2019年01月06日

駿河湾サクラエビの不漁は山梨県早川・富士川の汚染が影響しているのか?

静岡県、富士川流域濁り調査へ サクラエビ不漁への影響見極めで(2018/12/21 07:45 静岡新聞)
富士川濁り、山梨でも視察 静岡県、県内3支流から採水(2018/12/26 07:40 静岡新聞)

静岡県経済産業部水産業局水産振興課
静岡県経済産業部水産業局水産資源課
静岡県水産技術研究所

2018年12月26日記事からポイントを引用・・・
 駿河湾のサクラエビの記録的不漁と、河口部が主な産卵場となっている富士川の濁り具合について、静岡県が2018年12月25日開始した現地調査は、富士川に合流する早川(山梨県身延町)など県境を越えた上流部でも行った。強い濁りがみられる富士川との合流地点のほか、堆砂が顕著な早川上流の雨畑ダムのダム湖(山梨県早川町)を視察した。今後は原因特定に向け、山梨県と連携して調査する可能性もある。
(中略)
 富士宮市内の富士川本流と、富士川支流で同市内を流れる稲子川、境川、芝川の3支流の水も採取した。
 芝川漁協の長谷川組合長は「ここ15年くらい富士川ではアユが取れず、サクラエビは10年ほど前から不漁と聞いている。川や海の生態に濁りが関係しているのか、県を越えた協力で原因を究明してほしい」と語った。
 採水したサンプルは静岡県水産技術研究所で分析し、2019年1月以降に判明する見通し。静岡県水産資源課の担当者は「今後のさらなる調査は未定」とした上で「行う可能性が出てくれば山梨県と調整し合同で行うことになるだろう」と話した。

リニア中央新幹線工事の山梨工区では、早川町内に発生土置き場、仮置き場、そして汚染残土の仮置き場が各所に設定されていることは、このブログでも記録してきました。(タグ・早川町
トンネル工事による湧水の水質に問題無いかどうかは気になるところですが、その情報を私は未確認です。
富士川沿いで建設中の中部横断自動車道では セレン汚染問題などで工期の遅れが生じました。
リニア新幹線事業とサクラエビ不漁とは関係無いとは思います。しかしリニア新幹線事業は事業者や地域行政による工事情報の公開が少ないので、こういう機会に静岡県と山梨県の協働調査により山梨県早川地域の状況が明確になるなら喜ばしいことだと思います。

雨畑湖、雨畑ダムとはどんな場所なのか。
「山梨県には、昭和50年3月に完成した広瀬ダムをはじめ、荒川ダム、大門ダム、塩川ダム、深城ダム、琴川ダムの合計6つのダムが建設されています。」 ということで、雨畑ダムは山梨県による建設では無いようです。
水力発電施設のダムだとしても、山梨県発電所施設等一覧には該当する発電所はありません。
東京電力の水力発電所は早川第一、早川第三がありますが雨畑ダムとの関連は分かりませんでした。
『雨畑湖の底には、かつての町並みの一部が静かに眠っている。』「山梨てくてく」Vol.11 身延(雨畑編)より)ということで、東京都多摩川上流の小河内ダムのような歴史があるのでしょうか?

 サクラエビの記録的な不漁を受け、静岡県が富士川流域の水の濁りの調査に乗り出す。サクラエビの主な産卵場とされる富士川河口部で水の濁りを指摘する声が出ているため、川をさかのぼって濁りの原因を突き止める。また、上流域での生態系の変化がサクラエビの不漁に直接的に影響しているかも見極める。20日までに関係者が明らかにした。
 県水産業局などによると、調査は25日に行う。県水産技術研究所(焼津市)の研究員や山梨県側の関係者が参加する。川から水を採取し、濁度計を使用して調べる予定。県境をまたいだ調査を県が行うのは異例。  関係者によると、富士川の支流の早川(山梨県)上流部には、台風などで堆砂が進んだ雨畑ダムのダム湖があり、そこから流れ出る水が下流域の汚濁の原因の一つとみられるという。早川流域には採石場などが複数あり、元々の土質がもろく、濁りやすいとの指摘もある。
 また、山梨県内の富士川中流域で取水した水を発電に利用している静岡市清水区の工場から駿河湾に注ぐ放水路から出ている排水が「黒く濁っている」との報告があり、県は併せて調査する。
 放水路付近の海には放水路から出されたとみられる砂が堆積し、由比港漁協は11月下旬に付近の泥を採取。民間の研究機関へ成分調査を依頼している。
 ただ、専門家からは「サクラエビの不漁に富士川や工場放水路からの水の濁りが影響しているかは不明」との声も出ている。
 ■春漁向け連絡会設置 19年1月関係団体
 サクラエビ春漁に向け、漁業者の自主規制の在り方や操業期間などについて専門家、漁業者、加工業者らがそれぞれの見地から意見交換する常設の「情報連絡会」が2019年1月に発足することが、20日までに分かった。静岡県が事務局を務める予定。
 サクラエビ漁の関係者が一堂に会する機関が設置されるのは初めて。操業を巡って意見対立することが多い漁業者と加工業者に同じテーブルで議論してもらう。サクラエビの生態に詳しい大学教授らもメンバーに加わり、科学的見地から意見してもらうという。
 関係者によると、実際の操業方針はサクラエビの船主約80人で構成する「船主会」で決定するが、情報連絡会での意見を参考にしてもらう。
 県桜えび漁業組合は今年の秋漁は「35ミリ以下のエビが3分の1以上いる群れには投網しない」などの厳しい自主規制を敷いて臨んだ。産卵を間近に控えたエビが多い春漁では「さらに厳しい規制が必要」との声が既に出ていて、議論は紛糾する可能性もある。
 駿河湾のサクラエビの記録的不漁と、河口部が主な産卵場となっている富士川の濁り具合について、県が25日開始した現地調査は、富士川に合流する早川(山梨県身延町)など県境を越えた上流部でも行った。強い濁りがみられる富士川との合流地点のほか、堆砂が顕著な早川上流の雨畑ダムのダム湖(同県早川町)を視察した。今後は原因特定に向け、山梨県と連携して調査する可能性もある。
 県がサクラエビを含む海産物の不漁で、県境を越えて原因を調べるのは初めて。県水産資源課や県水産技術研究所富士養鱒場(富士宮市)の担当者、富士川周辺で水の濁りを調査している芝川漁協(同市)の組合員らは、ダム湖や周囲の山などに加え、早川の上流から富士川に合流するまでの各地点を写真撮影するなどして状況把握に努めた。
 富士宮市内の富士川本流と、富士川支流で同市内を流れる稲子川、境川、芝川の3支流の水も採取した。
 同漁協の長谷川三男組合長は「ここ15年くらい富士川ではアユが取れず、サクラエビは10年ほど前から不漁と聞いている。川や海の生態に濁りが関係しているのか、県を越えた協力で原因を究明してほしい」と語った。
 採水したサンプルは同研究所で分析し、1月以降に判明する見通し。県水産資源課の担当者は「今後のさらなる調査は未定」とした上で「行う可能性が出てくれば山梨県と調整し合同で行うことになるだろう」と話した。
posted by ict工夫 at 13:24| Comment(2) | 環境影響
この記事へのコメント
ブログへのコメントありがとうございます。

元日の雨畑ダムの堆砂・濁水問題に始まり、河川水の水質と漁獲量の関係、海面水温と漁獲量との関係、といった記事が続いています。

元日の記事によると、2011年9月の台風で雨畑ダム上流の河床が一気に上昇し、昨年9月の台風24号でさらに状況悪化、浸水被害も発生しているものの、「施設の損傷」で堆砂の除去は進んでいないということです。施設が台風で損傷したのか、業者が採取を断念したのかは記事からは分かりませんでした。

少し調べてみると、「雨畑開発事業協同組合」が年間50万立米を採取して販売しているようですけど、現状は分かりません。
http://www.chuokai-yamanashi.or.jp/pdf_data/file/pdf_20120510083734.pdf#search=%27%E9%9B%A8%E7%95%91%E3%83%80%E3%83%A0+%E7%A0%82%E5%88%A9%27


中部横断道&リニアで、峡南地区に計1000万立米ぐらいの発生土が出てくるわけですから、砂利採取業に影響するかもしれませんね。

また、早川芦安連絡道路で道路盛土に大量の土砂が必要であり、その材料がリニア工事で確保できるというのが山梨県の説明でしたけど、それならばダム堆砂を活用しないことと説明がつかないように思えます。
Posted by kabochadaisuki at 2019年01月06日 22:49
情報ありがとうございます。
お蔭さまで雨畑ダムについて理解できました。
山梨県中小企業団体中央会、これを調べることなど気が付きませんでした。
http://www.chuokai-yamanashi.or.jp/union/u04

リニア事業でも中部横断道でも山梨県での発生土処理については、私には分かりません。他県からの報道で状況が分かって来るのはありがたいです。それで私は静岡県庁の担当部署にリンクしておいたのです。自分のブログに書いておけば時々チェックすることもできる。
早川芦安連絡道路の件は、そのうちに県庁や議会の情報を確認してみるつもりでいます。
Posted by ictkofu at 2019年01月07日 02:29