水資源をめぐる静岡県との対立でリニアの開業の遅れが避けられない状況となる中、JR東海の金子社長は東京ー甲府間など先行開業を改めて否定しました。
リニア中央新幹線をめぐっては静岡県が大井川の流量減少を懸念しトンネル工事の着工を認めずJR東海は2027年の東京ー名古屋間の開通は難しい状況としています。
8月27日の会見でJR東海の金子慎社長は東京ー甲府間などの先行開業についてリニアは東海道新幹線のバイパスを作ることが目的で一部の先行開業では達成できないとして改めて否定しました。
また、先行開業には新たな設備が必要だが全線開業後は、不要となるとして「現実的ではない」としました。
2020年8月27日のJR東海社長記者会見は、ニュースリリース に 『2020.08.27 【社長会見】2020年度 地震防災訓練の実施について』 は記載されています。しかし上記の発言がされた事は公式サイトからは不明です。
同様な事はこれまでに何度もありました。マスメディアが記者会見での発表として報じても、JR東海のニュースリリースとしては記載されていない場合が多いのです。それも民間企業の一つのあり方だとして私はマスメディアの情報を記録しておくだけですませています。
今回の社長発言はおそらくUTYテレビ山梨の記者さんからの質問に答えたものだろうと私は推察しています。そういう場合には他のメディアの記事にはならないものですから。
2020年07月09日 リニア中央新幹線の早期開通を求める山梨県議会意見書 として記事を7月に掲載しました。チマタでは品川〜山梨を先行開業の要望なども出ているらしいですが、私は状況から見て相模原〜山梨を開通させるだけで事業は一旦中断が良いとも思っています。元々は実験線試乗施設である山梨県都留市の駅施設と甲府駅だけを結ぶ観光路線にすれば良いと思って来たのです。
ですから山梨県早川町と長野県大鹿村のアルプストンネルから工事をスタートしたのには驚いたことを思い出します。そのトンネルの中核である静岡工区が着工に至らない現況こそが、国(国土交通省)とJR東海の二人三脚が犯したミステークを如実に示しているでしょう。戯れ言はここまでにして筆をおきます。
リニア中央新幹線の南アルプストンネル(静岡市葵区)工事を巡り、東京都内で二十七日にあったJR東海・金子慎社長の定例会見で、報道陣との主なやりとりは次の通り。
●国土交通省の有識者会議で、新たなデータや資料を提出するように求められている。議論の長期化も予想される
議論すべき内容がたくさんある。こんな資料はないか、こういった考え方は示せないかという指示や意見に、でき得る限り対応していきたい。議論はある程度時間がかかるので、必要な時間と考えている。
●県はJRの水収支解析に懐疑的。新たな手法で解析する考えはあるか
私たちの解析の方法や説明の内容は、有識者会議の中で議論している。どこまで読み取れて、何が読み取りにくいのかも含めて、専門家の方々が議論している。その中で解決してもらいたいと思っている。
●有識者会議で、水収支解析を変えた方がいいとなれば、変える可能性があるということか
私たちの解析が間違っているということではなくて、解析には目的や性格がある。何を読み取って、何が読み取れないのか。いずれにしても有識者会議の中で、方向性を議論していただきたい。
●前回の会見で、国交省・有識者会議で何らかの結論が出れば、県が「一から議論することはないだろう」と述べた。今も同じ考えか
有識者会議には県の専門部会(県・有識者会議)から二人の委員が参加している。有識者会議の意見をとりまとめるプロセスを通じて、専門部会と有識者会議の差が詰まっていくと期待している。
●生態系への影響をどう認識しているか
これも有識者会議で議論することによって、地元の心配は解消されていくと思っている。
●環境省への工事の許可を求める申請など、法的な手続きが進んでいない
質問した内容を正確にお答えできないが、必要なことはやっていく。
●部分開業やルートの見直しはあり得るか
リニアは東海道新幹線のバイパス的な意味があり、大きな経済効果も期待される。一部の開業だけでは目的が達せられない。大変長い時間の積み重ねの中で決まったルートを変えるのは簡単ではなく、とてもできない。考えていない。
●川勝平太知事はこれまでJRがデータを出し渋ったと指摘している
データを出し渋ったことはないが、どのデータを使って議論するか、議論がかみ合わなかったことはあるかもしれない。