2019年06月12日

リニアルート変更を、静岡県知事定例記者会見_2019年6月11日

リニアルート変更を 静岡県知事「無礼千万」とJR東海を突き放す(2019/6/12 07:24 静岡新聞)【記事タイトルは修正して引用です】

静岡県知事定例記者会見_2019年6月11日 公式サイト/注目 26分〜, 40分〜
【静岡新聞から引用】
 リニア中央新幹線静岡工区の着工遅れを巡り、川勝平太知事は(2019年6月)11日の定例記者会見で、リニア沿線の他都府県で作る建設促進期成同盟会に静岡県の加盟が認められない場合について「道(ルート)を外してほしい。急がば回れという言葉がある」と述べ、県内の南アルプスを横切るルートの変更をJR東海に求める考えを示した。
 同社の金子慎社長が静岡工区の未着工を理由に2027年のリニア開業時期が遅れる可能性を示唆したことには「(リニア)事業計画の年次を金科玉条のごとく相手に押しつけるのは無礼千万だ」と強く反発。「私は県民の安全、南アルプスの生態系保護という観点でのタイムスパン(期間)で考えている。事業計画に何ら影響されるところはない」と突き放した。リニア開業の移動時間短縮効果と南アルプスの自然環境を比較し「県民は明らかに南アルプスを選ぶ」と強調した。
 同盟会は6日の総会で入会を保留。川勝知事は会見で加盟申請の理由を、沿線自治体に本県の立場を理解してもらうためだと説明し「議論が平行線になってはいけない。事実を知ってもらう必要がある」とした。政府には「どうなるのが最善の解決策か公平無私の観点で考えられる立場」と調整役を期待した。
 また、南アルプストンネル準備工事の現場を13日に視察する際、水資源や生態系への影響と、建設される施設が将来的に観光に役立つかを重視して追加の準備工事を認めるか判断する姿勢を示した。

静岡県知事記者会見ホームページ にもテキストで掲載されるはずです。
 私は常時確認していますが、静岡新聞記事を知り、今回初めて「ライブ配信」から YouTube 動画を開きました。記事を読んで、これは知事発表内容ではなく、記者質問に答えた知事の発言だろうと思い、それを確認するためでした。
 川勝平太知事のご発言が今後どのように展開していくかは全くわかりませんが、リニア中央新幹線事業における静岡県の状況をきちんと理解しておくことの重要さを、沿線各地の方々に理解していただきたいと私は思っています。

記者会見 > 2019年6月11日(火) 記者質問
【リニア中央新幹線】
(幹事社)
 そのほか、何か発表項目についてございますか。
 それでは幹事社質問の方に移らせていただきます。リニア中央新幹線についての質問です。知事が13日に南アルプスの工事現場を視察されると発表がありましたが、どのような点に注目して視察するお考えでしょうか。工事の内容によっては、今後のJR東海側への対応や要求が変わる可能性がありますでしょうか。同じくリニアについて、JR東海の金子社長が、静岡県との協議が全体の工事の遅れにつながる可能性があるという言及がありました。この発言を知事はどう受け止めでしょうか。
(知事)
 これオール静岡で取り組んでいるんですけれども、まず最初の質問ですけれども、私が建設予定地を視察というか、入りましたのは平成23年の5月です。平成23年の3月か4月にルートが発表されまして、まだ南アルプスの中腹ぐらいまで雪ですからね、ですから入れないと言われたんですけど、5月の連休にあえて当時の交通基盤部長と一緒に入りまして、ルートを確かめたんです。それが最初です。かなり奥深い所を通ると、目分量でも3千メートルの山々がありますから、私は二軒小屋に泊まったんですけれども、泊りがけで行ったんですね。二軒小屋だけでも1500メートルの高さですからね、そこからさらに上がって、伝付峠という所へ上がって全体を見ると。すると相当土被りがあるということが分かりました。その日はそれで終わりまして、秋にもう一度行きました。今度は土被り、要するにトンネル掘るとものすごいたくさん土砂が出ます。これを本県としてどこに捨てられるかと、捨てると言うとおかしいですけれども、危険のない形で処理できるかということで、それを探しにいったんですよ。それはJR東海に、こういう形で本県は協力できますよ。そのとき以来行っていません。
 そのときはご案内のように、ともかく日本の誇る技術をなるべく早く多くの人が均霑(きんてん)できるようにした方がいいとぐらいにしか思っていなくて、水の問題について認識はゼロだったと言っていいですね。それが、いわゆる大井川のかんがい、これが20年近くかけて農水省が、国の総力を挙げて600億円、700億円かけてようやく大井川の左岸のざる田、右岸の高台、ここに依拠している方たちがたくさんいて、その方たちが、早川のダムができたとき以来、水の問題ですごく苦しんでこられたということを知って、あらためて大井川と、それから本県の生活、産業、命に関わる問題に気が付き、さらに南アルプスがエコパークになりました。平成23年に見に行って、平成26年に南アルプスが世界の人類の共有財産になったんですね。そしてレッドデータブックなども編んでいただきまして、それ非常に重要なところだということで、これでこういう事態がこの6,7年の間に起こったわけです。
 今、工事現場に関係者が入っておられますので、その後どうなっているかということを見に行くというのがまずありますね。それから専門家の方が、委員会、静岡県二つ持っておりますけれども、都合のつく方にも一緒に来ていただきたいというふうに思っております。一つには現場を見まして、安全に工事がなされているかどうかということですね。もう一つは自然生態系に対する破壊が進んでいないかどうか、これを専門家の方たちにも、私も自分の目で確かめたいということです。三つ目は、仮に普通に工事が行われ、それが終わりますと、工事現場に通ずる道などというのは、これは観光の道になりますね。今建てられているであろう作業所であるとか、さまざまな建築物はやがて休憩所とか宿舎だとか、場合によってはホテルのようなものに変わる可能性があります。これ全部観光に、後に役に立つように造られているというふうに思っております。私は実は一番最後の方に関心を持っておりまして、今エメラルドネックレスといいますか、緑のネックレスですね、これを本県2市町、それから長野の4市町村、それから山梨県の4市町で、全体南アルプスをわれわれ、そこに預かっているもので守っていこうと。インフラもきっちり整備しつつ、かつここに来られる方ですね、山登りに来られたり、自然を愛でに来られたりする方たちが安全に安心して行けるような、そういう地域づくりをしていこうということでやっておりますので、こうしたものにどういう形でこれが生かせるものになるかというのを確かめにいくと。現状を見るということ、破壊がされていないかどうか、それから観光に役に立つようなインフラ整備があるかどうか、このあたりのところを見たいというのが私の目的であります。一方、二つ目ですね。これポイントはリニア中央新幹線トンネル工事、かっこ付きですけれども、に伴う水資源、自然環境への悪影響は回避するというのが基本姿勢であります。
 二つ目のご質問ですけれども、金子社長の発言ですね。まあ、事業には事業計画を立てるはずですね、どこの会社でもそうだと思いますけれども。事業計画、通常数年だと思いますけれども、長くても10年ぐらいのものではないでしょうか。このリニア新幹線などは、やはりそうした計画の下に進められているということですね。一方、こういう巨大なインフラ整備というのは、国家百年の大計という言葉もあります。一方ですね、タイムスパンはいろいろあります。例えば杉なんかについて、年数を上に被せた言い方があるでしょう。千年杉とか、あるいは縄文杉だとか、屋久島の縄文杉などは6千年、8千年のオーダーなんですね。それを支えている山、「山高きがゆえに貴からず」ということがあります。すなわち、緑で生命を育んでいるから山が貴いんだというのがありますけれども、そういう所に生えているのは、千年杉とか言われたりします。実際、私は川根本町の「千年の学校」の学長をやっていたこともあります。実際のいわゆる学校ではありませんけれども、そういう森を大事にしようという試みの運動のトップに立っていたこともあります。
 だからタイムスパンが違うんですね。事業計画のタイムスパンと南アルプスを考えるときのタイムスパンは全く違うので、その事業計画におけるタイムスパンについて言われたと。私は、静岡県の県民の安全ならびに南アルプスの生態系また自然の保護という観点でのタイムスパンで考えておりますので、事業計画のタイムスパンに何ら影響されるところはないということであります。それから、JR東海さんは今、工事をなさっていらっしゃるので、ユネスコエコパークに登録されている南アルプスの自然環境へ悪影響を及ぼしていないかどうか、南アルプスを源流とし、生活用水、農業用水、工業用水など多岐にわたり利用され、流域の住民の生活や産業発展に不可欠な財産である大井川の水資源に悪い影響を生じさせていないか。こういう懸念が今あって、この間、中間報告書をまとめましたけれども、JR東海自身はわれわれが望みもしない、いきなり土足で入ってこられたわけですから、こうした不安を払拭する義務があります。それが先決であると存じます。JR東海は日本を代表する鉄道事業者です。世界のモデルとなる事業を行う施工者、技術集団を擁されているということで、その矜持を持った真摯な対応を求めたいと思っております。
幹事社質問(記者質問):リニア中央新幹線
(記者)
 ありがとうございました。ただいまの幹事社の質問に関連して質問がある社はお願いします。
(記者)
 リニアに関連して2点お伺いします。1点目が、先日知事が中部圏知事会議に出席された際に、国への提言案の中で「事業計画に基づいて」というところを修正するべきであるという意見をおっしゃいました。翌日、リニアの期成同盟会の方でも同じ趣旨の決議案が出されていて、知事としては期成同盟会の加盟を申請しているわけですけれども、もし加盟がなった際には、リニア期成同盟会の決議についても同意ができるのか、それとも修正を求めていくのか、知事としての対応を1点目お伺いします。2点目として、この間、中間意見書をJRの方に提出しまして、その中でこれまでのJRの対応が誠意のないものだという厳しい批判をされています。JRとしては、これまで誠実に対応してきたということで、そもそもの対応の姿勢のところで見解の違いがあるようなんですけれども、そうすると他県の人にとっては、県とJRがどこでもめているのかというところが非常に分かりにくい状況になっていると思うんですけれども、専門部会、これまで何回か開かれてきて議論、かなり深めていると思うんですが、その議事録を、希少生物は難しいかもしれないですけれども、公開して沿線他県への理解を求めるということも必要なのかと思うんですが、そこについての対応、お考えを伺います。
(知事)
 はい。まず第一の質問ですけれども、工事の事業計画に従ってということは、相手が自然ですのでね、なるべく早くで十分だというふうな私は考えを持っております。リニア新幹線の建設は安全を確保しながら、なるべく早く進めてくださいということで十分だろうと。JR東海の事業計画にこびを売る必要は全くないというふうに思っております。なるべく早くということと、工事計画、事業どおりにということで無理があって、事故を起こすようなことがあっても工期守らなくてはならないということであれば、これは具合が悪い。それは中部横断自動車道造るときに、一応今頃全部開通しているはずだったんですね。ところが軟弱土質にぶつかった、あるいはヒ素が出た、あるいは水が湧き出してきた、あるいは壁にひびが入ったと、これで結果的に1,2年遅れたわけではありませんか。私は工事現場に行きました。南アルプスと比べれば小さな山ですよ、わずか100メートルほどの土被りのところで右往左往されている姿を見たわけですね。それ工期どおりにやれと言ったらどんなことになりますか。事故が起こります。つまり軟弱土質の所を十分に梁(はり)を入れないで、あるいは壁の厚さも倍にしないでやろうと思ったらできたかもしれませんけれども、そんなことするとえらい安全に影響するということでありますので、工事計画というのはあくまで計画であって、なるべく早くするということで十分だということです。工事の実態を知っているものであれば、そういうことがよく分かるということであります。
 二つ目の件はもっともですね。やはり今までやってきた利水者との会議がありますけれども、これも今まで非公開でやっていたんですか。これを公開にすればいいでしょう、まず。これからは公開にすればよろしいと、特段これを非公開にするべき理由はないというふうに思っております。そんなことで、皆さんもそれをお聞きになって、そしてこれまで何回かやりとりがありました、そうしたものは、一部公開されているものもありますけれども、全部公開してもいいと。どこにも秘密にするべきものはないというふうに思っておりますので、ぜひ取材をしていただいて、同時に私どもも事実を知らせるために、関係各位にそれを広く知っていただく資料として情報提供することに、やぶさかではないということであります。
 それから期成同盟会との関わりにつきましては、何しろ期成同盟会に入っている方を見てくださいませ。東京、神奈川、山梨、長野、岐阜、愛知、それから三重、奈良、大阪です。なぜ京都とか和歌山が入っていないんでしょうか。造られる予定がないからですね。大阪や奈良や三重が入っていますが、まだルートは決まっていません。しかし、確実にそこがルートになるというふうに見込まれ、かつそのようにJR東海さんも大まかながら公表されているので、期成同盟会に入っているわけです。
 私どものところはなぜ入っていないか、言ってみれば、福井県がリニア新幹線の期成同盟会に入っていないのと一緒です。もともとルート上になかったからですね。ルート上に入って、期成同盟会に何を求めてきたんでしょうか。もともとのリニア新幹線の目的は大都市を超高速で結ぶと、短時間で結ぶということに目的がありました。
 従って途中駅、これは造らないという方針だったんですね。ところが期成同盟会の圧力に屈して、都府県、1県について1駅という、そういう原則を出されましたね。今度は「では誰が造るのか」ということになった。これについても、やはり圧力団体とJR東海さんとでやりとりがあって、高いお金は貧乏県ではなかなか出せないので、なるべく多くJR東海さん出してくださいということで皆圧力をかけて、結果的にどうなったでしょうか。JR東海さんが全額負担することになったわけですね、それが期成同盟会の趣旨です。
 ですから、期成同盟会が求めているのは、地域に資する施策をきちっとJR東海は責任を持ってやってくださいと。それをしっかり約束してくださいということだったと思います。われわれのところに、地域に資する何か約束がありますか。皆無です。ですから、そういう意味で期成同盟会の方たちには、うちはもともと造るというルートじゃないなとするのであれば、そのようにするべきだと思いますし、今やルートが決まっていますから、当然それは入るべきだと。
 ですから、どのぐらいの県への貢献というのができるかということが当然論点になりますね。そのことが、今回の中間報告にもうたわれています。何と言っても水の問題ですから、水の量、水の質、それから全体の土砂の管理ですかね、それから監視。最後にこの代償、というのが入っているでしょう。代償措置と、もしも損害を与えた場合に、その代償措置というものをだいたいどれぐらいに当たると思われますかね。例えば、生態系がやられるから数百万積むとかそういう話ではないでしょう。ですから、東京、神奈川、山梨、岐阜、長野、愛知それらの所にはすでに工事が入っていますので、そこで地元に対して、要求に応じた形で駅を造るお金を支払われていると思いますけれども、その全体の平均ぐらいは、額としては目安になるんじゃないかと思いますね。
 もし、期成同盟会に入れないということであれば、それでは道を外してくださいと。ですから、1問目とも関わりますけれども、急ぐということであれば、昔から急がば回れという言葉がありますから、そういうふうになさったらどうですかということも私どもの立場であります。取りあえず南アルプスかリニアかということであります。人類の共有財産を大事にするのか、それとも東京と大阪まで名古屋を通じて結ぶということを最優先にするのか、どちらを選ぶかと。それは静岡県民は明らかに南アルプスを選ぶと、なぜか。それが命の源である水の供給源だからですね。しかも今はかつかつでやっているということだからであります。
幹事社質問(記者質問):リニア中央新幹線
(記者)
 すみません、今のお答えに関連するんですけれども、このタイミングで知事が期成同盟会への入会をしようと思った狙いというのは、つまり水の問題というのを他の沿線の県に理解してもらうということころが、まず趣旨として大きいということでいいですか。
(知事)
 そのとおりです。やはり何より議論が平行線になってはいけません。だから事実を知ってもらう必要がありますね。ですから、実態把握を通じた上でないと行動が起こせません。なぜこういうことをしているのか、まず建設のために皆これまで数十年間苦労してこられました。何もJR東海だけではありません。各都府県もすごい協力してきたわけですね。ですから、そうした形の結果がルートになっているわけです。ルートにこう入っているではありませんかと、どう考えているんですか、この実態どういうふうになっているかご理解くださいということで、中間報告ぐらいはすぐにでも配れると思いますけれども、先ほど別の方からご質問ありましたように、どういうことが議論されてるのか。これお知りになりたい方は、資料が膨大なので、インターネットでもあるいは他の手段でも、全て公開してもいいと。何もこれを、誰にも非公開にして交渉の材料にするというつもりは全くありません。
(記者)
 すみません、期成同盟会の会長である愛知県の大村知事が、昨日の記者会見、先週知事も知事会議の中でお話をされたと思うんですけれども、JRと同じように開業時期の懸念を示された上で、国が静岡工区の調整をするべきだといったような発言をされていますが、この国が介入してくるということについて、知事のご見解っていかがですか。
(知事)
 これ国の事業じゃないですよね。何と言ってもJR東海さんの事業計画で国が認可されているということではないかと思います。何しろ国土に大きな変更を迫るものですから、国も関与するということで。私どもも例えば沼津に関して、国と鉄道局と相談しにいったこともございますから。ですから、国の大きなプロジェクトの一つと、いわゆるスーパーメガリージョン構想というのが国交省にもうたわれておりまして、そうしたことで一番利益を得るのは、差し当たっては愛知県です。ですから、愛知県が県を挙げて、その代表として大村知事さんが、ぜひ早くリニアの開業をしてほしいというふうに今回、会長として言われているのは十分すぎるほど分かっております。そして、そこに国が、今まで期成同盟会の陳情も受けられているわけでしょう、それから前回の期成同盟会の総会では、JR東海のトップも来られて来賓として祝辞も述べられているというふうに承知しておりますけれども、そういうところになぜ私どもがいないんでしょうか。私どものところも通るわけですね。私どものところの工事について議論されているわけです。私どもに対して、何の期成同盟会からのアプローチもなかったということもございまして、これは一緒に国の発展のために何ができるかということを考えたいということで、しっかり受け止めていただいたということはありがたく思っております。
(記者)
 そういう意味でいうと、国が間に入ってJRとの問題を解決してくれる一役を担ってくれることを期待している。
(知事)
 そうですね、国はやはり南海トラフで本県に対して、防災の最先進県モデルとして中央防災会議の、内閣府の行われていたワーキンググループでも静岡県にはいろいろな問題が、危機が有り得るということで、ご関心が高いと思いますよ。それからまた、内陸部については、いわゆる内陸のフロンティアを拓くという試みについて、申請すればすぐに特区を認めてくださったですね。さらにまた、その取り組みが県を挙げてやっておりますので、3回ぐらいゴールドメダルに輝いているわけです。内陸のフロンティアを拓くというやつがね。そのさらに内陸でしょう。そこの問題、これは内陸は通常土砂崩れだとか水の洪水という、どちらかという水の過剰で人々が苦しむという形だと思いますが、今度は水が足りなくなると。水が干上がるということの可能性が極めて高いということでございますから、そういう方面も水問題として同じように公平無私の形で、愛知県の知事さんが愛知県の立場から言われるのはもっともなことです。これは大村さんというのはまじめな立派な方で、農水省で鳴らした方ですからね。こういう水の問題については理解のある方だと思っています。お立場上は、愛知県としてはなるべく早くと言わざるを得ないと、私の立場としてはこれは南アルプスを大事にしたい。そこのところは、国、国民としてどうなるのが一番最善の解決策かというのを、公平無私の観点で考えることができるのは国の立場であろうというふうに思いますね。そのあたりのところを、大村さんは期待をされて発言されたのだと思います。
(記者)
 それに関連してなんですけれども、先ほどもあったように期成同盟会に加盟を申し入れるということ、現在認めるかどうかというのは保留になっているということですけれども、それについての受け止めと、先日、石井国交大臣もJR側と静岡県と鋭意協議を進めていただきたいという発言もありました。先ほどの話の中で、愛知の大村知事も2027年度の開業は遅れるということは到底受け入れることができないというような発言で、あたかも静岡県がリニアの開業を遅らせていると指摘されているような形にもなっているのかなという感じもするんですが、そのあたりについてはどんなふうにお考えでしょうか。
(知事)
 まず、最初の期成同盟会に入るべき理由というのは先ほど申し上げたとおりで、ルート上のところが期成同盟会の構成員になっているわけですね。まだ建設すらされていない、ルートすら決まっていないところも入っているわけです。なぜでしょうか。例えば三重県でどこに駅が造られますか、ご存知ですか。奈良県でどこに駅が造られるか、それは奈良県さんも三重県さんも、ここに欲しいという所があるわけです。だからそれを挙げながら、ここにルートを設定して欲しいということを言われるために、ですからルート上というのは、期成同盟会に入る人たちにとってはそれが地域に利益があるという観点なんですね。私どもは実際上ここに入ってますから、工事まで一部取り掛かられているわけですからね、入っていないのは本当におかしいと。ですから、恐らく期成同盟会の構成員の方々もそのあたりの筋論は分かってらっしゃると思いますね。ただ、今日言って明日という感じだったわけですから、保留になったというのは、そのこと自体については何とも思っていませんが、入るべき筋のものだと。いったん入れば、各都府県が、何と言いますか均霑(きんてん)されている、その数字の上ではその額ですね、その額ぐらいの分はちゃんと代償として積まないといけないということがまずありますね。駅は造れないんですから、最低限ね。それが私の受け止めです。
(記者)
 あとこうした、今言いましたけど、静岡県がリニアの開設を遅らせているんじゃないかという形になっているというか、そういう指摘にも聞こえるような発言が相次いでいることについてはいかがでしょうか。
(知事)
 これはフェアじゃないですね。仮に2027に開業するといわれて、さまざまな事情でJR東海さんが、今回の水問題がなくてですよ、やっていて早まることはなかなかないにしても1、2年遅れると言われたら、それでどう言います、駄目だと言わないでしょう。例えば中部横断自動車道、重金属が出た、水漏れがあった、軟弱土質にぶつかった、その他もろもろ言われて、私は中日本株式会社の担当部門と国の直轄部門のところに視察に行きました。事情が分かればこれはやむを得ませんねと、じゃあ県民の皆さんにも我慢していただいて、開業を少し遅らせるということではありませんか。ですから、自分とこの会社の立てた事業計画の年次に対して、それを何か金科玉条のごとく立てて相手に押し付けると、無礼千万というふうに思うくらいです。
幹事社質問(記者質問):【リニア中央新幹線】
(記者)
 関連の質問なのですが、昨日の会見で、大村知事は川勝知事に対して「意見を言ってもできることとできないことがある」と、JRとよく話してほしいという趣旨の、苦言とも取れるような発言もしています。この発言については、知事はどのように受け止めていらっしゃいますでしょうか。
(知事)
 意見を言わないと事実が分からないですね。私の背景には、南アルプスがもし痛められて、それが流量や水質や生態系、生活、さまざまに影響があればどうなるかという観点から申し上げると。これは意見です。その背景には意見を言うべき事情があります。ですから、これを言わないと駄目なんですね。私はそれを言ったということでありまして、大村さんのお立場が先ほど申しましたように、これはもう1970年代からですね、このリニアということについて、愛知県の再活性化のために、中部国際空港のもう1本の滑走路とともに非常に重要なインフラなわけですよ。私はもし愛知県の知事であれば、同じように言うと思います。ただですね、静岡県がこういう状態になっているということも彼は三河のご出身ですから、要するに隣のご出身なんですね。だから東三河に副知事さんも設けてらっしゃるでしょう。東三河と遠州とは一体でやっていくという、まあそういう考え方をいわば政策で表された方ですから、そういう立場に立てば、私のような意見が出てくるのはしょうがないなと思っていらっしゃると思いますよ。私も彼がそういう意見を言われるのはしょうがないなというふうに思いますね。
 そうしたところで、それ以外にまだ全然造られていない奈良県だとか、今事業が途中の所もありますから、そこの所の方たちが、私どもの置かれている、静岡県の置かれている立場についてどうお考えなのか、まもなく結論を言われると思いますけども、まあそれはそれぞれの地域の代表のご意見として、全部が全部大村知事と同意見だとは思いません。
posted by ict工夫 at 10:42| 静岡県