◇ 2020.10.29 河川流量維持議論本格化へ 国交省・有識者会議(2020年10月29日 05時00 中日新聞)
リニア中央新幹線の南アルプストンネル(静岡市葵区)工事を巡り、(2020年10月)27日に開かれた国土交通省の有識者会議第6回会合では、大井川上流でのトンネル掘削が中下流域の地下水量に与える影響について、「極めて小さい」という方向性が確認された。ただ、河川流量の維持が前提で、次回以降の焦点となる。 (大杉はるか、牧野新)
JR東海は上流域と、中下流域の地下水などの成分分析結果を公表。大きな差が出たことなどを根拠に、「中下流域の地下水の主な源は大井川の表流水と付近の降雨と考えられ、河川流量を減少させなければ影響は極めて小さい」とした。
会議はJRの見解に一定の理解を示し、影響が小さいことが「科学的・工学的な見地から確認された」との座長(福岡捷二中央大研究開発機構教授)コメントを発表。ただ、委員からは、川の表流水と地下水との関係を含め、上流と中下流のつながりを指摘する声も多く出された。一部報道が伝えた大井川直下の湧水に関するJR東海の調査資料も提出された。
今後は、河川流量が維持されるのかの議論が本格化する。JRは県境付近のトンネル掘削で一定期間、山梨県側に湧水が流出することを認めており、流出量の新たな推定値が次回会議で示される予定だ。県は流出を認めない方針で、県担当職員は「これからが正念場」と話す。
リニア中央新幹線の南アルプストンネル(静岡市葵区)工事を巡り、(2020年10月)27日に開かれた国土交通省の有識者会議第6回会合では、大井川上流でのトンネル掘削が中下流域の地下水量に与える影響について、「極めて小さい」という方向性が確認された。ただ、河川流量の維持が前提で、次回以降の焦点となる。 (大杉はるか、牧野新)
JR東海は上流域と、中下流域の地下水などの成分分析結果を公表。大きな差が出たことなどを根拠に、「中下流域の地下水の主な源は大井川の表流水と付近の降雨と考えられ、河川流量を減少させなければ影響は極めて小さい」とした。
会議はJRの見解に一定の理解を示し、影響が小さいことが「科学的・工学的な見地から確認された」との座長(福岡捷二中央大研究開発機構教授)コメントを発表。ただ、委員からは、川の表流水と地下水との関係を含め、上流と中下流のつながりを指摘する声も多く出された。一部報道が伝えた大井川直下の湧水に関するJR東海の調査資料も提出された。
今後は、河川流量が維持されるのかの議論が本格化する。JRは県境付近のトンネル掘削で一定期間、山梨県側に湧水が流出することを認めており、流出量の新たな推定値が次回会議で示される予定だ。県は流出を認めない方針で、県担当職員は「これからが正念場」と話す。
以下、有識者会議での各委員の意見内容が紹介されていますが引用は略します。
国土交通省は 交通政策審議会 > 陸上交通分科会 > 鉄道部会 > 中央新幹線小委員会 で長年の審議に基づき大臣が認可したリニア中央新幹線事業について再検討する立場には無いと私は思っています。事業内容について検討・審議をするなら独立組織が、例えば日本学術会議に委託して特別委員会を構成し検討するとか、国民が納得できる方法が望ましいと思います。 私はコロナ禍問題の確認を続けているので国土交通省有識者会議の審議状況も曖昧なのですが、国土交通省が乗り出して来た時から彼等の審議で問題解決はあり得ないと考えています。まるで太平洋戦争の戦犯を日本軍の軍法会議で裁くようなものでしょう。
国土交通省は 交通政策審議会 > 陸上交通分科会 > 鉄道部会 > 中央新幹線小委員会 で長年の審議に基づき大臣が認可したリニア中央新幹線事業について再検討する立場には無いと私は思っています。事業内容について検討・審議をするなら独立組織が、例えば日本学術会議に委託して特別委員会を構成し検討するとか、国民が納得できる方法が望ましいと思います。 私はコロナ禍問題の確認を続けているので国土交通省有識者会議の審議状況も曖昧なのですが、国土交通省が乗り出して来た時から彼等の審議で問題解決はあり得ないと考えています。まるで太平洋戦争の戦犯を日本軍の軍法会議で裁くようなものでしょう。
◆有識者会議 主な議論
◆地下水への影響
森下祐一・静岡大客員教授(地球環境科学)
JR東海が行ったトンネル掘削の影響を推定する解析方法の精度に対し、「問題があり、不確かさがかなりあるはず」と不満を漏らした。トンネル工事によって地下水位が下がる範囲が大井川上流の椹島(さわらじま)付近で収まっているとするJRの報告に対し、「言い切ることが可能なのだろうか」と問題提起した。
沖大幹・東京大教授(水文学、水資源工学)
掘削の地下水への影響についてJRと静岡市が異なる条件で調べた解析結果を踏まえ、「南に行くにつれ、(地下水量への)影響が小さくなるという結論を得ても良い」と述べた。
大東憲二・大同大教授(環境地盤工学)
静岡市とJRの解析方法の目的の違いを指摘した上で「静岡市の解析を今後、生態系の評価でうまく活用してほしい」と注文した。
徳永朋祥・東京大教授(地下水学、地圏環境学)
水が川や海、地下、雨などさまざまな状態でつながる水循環の考えに基づき、「中下流域の地下水がどこから来ているかを考えると、水循環的には上流域で地下に行き、下流では、河川水に出る場合がある」とし、上流と中下流域の地下水の連動について示した。
福岡座長(河川工学、水災害工学)
議論を取りまとめ、「今の中下流域に与えるトンネル工事の影響に対し、一つの重要な知見を提供したと思う」と指摘。中下流の利水者らに分かりやすく説明するため、JRに対し、(大井川周辺の)水循環の概念図を作成するよう指示した。
◆大井川直下の湧水懸念
丸井敦尚・産業技術総合研究所地質調査総合センタープロジェクトリーダー(地下水学)
「大量湧水の懸念がある」と記載されている資料に対し、JRは本坑トンネルと大井川の交差部(大井川直下)で実施したボーリング調査の結果を根拠に「大量湧水の可能性は少ない」と説明。丸井委員はボーリングの調査方法を尋ねた。
徳永委員
JRのボーリング調査結果を踏まえ、「亀裂が連続する所でしばしば湧水が発生する。断層だけ見ておけばいいというかたちに偏り過ぎないよう留意を」と呼び掛けた。
◆副知事 一問一答
有識者会議にアドバイザーとして出席した難波喬司副知事は会議後に会見し、中下流の地下水への影響について、県民への分かりやすい説明や、さらなる議論が必要との認識を示した。一問一答は以下の通り。
中下流域への影響は少ないと一致した。
精緻な議論がされ、分かりやすかった。科学者が精緻な議論するのは大事だが、そのままでは県民には理解されないので、概念図のようなものがあれば県民に説明できる。
国・有識者会議の議論が分からないとなれば受け入れないか。
科学的根拠に基づき精緻な論理展開がされているか。科学者がみてふに落ちるかが一つ。県・専門家会議には専門家がいるので分かるが求められているのは県民に分かってもらうこと。
今後の課題は。
全量が戻されれば影響は極めて小さいと結論が出た。懸念している、全量の戻し方、一部戻されない期間が残っている。中下流域の水影響が極めて小さいと明らかになったわけではない。
一部報道機関が伝えた非公開資料が示された。
公開が実現したので良いと思っている。十分な情報公開がされていない懸念は残る。