また、持続可能な地域の形成、エネルギー問題、環境問題においても、優れた特性をもつ大量高速輸送機関として期待されている。
国家的プロジェクトであるリニア中央新幹線は、平成23(2011)年5月に全国新幹線鉄道整備法に基づ く整備計画が決定され、東海旅客鉄道株式会社に対して建設の指示が出された。
東京都・名古屋市間においては環境影響評価の手続を経て、平成26(2014)年10月に全国新幹線鉄道整備法に基づく工事実施計画が認可され、現在、諸課題に対して沿線自治体及び関係機関が連携・協力しながら建設工事が進められているところであるが、リニア中央新幹線の整備は、東京・大阪間を直結することで初めてその機能を十分に発揮し、効果を得ることができる事業である。
こうした中、政府においても、平成28(2016)年度から29年度にかけて3兆円の財政投融資を活用し、全線開業時期の最大8年間前倒しが図られ、さらに、平成30(2018)年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2018(骨太の方針)」において、「建設主体が全線の駅・ルートの公表に向けた準備を進められるよう、必要な連携、協力を行う。また、新大阪駅について、リニア中央新幹線、北陸新幹線(詳細ルート調査中)等との乗継利便性の観点から、結節機能強化や容量制約の解消を図るため、民間プロジェクトの組成など事業スキームを検討し、新幹線ネットワークの充実を図る。」と位置づけられたところである。
よって、我々は、ここにリニア中央新幹線建設促進期成同盟会の事業目的の趣旨に則り、リニア中央新幹線の早期全線整備に向けて、次の事項について一致協力して強力な運動を展開するものとする。
1 東京・名古屋間については、工事実施計画に基づき着実に事業を進め、早期整備を図る こと。特に、未着工区間については、国、東海旅客鉄道株式会社及び関係者がスピード感をもって調整し、早期着手を図ること。
2 技術開発等による大幅なコストダウンに努めるとともに、一日も早い全線開業のための具体策を引き続き検討し、更なる方策を示すこと。
3 名古屋・大阪間については、概略ルート及び駅の概略位置の早期公表に向けた準備を連携、協力して進め、環境影響評価の手続に着手すること。
4 ターミナル駅については、新幹線等の広域交通結節点に相応しい交通アクセスや周辺ま ちづくりに関する検討に十分な時間を要することから、一日も早い着工を実現するため、早い段階から協議・調整をすること。
また、新幹線ネットワークの充実を図るため、「国土交通省生産性革命プロジェクト」に位置づけられた「地方創生回廊中央駅構想」の具体化に向け、民間プロジェクトの組成など事業スキームを早期に検討すること。
5 リニア中央新幹線の早期整備のため、大深度地下使用等に関する行政手続を引き続き円滑に進めること。
6 リニア中央新幹線の整備推進にあたっては、地域の発展に資するよう、地域事業者の活 用に配慮するとともに、駅設置に関することなど地域の意向を十分反映させること。 駅周辺のまちづくりや交通網の整備に関する支援など、地域の活性化に資するための施策を積極的に講じること。
2019(令和元)年6月6日
この決議文中で引用された部分(着色は編者による)の元記事を確認した。それは2018(骨太の方針)本文の注釈として書かれているテキストの一部分であった。
決議文が引用した「経済財政運営と改革の基本方針2018(骨太の方針)」の掲載サイト
◇ 経済財政運営と改革の基本方針2018(内閣府)
◇ 経済財政運営と改革の基本方針2018〜少子高齢化の克服による持続的な成長経路の実現〜(平成30年6月15日閣議決定)(PDF形式:455KB)

(3)成長力を強化する公的投資への重点化
広域的な高速交通ネットワーク 66 の早期整備・活用を通じた内外の人流や物流の拡大を図る。
「建設主体が・・・」以下の文言はリニア中央新幹線のみを示すものでは無いことは本文の「(3)成長力を強化する公的投資への重点化」の文意から明確である。
新大阪駅について示されるように乗継ぎ利便性などの広域的な高速交通ネットワークの観点からは、本来ならリニア中央新幹線の路線計画もそれに則るべきであり、現状の計画では品川駅と名古屋駅以外はこの国家計画にそぐわないのは明確だろう。
すなわち、新幹線ネットワークの充実という視点で絞ったとしても品川、名古屋駅以外の現在計画されているリニア中央新幹線の中間駅は「広域的な高速交通ネットワークの早期整備・活用」については不要なものだと言い切ってしまったに等しい同盟会決議なのである。
この件は国土交通省が提唱しているスーパーメガリージョン構想にも関係する問題であり、リニア中央新幹線の現行計画では国土交通省の構想も成功は難しいだろう。