2019年01月04日

JR東海の環境影響評価書・中間報告書に対する山梨県知事意見

はじめに
 今回の中間報告書手続において、関係市町長や住民から、騒音、振動、水資源、景観、住民の生活環境の保全など、多岐にわたる意見が出されている。事業者においては、関係市町等からの意見に対し、正確で十分な情報提供を行うとともに、引き続き、地域への環境影響の低減に努めること。

1 全般事項
 事業実施にあたり、地域住民から、要望、苦情等があった場合は迅速かつ誠実に対応すること。
 なお、中間報告書の環境保全措置の実施状況について、今後は、より具体的な記述と充実した資料によりわかりやすい報告書とすること。

2 個別事項
(1)大気
 環境保全措置である低振動型建設機械及び低炭素型建設機械について、流通台数が少ないことを理由に未導入であるが、今後は積極的に採用するよう努めること。

(2)水資源
 湧水の水量及び地表水の流量の調査において、現在実施している調査頻度、調査範囲、調査期間では、降雨等による自然変動が大きく、工事の影響を定量的に把握することが困難である。流域の状況を把握できる常時観測地点の設置や既設観測所の常時観測データの活用も含め、調査や評価の方法を再検討し、追加調査等の実施により工事の影響を把握すること。その結果、工事の影響が認められた場合は、必要な環境保全措置を検討し、実施すること。

(3) 動物(猛禽類)
 クマタカの飛翔減少の原因をイヌワシの定着によるものとしているが、中間報告書の説明をもって工事影響の有無を評価することは難しい。この評価を行うためにはできるだけ多くの調査データが必要になることから、今後、定点観察法による調査に加え、営巣地付近における騒音・振動測定などを実施し、猛禽類への影響を客観的に判断できるためのデータを収集するよう努めること。
 また、今回の中間報告書においてイヌワシの定着が確認されたが、イヌワシについても大変希少な種であることから、今後の工事にあたっては影響を低減させるための措置を講ずること。

(4)植物
 植物を移植したにもかかわらず、一部が消失してしまったことから、移植場所の選定にあたっては、生育環境に加え、動物による食害など外的な影響についても十分考慮し、食害防止柵などの必要な措置を講ずること。

(5)景観
 今後の事業実施において、構造物、工事内容が明らかになった段階で、景観に対する影響の検討過程を具体的に示すこと。
 また、発生土仮置き場、工事ヤードなどの一時的な施設についても、景観への影響が一定期間継続する可能性がある場合にはその影響を検討し、必要な環境保全措置を行うなど、景観への影響を低減すること。
 なお、早川町内の既設の発生土仮置き場についても、日常的な視点場からの景観への影響があることから、飛散防止等に使用するシートについて自然色(茶色)を積極的に採用するなど、発生土置き場の色彩や形状について配慮すること。

(6)発生土
 発生土置き場(仮含む)の全体的な計画が明らかでないことから、発生土の搬入・処分について、計画及び今後の見通しが明らかになった時点で速やかに示すこと。
 また、発生土置き場(仮含む)の位置、量、期間等の状況については、随時、ホームページで視覚的に把握できる方法で公開すること。

 上記知事意見に対する見解を県に報告するとともに事業者ホームページで公表すること。

今回の山梨県知事意見は、このブログで記録した記事・JR東海が山梨県向け環境影響評価中間報告書の縦覧と意見募集、その結果(2018年08月06日 掲載、2018年09月02日 更新)に関係する事案です。

山梨県庁ホームページに掲載の 中央新幹線(東京都・名古屋市間)の環境影響評価手続(更新・2018年12月28日)で、ページの最下部にある 「中間報告手続」が該当情報です。

JR東海が2018年8月に提出した中間報告について、山梨県環境影響評価等技術審議会が 2018年(平成30年)10月12日と11月22日に会議を行い、知事意見内容の審議も行なわれて、2018年12月28日にJR東海に送付しました。
この審議会の会議録なども公開されていますので、私はリニア情報のホームページで整理する予定です。
私の意見は2回の審議会で論じられた内容を精読し整理してからにするべきですが、知事意見を読んだ限りの感想としては、このような大規模な事業遂行において地域行政は如何にあるべきかの答えを求めている私には知事意見からは何も分かりませんでした。

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posted by ict工夫 at 22:44| 環境影響