2021/06/20 20:07 信濃毎日新聞 静岡県知事に川勝氏4選確実 自民推薦の新人破り
任期満了に伴う静岡県知事選は20日投開票され、無所属現職川勝平太氏(72)が、前自民党参院議員の無所属新人岩井茂樹氏(53)=自民推薦=を破って4選を確実にした。川勝氏は立憲民主、共産、国民民主各党の支援を受け、与野党対決の構図だった。自民党は推薦候補が大差で敗れた3月の千葉県知事選や不戦敗も含めて全敗した4月の衆参3選挙に続く敗北となった。
川勝氏はリニア中央新幹線静岡工区を巡り、トンネル掘削による大井川の流量減少を懸念し着工を認めない姿勢を崩していない。静岡県とJR東海、国土交通省の対立がさらに長期化する可能性がある。
任期満了に伴う静岡県知事選は20日投開票され、無所属現職川勝平太氏(72)が、前自民党参院議員の無所属新人岩井茂樹氏(53)=自民推薦=を破って4選を確実にした。川勝氏は立憲民主、共産、国民民主各党の支援を受け、与野党対決の構図だった。自民党は推薦候補が大差で敗れた3月の千葉県知事選や不戦敗も含めて全敗した4月の衆参3選挙に続く敗北となった。
川勝氏はリニア中央新幹線静岡工区を巡り、トンネル掘削による大井川の流量減少を懸念し着工を認めない姿勢を崩していない。静岡県とJR東海、国土交通省の対立がさらに長期化する可能性がある。
2021年6月21日 20:15 日本経済新聞 静岡知事選、リニアなど明確な争点定まらず
20日投開票の静岡県知事選で現職の川勝平太氏が4選を決めた。自民党前参院議員の岩井茂樹氏を推薦した自民党は候補擁立に時間を要した上、リニア問題などで争点を明確にできず現職知事との主張の違いを有権者に浸透させることができなかった。
リニア中央新幹線の静岡工区未着工問題は、静岡県内で工事を始めたいJR東海と、トンネル掘削による大井川の流量減少などを理由に着工を認めない県との意見対立が続いている。
(中略)
川勝氏の続投が決まり、リニア問題は長期化の様相を強めそうだ。県とJR東海の対立を受けて国交省は昨年4月、大井川への影響や工事で流出する水の戻し方を科学的に議論する有識者会議を設けた。これまで約10回開いたが、川勝氏は公開方法や進め方を課題視するほか、「生態系に与える影響の議論も必要」などと訴え、進捗は「1合目」と位置付ける。有識者会議の結論が出ても、県が別途設けた専門家会議に諮り、流域市町の合意形成や工事の前提とする自然環境保全条例に基づく協定締結も必要だと主張している。(以下略)
20日投開票の静岡県知事選で現職の川勝平太氏が4選を決めた。自民党前参院議員の岩井茂樹氏を推薦した自民党は候補擁立に時間を要した上、リニア問題などで争点を明確にできず現職知事との主張の違いを有権者に浸透させることができなかった。
リニア中央新幹線の静岡工区未着工問題は、静岡県内で工事を始めたいJR東海と、トンネル掘削による大井川の流量減少などを理由に着工を認めない県との意見対立が続いている。
(中略)
川勝氏の続投が決まり、リニア問題は長期化の様相を強めそうだ。県とJR東海の対立を受けて国交省は昨年4月、大井川への影響や工事で流出する水の戻し方を科学的に議論する有識者会議を設けた。これまで約10回開いたが、川勝氏は公開方法や進め方を課題視するほか、「生態系に与える影響の議論も必要」などと訴え、進捗は「1合目」と位置付ける。有識者会議の結論が出ても、県が別途設けた専門家会議に諮り、流域市町の合意形成や工事の前提とする自然環境保全条例に基づく協定締結も必要だと主張している。(以下略)
自民党が推薦した岩井氏はリニアを所管する国土交通省の副大臣を務めた立場だが、リニア問題を争点にしようとする川勝氏の主張と同様、「大井川の水を守る」「ルート変更、工事中止も含め状況を踏まえ対応したい」などと訴えた。
大井川流域は約60万人の人口を抱える票田の一つ。ある自民県議は「リニアを争点にするのを避けた」と話す。川勝氏は国家プロジェクトとしてリニアを推進してきた自民党と岩井氏の主張の矛盾を訴え、街頭では「確信犯」などと批判を強めた。
ただ、川勝氏の4選はリニア問題だけでなく実際には自民党の「失策」の要素も大きい。自民県連は当初、年明けにも支援する候補を決めるため、県内出身の元官僚や浜松市の鈴木康友市長の出馬を模索した。しかし、鈴木市長を巡っては後援する浜松経済界の理解を得られないなど、いずれも実現しなかった。
岩井氏が出馬の意志を公言したのは6月3日の告示日のわずか1カ月前。党内の派閥間調整や新型コロナウイルスの感染拡大の影響で二の足も踏んだ。自民は候補を擁立できない「最悪の事態」は免れたものの、有権者に知名度や主張を浸透させるまでには至らなかった。両候補の市町別の得票数を見ると、岩井氏が川勝氏を上回ったのは35市町のうち熱海市と東伊豆町だけだった。大井川流域にかかわらず県の東部、中部、西部ともに川勝氏が優勢を保った。
川勝氏の続投が決まり、リニア問題は長期化の様相を強めそうだ。県とJR東海の対立を受けて国交省は昨年4月、大井川への影響や工事で流出する水の戻し方を科学的に議論する有識者会議を設けた。これまで約10回開いたが、川勝氏は公開方法や進め方を課題視するほか、「生態系に与える影響の議論も必要」などと訴え、進捗は「1合目」と位置付ける。有識者会議の結論が出ても、県が別途設けた専門家会議に諮り、流域市町の合意形成や工事の前提とする自然環境保全条例に基づく協定締結も必要だと主張している。
JR東海の事業環境は厳しさを増す。4月にはリニアの東京・品川―名古屋間の総工費が難工事や地震対策で想定より1.5兆円増え、7兆円になると発表した。金子慎社長は工事費の増加を受け「(当初目標とした)2027年開業が難しい状況は変わらない」と説明する。21年3月期の連結決算は新型コロナの影響で東海道新幹線の利用が減り、民営化後初の赤字となった。
川勝氏が選択肢に掲げるルート変更もJR東海は「大変難しい」(金子社長)との見方だ。関係者からは「ルートを変えれば環境影響評価などでさらに10年近くの歳月がかかる」との声も漏れる。
リニア問題の背景には、河川法に基づく県知事の許可権限がある。利水や治水に影響する工作物を設ける際は河川管理者の許可を必要としているためだ。川勝県政4期目の任期4年で静岡工区問題の「終着」をいかに見いだすのか。知事選の結果を受けたJR東海や国の動向に注目が集まる。
2021年6月21日 日本経済新聞 <東証>JR東海が4日続落 静岡知事に川勝氏4選、「リニア開業遠のく可能性」〔日経QUICKニュース(NQN)〕
JR東海が4日続落している。前週末比665円(3.9%)安の1万6510円まで下落した。静岡県知事選は20日投開票され、無所属で現職の川勝平太氏が自民党の推薦候補を破り4選を果たした。川勝氏は環境への影響を理由にリニア中央新幹線の静岡工区の着工を認めておらず、市場では「2027年の開業がさらに遠のく」(三木証券の原口裕之商品部情報グループ課長代理)との懸念がある。
(以下略します)
JR東海が4日続落している。前週末比665円(3.9%)安の1万6510円まで下落した。静岡県知事選は20日投開票され、無所属で現職の川勝平太氏が自民党の推薦候補を破り4選を果たした。川勝氏は環境への影響を理由にリニア中央新幹線の静岡工区の着工を認めておらず、市場では「2027年の開業がさらに遠のく」(三木証券の原口裕之商品部情報グループ課長代理)との懸念がある。
(以下略します)
JR東海は4月、品川駅や名古屋駅の両ターミナルでの難工事などに対応し、リニアの品川―名古屋間の総工費が1.5兆円増え7兆円にのぼる見通しを発表した。市場では「静岡工区の着工を認めない知事が再選されて工期が延び、追加的な費用が発生すれば、JR東海の業績を一段と圧迫する可能性がある」(三木証券の原口氏)との指摘もあった。
2021.6.21 自民党本部12年ぶりの推薦候補は敗戦。投票率6.49ポイントアップの静岡県知事選挙で響いた言葉、「これをやったのは誰か? 川勝平太です!」 著者・畠山理仁「アラフォーから楽しむ選挙漫遊記」 | よみタイ
この記事の最後のページ4に以下のような部分があります・・・
川勝候補は選挙戦中、リニア問題に対する岩井候補のスタンスを厳しく批判していた。もともと国土交通副大臣としてリニアを推進してきた岩井候補が、公開討論会の場で「ルート変更」や「工事中止」に言及したからだ。
「一番大きな問題は水の問題。これはリニアの問題で、これに対してスタンスが揺れたでしょう? しかも、電波を通して(※ルート変更、あるいは工事の中止について)繰り返して言われました。それに自民党筋からクレームがつかない」
川勝候補は岩井候補の応援に自民党の大物政治家が応援に入ったことも挙げ、こう言った。
「大物の政治家がどんどんこられる。彼(岩井候補)を応援しているわけ。彼は、もし知事になれば、そういう要求(ルート変更や工事中止)をなさるということですよね? ということは、それを認めているということでしょう、自民党がね。ですから、そういう申し入れを自民党はするつもりでいる、と取るのが筋じゃないかというふうに思いまして、どういうスタンスを取られるのか、非常に楽しみにしております(ニヤリ)」
【この部分は興味深いです。今後の静岡工区の成行きに引き続き注目していきたいと思っています。】
参照・Wikipedia_畠山理仁(はたけやま・みちよし)
この記事の最後のページ4に以下のような部分があります・・・
川勝候補は選挙戦中、リニア問題に対する岩井候補のスタンスを厳しく批判していた。もともと国土交通副大臣としてリニアを推進してきた岩井候補が、公開討論会の場で「ルート変更」や「工事中止」に言及したからだ。
「一番大きな問題は水の問題。これはリニアの問題で、これに対してスタンスが揺れたでしょう? しかも、電波を通して(※ルート変更、あるいは工事の中止について)繰り返して言われました。それに自民党筋からクレームがつかない」
川勝候補は岩井候補の応援に自民党の大物政治家が応援に入ったことも挙げ、こう言った。
「大物の政治家がどんどんこられる。彼(岩井候補)を応援しているわけ。彼は、もし知事になれば、そういう要求(ルート変更や工事中止)をなさるということですよね? ということは、それを認めているということでしょう、自民党がね。ですから、そういう申し入れを自民党はするつもりでいる、と取るのが筋じゃないかというふうに思いまして、どういうスタンスを取られるのか、非常に楽しみにしております(ニヤリ)」
【この部分は興味深いです。今後の静岡工区の成行きに引き続き注目していきたいと思っています。】
参照・Wikipedia_畠山理仁(はたけやま・みちよし)