2019年05月08日

山梨県南アルプス市住民が工事中止求め地裁に提訴

【追録 2019-05-31】
リニア訴訟でJR「応じがたい」(2019年05月31日 11時45分 NHK甲府放送局)

リニア中央新幹線のルートに予定されている南アルプス市の住民が、工事の差し止めを求める訴訟を起こしたことについて、JR東海の金子慎社長は会見で、「大きな要求で応じがたい」と述べ、工事を計画どおり進める考えを示しました。 リニア中央新幹線の建設工事をめぐっては、高架橋が住宅地などに建設される予定の南アルプス市の住民が、騒音や振動などで生活環境が著しく悪化するとして今月(2019年5月)8日、JR東海に対して市内のおよそ5キロの区間の工事の差し止めなどを求める訴訟を甲府地方裁判所に起こしました。
これについてJR東海の金子慎社長は、(2019年5月)30日の記者会見で、「リニア工事を差し止めてほしいという大きな要求で、私たちとしては応じがたい」と述べ、工事を計画どおり進める考えを示しました。
また、金子社長は山梨、静岡、長野の3県にまたがる「南アルプストンネル」について、静岡県が大井川の水量が減少するという懸念を示し、本格的な工事が始まっていないことに触れ、「今後の工程で取り返すことが難しくなりつつある」として2027年を目指している開業に遅れが出かねないという認識を示しました。 石井国土交通大臣は31日の会見で、「リニアは国民生活や経済生活に大きなインパクトをもたらす重要な事業であり、予定どおりの開業への期待が大きい」と述べ、事業全体が円滑に進むよう国としても必要な調整を行う考えを示しました。
JR東海社長記者会見はJR東海サイトのトップページで公開されていますが、リニア中央新幹線事業の進捗などに関する記者会見発言は、企業サイトの記事として公開されないのが通例です。今回の発言も報道で知るだけで、その内容の精度は不明です。

リニア工事差し止め求め住民が提訴(2019年5月8日 YBS山梨放送ニュース)

 リニア中央新幹線のルートに予定される南アルプス市の住民がJR東海を相手取り、工事の差し止めを求める裁判を起こした。JR東海は「コメントすることはない」としている。提訴したのは沿線住民でつくる南アルプス市リニア対策協議会。
 原告の8人は、ほかの地域住民とともに(2019年5月)8日午後、甲府地裁に訴状を提出した。原告側はリニア中央新幹線の建設で生活環境が悪化するとして、市内の住宅地を通るおよそ5キロの区間の工事の差し止めを求めている。また、住宅街に高さ30メートルの高架橋が建設されることで、騒音や日照、眺望の問題が発生し土地の価格が下がるなどの実害があるとして、一人当たり100万円慰謝料の支払いを求めている。
 JR東海は「報道は承知しているが特に申し上げることはない」とコメントした。住民らは去年4月、JR東海に対し、日照被害の補償などを求めた民事調停を申し立てたが不成立となったため、提訴に踏み切った。

奇しくも同じ5月8日にジャーナリストの樫田秀樹さんが長野県飯田市のリニア駅予定地に関係する住民に取材した記事が公開されました・・・
◇ 2019.05.08 長野県のリニア駅予定地には「行政代執行になってもいいから、ここを離れない」という地主がいる。 (ブログ)

今回訴訟の前段階は「地域活性化」カテゴリー記事として記録しています・・・
◇ 2018年08月10日 山梨県南アルプス市での土地収用が調停不調との報道から思ったこと
◇ 2018年03月30日 山梨県南アルプス市住民が裁判所に補償問題の調停を求める

上記のようなこれまでの記事に書いていますが、このようなリニア新幹線沿線地域住民の要望・要請に対して地域行政がどのように動いているか、それが地域の外からも誰にも読み取れる情報として行政サイドから発信されているか否かという点にも私は関心があります。

私の推測に過ぎませんが、今回訴訟に踏み切った南アルプス市の皆さんは「ストップ・リニア!訴訟」のスタンスとは違うと思います。おそらくストップ訴訟の方々との活動連携は無いだろうと思っています。逆に言えば、それだからこそ事業者や行政には対応が難しい。特に行政の対応によってはそれが地域の命取りになりかねない。端的に表現すれば山梨県政はリニア実験線でどんな「社会実験」をやってきたのかと問われる。

リニア中央新幹線中間駅をベースにして地域活性化を図ろうとする地域行政の姿を、リニア新幹線開通を機会にその地域に移住することも考える人々はしっかり確認しているはずなのです。ホームページや誘致活動の美辞麗句だけで企業誘致や移住促進は可能なのでしょうか。
山梨実験線建設の時に、このような事例はあったのか無かったのか知りません。
各地の整備新幹線建設事業、高速道路や地域主要道路の新増設工事などで、土地収用事案はどのように処理されているのかも、全く知りません。

全国新幹線鉄道整備法の下で計画され、国土交通大臣が民間事業者をその建設工事を含めた事業主体と指定し、実施認可をした事業について、その事業の影響で人生が変わってしまう住民が提訴する対象は当該民間事業者になる、それは法令解釈からそうなるものなのでしょう。
2016年05月20日に事業認可問題を提訴した「ストップ・リニア!訴訟」は3年を経過して2019年5月17日に第14回口頭弁論ですが、現行事業推進には全く関係無いように思えます。審理はこの先5年、10年と続くのでしょう・・・

土地収用問題は個人情報に関係する問題ですから、当事者さん達からの情報発信が無いと指弾できるものではありません。
国政としてはスーパーメガリージョン構想とも結び付け、各地域の行政は地域計画・地域活性化の政策視点から、リニア中央新幹線事業に関わり住民に課せられる負担にはどのように対応するかを明確にしていくことが望ましいのではないかと、私はいつも思っています。
他都市の、別件での、類似事案は参考にはならないものなのでしょうか。

以下はトップ記事以外に確認した報道記事の引用です。

リニア新幹線の差し止め求め提訴(2019年5月8日 NHK甲府放送局ニュース)

リニア中央新幹線のルートに予定されている南アルプス市の住民が、生活環境が悪化するとして、JR東海に対して工事の差し止めなどを求める訴えを甲府地方裁判所に起こしました。
訴えを起こしたのは、リニア中央新幹線のルート沿いの南アルプス市の住民8人です。
リニア中央新幹線は、JR東海が東京・品川と名古屋の間で8年後(2017年)の開業を目指し工事を進めていて、南アルプス市内では高さ20メートルを超える高架橋を住宅地などの上に建設する計画です。
これに対して南アルプス市の住民は「騒音や振動、眺望や景観の破壊、日照被害など、生活環境が著しく悪化する」として、市内のおよそ5キロの区間の工事の差し止めと、精神的な苦痛を被ったとして1人100万円の損害賠償を求めています。
原告団は(219年5月)8日、甲府市内で会見し、リニア沿線の5つの地区の住民で作る「南アルプス市リニア対策協議会」の志村一郎代表は「JR東海と話し合いができず、最後の手段という気持ちで提訴しました。JRには住民の気持ちになって誠意を持って対応してほしい」と求めました。
この問題をめぐっては、去年4月、「南アルプス市リニア対策協議会」がJR東海に移転に伴う補償を求める民事調停を申し立てましたが、不調に終わっていました。{秋山美紀さん}
原告の1人で、南アルプス市藤田に住むAさんは、自宅から2メートルほど離れた庭の一部がリニア中央新幹線の建設用地に含まれています。
Aさんによりますと、去年、JR東海から庭の一部だけを買い取りたいと提案を受けました。
藤田地区では高さ20メートルを超える高架橋が建設される予定で、Aさんは工事や開業後の騒音、それに、自宅が日陰になってしまうことを懸念しています。
一方で、JRから提案を受けている土地を売っても、自宅の移転費用はまかなえないと言います。
Aさんは「このような環境では残った土地の価格も下落して買い手がつかない可能性があり、売ることも移転することもできない」としたうえで、今回提訴した理由について「最初は泣き寝入りするしかないと思っていましたが、光のある静かな環境で最低限の生活がしたい、そんなささいなことも訴えられないのかと思い、戦うことにしました」と話していました。
今回の提訴について、JR東海は「そのような報道があったことは承知しているが、特に申し上げることはない」とコメントしています。
リニア中央新幹線をめぐる裁判は、平成27年と28年に長野県大鹿村の住民が「自然環境が破壊される」などとして、JR東海に対して工事の禁止を求める仮処分を名古屋地方裁判所に申し立てました。 また、平成28年には建設計画に反対する沿線の住民など700人余りが、国の認可の取り消しを求める訴えを東京地方裁判所に起こし、裁判は現在も続いています。

南アルプス市5キロ区間 リニア工事中止求め沿線住民が提訴(2019年5月8日 UTYテレビ山梨ニュース)

リニア中央新幹線のルートの予定地に住む山梨県南アルプス市の住民が、工事の中止と慰謝料を求める訴えを5月8日甲府地裁に起こしました。 訴えを起こしたのは、リニアのルートの予定地に住む南アルプス市の住民8人です。
訴状などによりますと8人はリニアの騒音や高架橋の建設による日当たりの悪化で健康や生活に悪影響が生じ、JR東海が提示した補償には納得できないとしています。
その上でJR東海に南アルプス市のおよそ5キロの区間の工事の中止と慰謝料800万円の支払いを求めています。
住民側は今後、リニア建設に伴う土地や建物に対する損害賠償も請求する方針です。
住民の提訴に対しJR東海は「特に申し上げることはありません」としています。

リニア差し止め求め提訴=南アルプス市の住民−甲府地裁(2019年05月08日 時事通信)

 2027年開業予定のリニア中央新幹線をめぐり、山梨県南アルプス市の建設予定地近くの住民8人が8日、JR東海に建設工事の差し止めなどを求めて甲府地裁に提訴した。
 訴状によると、住民側はリニアの高架橋建設に伴う騒音や振動で、住環境が悪化するなどと主張。同市内の一部区間(約5キロ)の工事差し止めと、1人当たり100万円の慰謝料を求めている。
乗りものニュース が転載した時事通信記事・・・
 2027年開業予定のリニア中央新幹線をめぐり、山梨県南アルプス市の建設予定地近くの住民8人が8日、JR東海に建設工事の差し止めなどを求めて甲府地裁に提訴した。
 訴状によると、住民側はリニアの高架橋建設に伴う騒音や振動で、住環境が悪化するなどと主張。同市内の一部区間(約5キロ)の工事差し止めと、1人当たり100万円の慰謝料を求めている。 
 住民側は昨年4月、JR東海からの補償が不十分だとして民事調停を申し立てたが、不成立となっていた。原告の志村一郎さん(77)は「正当な補償や説明がなく、最後の手段として提訴に至った」と話した。
 JR東海の話 特に申し上げることはない。

リニア建設禁止求め提訴(山梨日日新聞 2019年05月08日 18時20分)【読者限定】
共同通信・山梨【転送は無いようです】

posted by ictkofu at 21:51| 訴訟