年度)(PDF:15,208KB)
新着情報
プレスリリース(年別)

「川が枯れた」工事で地下水脈寸断? 長崎新幹線ルート建設、10トンネル周辺で減渇水 田植えに影響も [長崎県](2018年06月07日 西日本新聞)
 九州新幹線西九州(長崎)ルート建設に伴う県内22カ所のトンネル工事のうち10カ所の周辺で河川の流量が減る減渇水が起きていたことが、鉄道・運輸機構への取材で分かった。掘削による地下水脈の寸断などが原因とみられ、うち諫早市−長崎市を結ぶ久山トンネル工事では両市の4水系で減渇水が起き、田植え前の水田に水が引けないなどの影響が出ている。
 同機構はいずれも「トンネル掘削と減渇水の時期が重なるため、工事の影響とみられる」と説明。久山トンネル以外も千綿トンネル(東彼杵町)、第2岩松トンネル(大村市)、新長崎トンネル(長崎市)など広範囲に及んでいるが、井戸の設置やトンネル湧水の送水管による給水、休耕に伴う補償といった対策を終えたとしている。
 久山トンネルは全長4990メートルで、2013年12月に諫早市側の東工区(約2700メートル)と長崎市側の西工区(約2300メートル)が同時に着工。東西両側から掘削を進めており、西工区は今年(2018年)12月、東工区は来年(2019年)3月の完成を予定している。
 西工区から半径1キロ内にある長崎市古賀地区の二双舟川など3水系では昨年(2017年)12月ごろから流量が減り、一部はゼロになった。3水系とも地下水を水源にしており、地元住民によると、下流では計40戸の農家がコメを作っていたという。
 機構側は応急対策として今年(2018年)2〜5月に計4本の井戸を掘削して給水を試みたが流量は不足。地元自治会でつくる東長崎新幹線対策協議会は(2018年)5月、施工業者に「農業用水に支障をきたしている」と補償を求める申し入れを行った。機構は新たな井戸の掘削を計画しているが、協議会の担当者は「3水系の水源が元に戻るわけではない。井戸やポンプの管理を今後どうするのか交渉が必要」と話す。
 東工区から約1・4キロ離れた諫早市多良見町井樋ノ尾(いびのお)地区でも今年2月以降、集落の井樋ノ尾川の水源や飲料水用の井戸が枯れた。農業用水を確保するため、機構は5月上旬に井戸を掘削したが地下水は出ず、地元の農業男性は「80年近くここに住んでいるが、川が枯れたのは初めて。田んぼには9月まで水が必要なのに対策が遅い」と顔をしかめた。

◇ 東長崎新幹線対策協議会、ネット発信情報は未確認です。
稲作には水稲と陸稲があり、報道による「住民に水稲栽培を要請」という意味が私には不明です。陸稲でも「水田」という言葉を使うのか?

冨岡勉の活動報告(カテゴリー「長崎新幹線 (10)」 がありました。2007年から最新の「九州新幹線西九州ルート整備促進の要望(菅官房長官へ)」(2018年11月6日記事)まで確認できました。
冨岡勉氏は、自由民主党の衆議院議員(4期・長崎県第1区)です。
冨岡勉の活動報告、2018年5月記事 及び 同じく2018年6月記事 では長崎新聞と西日本新聞が報じたこの件については何も書かれていません。

posted by ict工夫 at 23:23| 環境影響