2019年01月30日

山梨県新知事、長崎幸太郎氏のリニア中央新幹線関連の事業構想

【山梨知事選】長崎氏が初当選 自民など一丸、「組織戦」勝因 後藤氏、訴え浸透せず(産経新聞山梨版 2019.1.29 07:01)から部分引用です。(文中◇印は編者によります)
ちなみに、山梨県知事現職の後藤斎さん任期満了は2019年2月16日、長崎幸太郎さんの知事就任は2月18日(月)になります。2月16日までに後藤知事からの事務引継ぎが行なわれます。山梨県議会の2月定例会は2月26日(火)から3月15日(金)までの18日間の予定です。

◆就任後取り組み リニア新駅整備「一から見直す」
 長崎幸太郎氏は(2019年1月)27日夜の知事選当選後の取材に、中部横断自動車道の県負担軽減や、現県政が進めるリニア環境未来都市の計画見直しなど、就任後の取り組みを語った。

 ◇ 長崎氏は、建設中の中部横断自動車道への県の関わりを「停滞の象徴的事例」とし、トンネル工事難航による開通の遅れで増額される約100億円の県負担の軽減や、北部区間(長坂−八千穂間)の事業推進を「目に見える形で前へ展開したい」と強調した。

 ◇ 長崎氏は「国に本県に配分する地方交付税を増やす制度改正を求め、負担を削減したい」と公約しているが、具体的な交渉方法や負担軽減の成果など、選挙戦でアピールした「国とのパイプ」をどう生かせるかが問われる。

 ◇ 8年後に開業予定のリニア中央新幹線新駅の乗降客について、現県政は「1日最大2万人」と予測するが、長崎氏は「根拠が分からない」と疑問を呈した。
 「精査し直し、人を呼び込むための理由をつくり、(全体を)一から見直すことになるのではないか」と述べ、「リニア環境未来都市」計画を全面的に見直す考えを明らかにした。
 この結果、リニア新駅の周辺整備は、横内正明元知事が打ち出した「交通アクセス拠点」案、これを撤回した後藤斎知事のリニア環境未来都市構想に続き、3回目の計画策定となる。
 長崎氏はこれまで、国際展示場の整備などを提案しているにすぎず、就任後はより具体的なビジョンが問われそうだ。

◇ 中部横断自動車道については、別ブログの 中部横断道カテゴリー で記事を書いてきました。
長崎氏が「停滞の象徴的事例」と言われる意味が不明ですが、中部横断自動車道の工事遅れ(完成遅れ)を後藤知事の責任とすることはできないと思います。
山梨〜静岡間は【新直轄区間】(担当・国土交通省甲府河川国道事務所)と【有料区間】(担当・中日本高速道路株式会社)で工事区間が分かれています。山梨〜長野の北部区間は国交省甲府河川国道事務所が担当ですが、県内着手が遅れているのは国交省の環境影響評価、事業進行に問題があるようなのです。
中部横断道建設については横内正明氏(元山梨県知事)を支援したグループが検討された記録が残されています。【中部横断自動車道路 ふるさと山梨を考える会 第二回勉強会 平成18(2006)年7月】 この当時の検討は経済・財政的問題であって環境影響評価などは考察されていません。現在の南部区間遅延は想定外の断層破砕帯などによるトンネル工事の難航によるものです。工期延長で山梨県負担が増えるのは直轄区間の地元負担制度によるものなので、長崎氏なら政府との交渉で負担を軽減できるのかも知れませんが。

◇ 今回の知事選では自由民主党から応援議員が多数来県したと報じられていますし、長崎氏は安倍総裁に当選報告し自民党員のまま知事就任されるとのことですから、「国とのパイプ」については自民党政権である事が山梨県財政を豊かにするための必須要件と語っておられるに等しいと私は理解しています。

長崎幸太郎氏の知事選公約 では、
2. 外に打って出て、世界の富を山梨に集めます!(新たな産業、そして雇用の創出)
◇ 4.「リニア中央新幹線」は山梨と世界とをつなぐ!
  国際展示場など新産業の創造を目指します。
  〇リニア中央新幹線が開通すると、羽田空港から甲府まで東京ビッグサイトと同じ時間(約40分)となります。この利点を最大限活用して、世界からビジネスマンが集まる「大規模展示場・会議場」などの誘致に積極的に取り組みます。
・・・と記されています。
東京ビッグサイト幕張メッセ(それぞれイベント情報にリンク)と競争できる山梨施設に成り得るかどうか。
毎年秋(11月)に開催される山梨県独自の産業イベントですが、山梨テクノICTメッセ(2018年開催記事にリンク)を長崎氏がご覧になったことがあるかどうか。この会場となる施設は予定されているリニア山梨県駅の近くにあるアイメッセ山梨という展示施設もある建物です。
ここでは春の信玄公祭りに合わせて 甲府ジュエリーフェア も毎年開催されています。これは一般参加では無くて業界人に限定された展示会です。
これら長年継続されてきた産業イベントが山梨県内企業の活性化にどのように寄与してきたか、そのような情報が公開されていることを私は知りません。新聞紙面記事にはあったのかも知れませんが。

東京・名古屋・大阪の三大都市を短時間で結ぶことを目的とするリニア中央新幹線が、神奈川相模原・山梨甲府・長野飯田・岐阜坂本という沿線各地の活性化にも寄与するというスーパーメガリージョン構想は、霞ヶ関官庁やその付属機関がこれらの地に移転して来ることで成り立つだろうと私は考えています。
国とのパイプを活かすなら、補助金では無く官庁そのものを取込むことが最良の策かも知れません。5G が喧伝されるネット時代で官庁街などと呼ばれることに固執するなら、それ自体が日本国の遅れを示しているような気がしています。

posted by ict工夫 at 20:09| Comment(2) | 山梨県
この記事へのコメント
私もアイメッセ拡張で良い気がします。
東駐車場辺りをE-1〜E-3とCエリア隣の屋外展示スペースをDエリア
リニア駅に近いところにFUJI(Fエリア)でよいかと思います。
増設しておけば現行のA〜Cと事務室・ジェトロや産業機構オフィスが入るサロン棟
を建て替える際にも困らなくて済む気がします。半地下構造もありかと。
東京ビックサイト、東7〜8は臨時仮設ですし、今は南展示棟を建設中です。
東と西展示棟は2階建て(前者は1階展示SPで2階飲食店や施設職員用等、西は1〜3が1階・4〜6は2階と工夫しています。)

リニア駅予定地の中央道挟んだ北側には甲府刑務所(老朽化問題もあり移転するかどうかが取り沙汰され中?)があり、リニア駅ルートに引っかかる県の中小企業センターをそこに移し、
リニア駅周辺エリア用の格納型駐輪場を置けば諸問題も防げそうです。
Posted by kofu019 at 2019年03月04日 16:45
kofu019 さん、メッセージありがとうございます。
県政が進めたリニア駅周辺地域活性化計画には3つのポイントがあると思っています。
1.甲府市、昭和町、中央市を一体化してみる都市計画
2.リニア中央新幹線山梨県駅の停車頻度と予約制
3.山梨県駅と県内各地を結ぶ交通の利便性
(以下長文ご容赦、今後の記事の予稿みたいですが・・・)

1.コンパクト・シティに関する問題ですし、人口減少と財政問題で、いずれ合併構想が出てくるかも知れません、4月から中核市甲府になりますが人口は少ない。

2.山梨県駅利用客数と予約制の問題です。利用者数を1時間2本(片道)に変更した予測値が県庁から出ましたが根拠は疑問です。
JR中央線が特急予約制になったことで予約制リニアのテストになるように思えます。鉄道利用にもスマホを使いこなす技が必要な時代になりました。

3.駅が現在計画地なら現状ではバス交通の利便性確保しかありません。
 JR東海のリニア計画が分かった時、身延線がありながら何故離れた場所に駅なのかと思い、中間駅は地域の要求で置くだけの通過駅に過ぎないからだと私は理解したのです。
東京〜名古屋〜大阪を短時間で結ぶためのリニアであり、停車頻度もそれにより決まった、だから駅周辺開発など無駄だと。
国土交通大臣はそれを踏まえて認可し、沿線地域をなだめる為にスーパーメガリージョン構想を打ち出したが、本質は3都市一体化に過ぎない。

長崎知事が身延線近接地に駅を置くという策を打ち出された事は、おそらく国土交通省・JR東海とその話が始まっているからかも知れません。
しかし、それにより山梨県駅停車回数が増えるかどうかは未知の問題です。
駅が無くて南アルプスと大井川への影響だけの静岡県問題がありますのでJR東海が静岡県サービスとしても身延線運行と一体化した山梨県駅停車を考慮するかどうかは全くわかりません。

私は長崎知事構想の成行きに注意しながらリニア中央新幹線事業を見ていきたいと思っています。

上記3点では言及していませんが、山梨県内はじめ沿線各地の環境影響問題などは全く別な話です。
工事期間10年間我慢すれば済む事と、その間に発生するかも知れない事故と、リニア開通後も軌道近接地域で生活を続けられるだろうかと思えるような問題とがあるのです。
そして、リニアは見るだけ乗るだけで現状工事問題に無関心な方々も、自分や家族が乗った時に安全なのかと考えて、色々出ている情報を確認してみることは最も大切なことです。
Posted by ictkofu at 2019年03月04日 20:10