リニア中央新幹線をめぐり県議会自民党は静岡工区の着工を県が認めていない状況を踏まえ事業主体のJR東海を招いた勉強会を開き、JR側からは「水資源に影響が出た場合は、期限を設けずに補償をする」として水資源への影響に対する地元の懸念を払拭したいという考えが示されました。
非公開の会合で宇野副社長は、「水資源に影響が出た場合は、『工事完了から何年以内』という期限を設けずに補償をする」と述べ、大井川の水量への長期的な影響に対する地元の懸念を払拭したいという考えを示したということです。
その上で、リニアが開業すれば東海道新幹線では「のぞみ」の必要性が薄まり、静岡県内に停車する「ひかり」や「こだま」を増やせる見通しであることを説明したということです。
会合の後、宇野副社長は「人が住む下流域の水量に影響は出ないと考えているが、万一の際の対応を示してほしいという要望を受けて補償の考え方を説明した」と述べました。
一方、県議会自民党の野崎正蔵政調会長は「水が減った場合にどうするかを表明してもらったのはよかった」と述べました。
(費用負担の請求期限)
第11条 費用の負担は、用水使用者から当該公共事業に係る工事の完了の日から1年を経過する日までに請求があった場合に限り、行うことができるものとする
◇ 自由民主党静岡県支部連合会
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2019-10-04 『リニア中央新幹線工事に関する地元自治体の意見聴き取り(第1日目)』実施 川根本町市〜掛川市〜袋井市、訪問/リニア中央新幹線の建設プロジェクトでは、南アルプス地中深くを通過するにあたって、トンネル工事が行われます。/アルプストンネル本線は総延長25.0km、その内静岡工区は延長8.9kmとなっていますが、この8.9kmはただの8.9qにあらず。/この工事が及ぼす影響に対しては、細心の注意と大いに敏感であらねば。
2019-10-11 『リニア中央新幹線工事に関する地元自治体の意見聴き取り(第2日目)』実施 島田市〜藤枝市〜牧之原市、訪問/一言で大井川水系と言っても、表流水、伏流水、地下水等々、大自然の水循環には様々多様な因果関係があるわけで…。/今、JRと静岡県の話し合いは始まったばかりですが、冷静に県民が納得できる解を求めて。
2019-10-21 『リニア中央新幹線工事に関する地元自治体の意見聴き取り(第3日目)』実施 菊川市〜御前崎市、訪問
2019-10-23 『リニア中央新幹線工事に関する地元自治体の意見聴き取り(第4日目)』実施 焼津市〜吉田町、訪問
JR東海は(2020年2月)7日、リニア中央新幹線の南アルプストンネル工事による大井川の水資源への影響を巡り、「影響が生じた場合、期限を設けずに補償する」と明言した。静岡県議会最大会派の自民改革会議が主催する勉強会での説明資料に記した。JR東海が補償について文書で無期限をうたったのは初めて。
【中略】
説明資料では「トンネル工事が原因で水資源の利用に影響が生じた場合は、工事完了から何年内というような期限を設けずに補償します」と明記する。補償内容のほか、因果関係をどう証明するか、水資源に実害が出た場合をどう定義するかなどは今後の協議で詰めるとみられる。
リニア中央新幹線工事に伴う大井川流量減少問題を巡り、JR東海の宇野護副社長は7日、中下流域の水資源に影響が出た場合、補償の申請時期に期限を設けない方針を示した。静岡県議会最大会派の自民改革会議が県庁で開いた勉強会に出席し、明らかにした。
勉強会は非公開。宇野副社長は終了後、記者団に「事象が生じるのはいつになるのかも分かりにくい。従来の基準だと1年だが、期限を設けない」と説明した。国交省は公共事業の基準で、工事完了後1年を補償申請の期限に定めている。【中略】
補償を受けられる期間は公共事業の基準に沿って30年間に限定するとしていたが、宇野副社長は「今後の話だ」と述べた。ただ、因果関係が認められた場合に限って補償する方針は維持し「泣き寝入り」が解消されるかは不透明だ。
自民の野崎正蔵政調会長は取材に「科学的にどうのより、流域の不安を解消できないかと勉強会を開いた」と狙いを語り、JRの説明について「細かな内容は詰めないといけないが、大きな方針としては評価できる」とした。
同会派リニア問題プロジェクトチームの佐野愛子座長は「JRの説明に矛盾が多いことがよく分かった」と述べた。今後、JRや国交省から意見を聞く考えがあるかについては「今のところ考えていない」とした。
◆県会自民に見解 【前略】
意見交換は、自民側から「不測の事態が起きた場合に限った話をしてほしい」との要望を受け、実現。自民の野崎正蔵政調会長は「住民の不安解消はわれわれの使命でもあり、今後は国土交通省に出向いて意見を聞きたい」と語った。
JR東海は(2020年2月)7日、県議会最大会派の自民改革会議が開いたリニア中央新幹線の静岡工区に関する勉強会で、トンネル工事が原因で大井川中下流域の水資源の利用に影響が発生した場合、「補償の申請期限は設けない」と表明した。従来は「費用請求は工事の完了から1年を経過する日までとした国土交通省の基準などに基づき対応する」との立場だった。具体的な補償にも初めて言及し、利水者側に譲歩した。【古川幸奈】
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リニア建設の説明に、7日JR東海の副社長が訪れたのは静岡県議会・自民党の県議たち。知事と対立する自民に、補償に関する重要な提案が示されました。【中略】
待っていたのは県議会の最大会派自民改革会議の県議たちです。 こう着状態が続く大井川の水問題を巡る県とJRの議論ですが、知事と対立関係にある自民党は、これまでも独自で流域市町からの聞き取りや現地視察を行ってきました。
そして7日、県の交渉が適切かも含め、宇野副社長から水問題への取り組みや対策について聞き取りました。
自民党県連・野崎正蔵政調会長 「『水資源の影響が生じた場合は、工事完了から何年という期限を設けずに補償します』。減った場合にどうするか方向性をだしてもらったのはよかった」
とJRの姿勢を評価。工事終了後、いつ影響が出ても補償することを明らかにしました。
一方、県庁まで足を運んだ宇野副社長ですが、川勝知事は出張のため不在で会わずじまい。
重要な提案を最初に伝えたのは知事ではなく自民でした。
リニア中央新幹線静岡工区の未着工を巡り、県議会最大会派の自民改革会議は(2020年1月)31日、JR東海幹部を招いた独自の勉強会を(2020年)2月7日に開催することを明らかにした。一方、超党派での調査を求めていた第2会派のふじのくに県民クラブは、自民のこうした動きに反発している。
一方で、ふじのくに県民クラブはリニアは県全体の問題として、超党派による調査を閉会中に進めることを求めていた。自民はこれに応じずに、JR東海との独自の勉強会も発表した。県民クラブの阿部卓也会長は(2020年1月)31日、「はなはだ遺憾。県の今と未来、日本の誇る南アルプスの環境を守るための大きな問題で重要事項だ。あらゆる角度から議員間で議論する必要がある」と不快感を示した。